映画「ゴースト・ドッグ」のDVDを十一月中旬に見ました。
1999年の映画で、製作国は、アメリカ、日本、フランス、ドイツ。でも、アメリカが舞台で、それ以外の国は出てきません。
監督、脚本はジム・ジャームッシュ。主演はフォレスト・ウィテカー。黒人の少し太ったあんちゃんです。
映画は、それほど面白いものではありませんでした。
さて、この「ゴースト・ドッグ」。どういう映画かというと、「葉隠」に傾倒した黒人殺し屋が、「主君」(昔助けてもらったマフィアの中堅)のために戦うといった内容です。
一応、葉隠を知らない人のために、辞書からコピペです。
江戸中期の武士の修養書。11巻。正しくは「葉隠聞書(はがくれききがき)」。鍋島藩士山本常朝(やまもとつねとも)の談話を田代陳基(たしろつらもと)が筆録。享保元年(1716)成立。尚武思想で貫かれる。葉隠論語。鍋島論語。
ギミックとしては、要所々々に、葉隠の引用のテロップが入り、銃を仕舞う時には刀のような仕舞い方をすることでしょうか。
あと、「羅生門」(小説版)が出てきたり、そんな感じの和風テイストです。
この映画では、「主君」と自分の命を守るために、その「主君」が属しているマフィア組織をぶっ潰そうとします。
話のお膳立てとしては、まあこんなものだろうと思ったのですが、敵のマフィアがなんだか緩くて盛り上がりません。
端的に言うと、田舎ヤクザです。
食堂とかにたむろって、だべっているようなレベルの何だか腑抜けた感じのマフィアです。
平均年齢も高く(50〜60歳ぐらい?)、なんというか老人の寄り合い所みたいな感じです。
うーん。
そのせいか、演出も緩く、緊迫感がありません。アクション映画として、どうかと思いました。ギャグっぽいシーンも多いですし。
子供とか、言葉の通じない友人とか、「後で伏線がどう生きるのか?」と思わせるキャラも出てくるのですが、上手く本筋に絡められていません。
なので、評価は高くありませんでした。
以下、粗筋です。(ネタバレあり。中盤の最後ぐらいまで書いています)
「ゴースト・ドッグ」と呼ばれる殺し屋がいた。彼は、伝書鳩で依頼を受ける、凄腕の殺し屋だ。
彼はある日、一人の男に命を助けられる。それは、マフィアの中堅の男だった。
彼は、葉隠に傾倒していたので、彼を主君と仰ぎ、彼の依頼を黙々とこなすようになった。
ある日、彼はいつものように依頼をこなした。だが、その殺人現場に一人の女がいた。主人公は、依頼に関係のない女性は殺さず、その場を立ち去る。
その女は、マフィアのボスの娘だった。ボスは、娘のいる場所で殺害を行った主人公を殺すようにと言う。
殺された相手は、娘に色目を使っていたマフィアの男だった。その男の仇を、ボスとして取るという、組織の都合もあった。
主君は、その状況に悩む。主人公に落ち度はない。
だが、その悩みの中も、主人公への攻撃は始まる。そして、主人公を殺すことに躊躇する主君は、組織の中で立場を危うくしていく。
主人公はその現状を知り、自分を殺そうとしているマフィアの上層部を暗殺することを決意する。そして主君を、代わりにその座に据えようと画策する……。
主人公は、ストイックで、優しげな感じの人物です。
敵は、老人の集団です。
何だか、緩い主人公と、緩い敵がぶつかると、緩い映画にしかならないよなと思いました。けれんみのある撮り方をしていれば別なのですが。
もう少し、設定に工夫があれば、違う撮り方ができていただろうにと思いました。