映画「いつか晴れた日に」のDVDを一月上旬に見ました。
原題は「Scense Sensibility」。
1995年の映画で、監督はアン・リー。脚色は、長女役の主演も務めたエマ・トンプソン(この脚色でアカデミー賞受賞)。
また、妹役でケイト・ウィンスレットも出ています。
私の好みのタイプの映画ではなかったですが、なかなか上手くできているなと思いました。
以下、粗筋です。(ネタバレあり。終盤の直前まで書いています)
十九世紀初頭の英国。財産が全て家長に相続されるために、急に没落することになった妻と三姉妹。
彼女たちは、三姉妹の長女と次女の結婚相手を見つける必要性を感じていた。
長女は家を出る直前、長男の妻の弟で、心の優しい男性と恋に落ちる。しかし、意地悪な義姉の策略で引き離される。
一家は、従兄の土地にある古い家に引っ越す。
そこで次女は、従兄の親友である中年の軍人を紹介される。しかし彼女はもっと若い男と恋に落ちる。
しかし、彼女の前からその男性は姿を消す。
二人が男性と別れる羽目になったのは、金がないことが原因だった。
彼女たち姉妹は、従兄の義母の勧めでロンドンに行く。そこで、自分たちが振られた理由が金絡みであることに直面させられる。
次女と恋に落ちていた男性は、持参金目当てで、資産家の娘と結婚を決めていた。
精神的にどん底に落ちる二人。そして、次女は病気になり、生死の境をさまよう。
しかし、真摯に生きていた長女のこれまでの行いもあり、事態は徐々に好転を見せ始める。
基本的には、映画の終盤までひたすら圧縮した後、最後に一気に解放という展開のお話です。
途中、解放はまったくと言っていいほどなく、じわじわと精神的にどん底に落ち続けます。
中盤以降、「私たちは何をやっても駄目なのよ……」といった感じで達観している長女がちょっと可哀相です。
でもまあ、長女の気持ちも分かります。
彼女ははめ技で、自分の辛い気持ちを他人に言えない状態になってしまいますので。
その“はめ技”とは、「友人の秘密を聞いたことで、自分の秘密を他人に打ち明けられない」という状態です。
秘密保持のジレンマとでも言うのでしょうか。自分の秘密を打ち明けることが、他人の秘密を明かすことに抵触するといった状態です。
こういったはめ技で葛藤させるというのは、なるほどなと思いました。
この手の「圧縮し続けて最後で解放する」タイプの話は、終盤までにテンションを引っ張り続けるのが大変だと思います。
この問題に、この映画は、舞台の切り替えで上手く対応していました。舞台が変われば、意識をリセットすることができますので。
実家、従兄の家、ロンドン、知人の家と、舞台を切り替えていくことで上手く目先を逸らしています。
定番ですが、重要だなと思いました。
最後に俳優についてです。
女性が主役で中心の話でしたが、男性陣がなかなかよかったです。
次女の相手に紹介され、彼女に惚れる軍人役のアラン・リックマン。
長女が恋に落ちるヒュー・グラント。
タイプの違う人たちですが、朴訥な役を上手く演じていたなと思います。
ストライクゾーンの映画ではなかったですが、勉強になる映画でした。