映画「チャイナタウン」のDVDを十月中旬に見ました。
1974年の作品で、監督はロマン・ポランスキー。
ロマン・ポランスキーの作品は、「ナインスゲート」(ジョニー・デップ主演)と、「戦場のピアニスト」しか見ていないので三作目です。
脚本はロバート・タウン。この人は、調べてみると「ザ・ファーム」とか「ミッション:インポッシブル」「M:I - 2」の脚本を書いていますね。
主演はジャック・ニコルソンで、助演はフェイ・ダナウェイです。
ジャック・ニコルソンがアクの強い探偵を演じる、ミステリ系(サスペンス寄り)の映画でした。
さて、この作品はミステリなのですが、いきなり序盤から「これって、一応ネタバレだよね?」となるような仕掛けが入ってきます。
というわけで、読む人は、そういった部分を覚悟してから、感想を読んで下さい。
序盤です。
探偵のところに、「夫の身辺調査」の依頼が婦人から入ります。
夫は、ダム会社の重要人物。
彼は若い女性に実際に会っています。なので、探偵はその調査結果を婦人に報告します。すると、それが新聞にすっぱ抜かれます。
つまり、偽婦人。主人公は芸能記者みたいなことを、知らず知らずの内にやらされたわけです。
探偵がいきなりはめられて、さらに、激怒した本物の婦人が乗り込んで来て、その直後に、調査対象だった夫が自殺します。
なんというか、「いきなり修羅場」です。
畳み掛けるように主人公が追い詰められていきます。
いやあ、鮮やかです。
こうなると主人公は能動的に動かざるを得ません。それでちょっと動いてみると、どうも夫は他殺っぽい……。
つまり、探偵は単にはめられたわけではなく、殺人の偽装工作に使われていた。
ミステリは、最後の種明かしの鮮やかさとともに、最初のはったりが大切だと思うのですが、そのはったりが見事だなと思いました。
この映画では、そのスタート時点の「怒りのエネルギー」の大きさで、あとはごろごろ転がって行きます。
途中で恋愛とかいろいろイベントはあるのですが、基本はこの序盤が全てという感じです。
まあ、途中の展開もいろいろと小技が利いているのですが、やはり序盤の力が大きいです。
終始、「怒りのエネルギー」で進んでいきますので。
あと、終盤は徐々に「自分が騙された」という視点から「本気で悪い奴らがいる」という視点にシフトしていきます。
でも、「怒りのエネルギー」が原動力になっている点には、変わりはありません。
終盤は、ミステリ的まとめ方というよりは、人間ドラマ的まとめ方です。
それも、ハッピーエンド系ではなく、ドロドロ系です。
個人的には好みのドロドロ具合でした。
DVDにはインタビューも付いており、それによると、終盤の締め方は、映画を撮り始める時点でまだ決め兼ねていたそうです。
どっちが勝つか分からないまま、撮影に入ったと。
けっこう度胸のある撮り方だなと思いました。
以下、粗筋です。(ネタバレあり。終盤ぐらいまで書いています。ラストのネタバレは書いていません。)
主人公は探偵。彼はある日、婦人から夫の浮気調査を依頼される。そして、調査の結果、確かに若い女性と過ごしていたので、その報告をする。
すると、その写真が新聞にすっぱ抜かれる。さらに、本物の婦人がやって来て、告訴するという。
探偵の許に最初来た婦人は偽者だった。
彼は激怒して、背後関係について調べ始める。
しかし、その矢先に調査対象の夫が死亡する。死因は一見自殺に見えたが、警察は他殺の線でも調べ始める。
調査対象の夫は、ダム会社の人間だった。
彼は元々、ダムの所有者の一人だったが、共同経営者を説き伏せて、市にダムを譲渡していた。
その夫の妻は、その共同経営者の娘だった。
彼女は、夫の死の原因を調べることを、主人公に依頼する。
主人公は調査を始め、そこにダム利権に群がる人たちの陰謀を知る。
その黒幕は、どうやら婦人の父親らしい。
主人公は婦人とともに調査を続けていくが、様々な邪魔を受け、生命の危機に瀕する。偽の婦人も殺害されて発見される。
そして徐々に事件の全貌が分かり始める。
婦人の夫が会っていた若い女性は、婦人の妹だった。婦人は彼女を必死に庇おうとする。それには理由があった。
その事件の背後には、ダム利権だけではなく、彼女の家の複雑な家族関係が関わっていた。
どうでもいいですが、何作かで見たフェイ・ダナウェイですが、「男のようにセックスする女」という個人的な印象が出来上がっています。
たぶん、「ネットワーク」の印象が強いのだと思います。
「可愛い」とか「美人」ではなく、「強そう」という感じです。
本当にどうでもいい感想ですが、そう思いました。