映画「ダンス・ウィズ・ウルブズ」のDVDを十二月下旬に見ました。
1990年の作品で、監督はケヴィン・コスナー。原作と脚本はマイケル・ブレーク。主役はケヴィン・コスナーです。
ケヴィン・コスナーと言えば、「ウォーターワールド」が1995年、「ポストマン」が1997年なので、この時期はまだまだ絶頂期です。
映画は、南北戦争時代のフロンティアを舞台にした、一兵士とインディアンの交流の物語です。
映画は、三時間ぐらいあるにも関わらず、時間の長さを感じず楽しめました。
基本的に真面目な映画なのですが、合間々々に入る笑いの要素が非常に上手く、よいリズムを作っていました。
特に、“蹴る鳥”という名前のインディアンの宗教的指導者がよかったです。真面目な中にもユーモアがあって、映画を見ながらくすりと笑いました。
さて、この映画の物語自体は非常にオーソドックスなものです。
今いる社会に馴染めない人間が、違う社会の人たちに出会い、自分の居場所を見つけ、その社会のために生きようとする話です。
この映画では、主人公は冒頭で自殺しようとしています。分かりやすいです。
最近の映画だと「ラストサムライ」も同じような構造の物語でした。
この手の映画は粗筋はどれも同じなので、その間の細部をどう作っていくかで映画の面白さが変わってきます。
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」では、真面目な中に潜むユーモアで上手く面白さを出していました。
「ラストサムライ」では、バトルで時間を上手く運んでいました。
以下、粗筋です。(ネタバレあり。最後まで書いています)
南北戦争時代。兵士である主人公は周囲に馴染めず自殺を考えていた。彼は前線で自殺的行為をしたが、そのことで英雄になってしまう。
英雄になった彼は、好きな場所に異動できるようになった。そこで彼が選んだのは辺境の地だった。
そこには誰もおらず、時折やって来るインディアンと小競り合いがあるだけの場所だった。
その地に赴任した主人公は、インディアンたちに襲われそうになる。だが、一人の女性を助けたことで、悪い人間ではないとみなされるようになる。
その女性は白人の女性だった。彼女は両親を失ったあと、インディアンの部族に育てられていた。
主人公は、部族の宗教的指導者“蹴る鳥”や、若者“風になびく髪”に受け入れられる。そして、バッファローの群れを見つけ、人々に伝えることで信頼を得る。
彼は“狼と踊る男”という名前をもらい、仲間として認められる。彼は白人の娘と結婚する。そして、他の部族との争いで人々を救い、彼自身もそこが自分の故郷だと感じるようになる。
だが、不幸の足音は近付いてきていた。
“蹴る鳥”は主人公に尋ねる。「白人は、いつ、どれくらいやってくるのか?」
その問いをずっとはぐらかしていた主人公だが、その日は近付いてきていた。軍隊が動き、兵士たちが大量にやって来る日だ。
部族は衝突を避けるために移動を始める。そして、部族の痕跡を消そうとした主人公は兵士たちに捕まってしまう。
インディアンの服装をしていた主人公は、裏切り者として捕まり移送される。
彼は移送の途中、部族の仲間たちに救い出される。
だが、自分の存在が彼らの不幸を招くと思い、主人公は妻とともに部族から出て行く。
さて、以下いくつかのことを書きます。
映画が始まって、時代背景が微妙に分からず、きちんと分かったのは映画後に調べてからでした。
軍服と兵器を見る限り南北戦争だろうとは思ったのですが、開拓地に行った後はそこらへんがよく分からなくなり、いつなんだと思いました。
微妙に開拓時代のようにも見えましたので。
でもまあ、後で調べて南北時代ということだったので、ああそうだったのかと思いました。
映画中に説明はないので、アメリカ人ではない私には分かり難かったです。
以下、Wikipediaで、「アメリカ合衆国の歴史」で引いて前後関係を調べてみました。
・西方への領土拡大(1789〜1861)
・南北戦争(1861〜1865)
・西部開拓時代(1865〜1890)
ほとんど時代が重なっているのですね。もう少し離れていると思っていました。
あと、撮影上疑問に思ったところがありました。
バッファローの大群です。
どうやって撮影したのかなと思いました。かなり多いのですがCGではないと思うので。また、全部用意すると結構大変そうですし。
きっと全部きちんと用意して撮影したのでしょう。すごい大変そうでした。
次に、話の中で突っ込みたかったところです。
一つ目は異文化コミュニケーションです。
主人公は、一生懸命下手なゼスチャーで物を伝えようとします。それがなかなか伝わらないのですが、彼は実は絵がかなり上手いです。
絵で伝えればいいのにと思いました。
もう一つは、ラストに妻と一緒に出て行くところです。
兵士たちに襲われるのを前提で出て行くのですが、そのままだと主人公が殺され、奥さんは犯されてしまいます。
いいのか? と思いました。
ラストシーンは、そのことが気になりました。