映画「デュエリスト−決闘者−」のDVDを十二月中旬に見ました。
1977年のイギリス映画で、監督は若き日のリドリー・スコット。脚色はジェラルド・ヴォーン・ヒューズです。
リドリー・スコットと言えば、「エイリアン」(1979年)や「ブレードランナー」(1982年)。また「ブラック・レイン」(1989年)や「グラディエーター」(2000年)も撮っている監督です。
この映画の頃はまだ予算が少なく、アメリカの少数の映画館で細々と公開されただけだったそうです。でも、映画はその後の活躍も納得できる面白さでした。よかったです。
またDVDには、リドリー・スコットのインタビューや、彼自身による音声解説、そしてストーリーボードと実際の映画の比較などが入っており、かなり豪華な内容でした。
こういった内容なら、買った人の満足度も高いだろうと思いました。
しかしまあ、インタビューを聞いていて、リドリー・スコットはこの作品を知ってもらうためにかなり積極的に頑張っているんだなと思いました。
本人自身、かなり気に入っている作品のようです。
まあ、無名の頃で公開の条件が悪かったために、世間的にあまり知られていないというのが大きいのでしょうが。
さて、映画は粗筋を書いた後に感想を書きます。ちょっと変わった話なので。
以下、粗筋です。(ネタバレ若干あり。終盤の冒頭まで書いています)
主人公は、ナポレオン率いる軍隊の将校だった。彼はある日、上官に命じられて、同じ軍団にいる同階級の将校の許に行く。
その将校は、有能だが粗暴な人物で、決闘を好んで行う人物だった。
彼はその日の朝、一人の男を決闘で傷付けていた。その相手は外交上重要な人物で、上官は彼を謹慎させるために主人公を向かわせた。
主人公が家に行くと、本人はいなかった。どうやら思いを寄せる婦人の許へ行っているらしい。主人公はその場所を聞き出し、彼の許へと向かう。そして、彼に謹慎の話を告げた。
決闘好きの将校は、「女の前で辱められた」と激怒し、主人公に決闘を挑んでくる。
最初は戦いを避けようとしていた主人公だが、逃げ場がない場所に追い詰められて渋々戦いを受ける。
そして、決闘好きの主人公の腕を傷付け勝利する。
しかし、それが悪夢の始まりだった。
それからことあるごとに、この決闘好きの将校は、主人公に決闘を挑んでくるようになった。
主人公は、その相手の名誉のために、最初の戦いの理由が女絡みだということを周囲に告げなかった。
だが、そのことで気をよくした相手は、主人公がナポレオンを愚弄したから決闘したと吹聴するようになった。
主人公は、自身の潔白のためと、名誉のために決闘を受けざるをえなくなる。
彼が唯一戦いを避ける方法は出世することだった。決闘は、同じ階級の者同士しか許されていなかったからだ。
そして、主人公と敵の出世競争が始まる。
有能で人望があり穏やかな人物である主人公はいつも出世で一歩先に行く。しかし、そのたびに粗暴で野蛮な敵が追いついてくる。
主人公は、何度も挑まれる決闘で、体を傷付け、女性の愛を失い、ぼろぼろになっていく。
しかし、ナポレオン軍の斜陽とともに状況は好転してきた。
主人公は王党派に付き、敵はナポレオンに従った。
ナポレオン失脚後、主人公は近衛兵の隊長に就任し、敵は処刑リストに加えられる。主人公は若く美しい妻を得て、子供を儲け、幸せの絶頂期に達する。
しかし、そこで主人公は心の優しさから不幸を招き入れる。
これまで決闘を続けてきたのも何かの縁だと、敵を処刑リストから外すようにと裏から手を回したのだ。
その結果、彼は最後の決闘を受けざるを得なくなる。
その決闘は、これまでの剣のものとは違い、銃によるものだった。
古城に入った二人は、二発の銃弾を持って、互いの命を止めるために戦いを始める……。
ストーカーのように付き従い、主人公の立場を危うくしていく敵、そしてその存在に押し潰されそうになる主人公が秀逸でした。
徐々に戦いがエスカレートしていき、その度に主人公の傷が、そして失う物が大きくなっていく。
そして、最後の“溜め”というべき幸せな生活が三十分近く続き、その最後にやって来る最後の決闘……。
面白かったです。そして、緊迫の展開が素晴らしかったです。落ちもよかったです。
また、景色の美しさも秀逸で、特に最後の風景は絶品でした。
絵画に勝る素晴らしい田園風景が展開されており、これはよい映像だなと思いました。
あまり有名な作品ではないそうですが、これは面白くてよい作品です。見て損はないと思いました。