映画「恋の手ほどき」のDVDを二月下旬に見ました。
同名の映画がいくつかありますが、私が見たのは1958年の作品で原題は「Gigi」になります。
監督はヴィンセント・ミネリ、脚本はアラン・ジェイ・ラーナー。
脚本のアラン・ジェイ・ラーナーは、他にも「巴里のアメリカ人」や「マイ・フェア・レディ」を手掛けています。
さて、映画ですが、面白くなかったです。
非常に退屈でした。ジャンルとしてはミュージカル・コメディーなのでしょうが、現代人から見ると冗長過ぎます。
作品賞をはじめ十個のオスカー賞を獲得したそうですが、完全に外れでした。
基本的にアメリカでは、ミュージカルの価値が高いのでしょう。
それと、時代背景的に、ヨーロッパの華やかな社交界が憧れの対象であり、その世界での少女の成長を描くことが魅力的だったのだと思います。
コスチュームプレイとしてのその部分は非常によくできていると思います。
予算を掛け、衣装や舞台にお金をかけ、派手で楽しいミュージカルを演じています。
でも、さすがに今見ると辛いです。物語といった物語がほとんどありません。いや、あるのですが、あまりにもペースが遅いせいで見る気が失せました。
今回は長い粗筋は特に書きません。
この手の話としてはあまりにも典型的なものですので。
少女が社交界に入り、金持ちで昔から知り合いだった人と恋をする。
そういった話です。
一点面白かったのは、語り手の立場にいる老紳士です。
彼が冒頭で人生の素晴らしさについて歌い上げます。
以下のような歌詞です。
恋は素晴らしい、女性は素晴らしい、少女も素晴らしい、なぜなら少女はすぐに女性に育つから。
こんな感じの内容です。
「すげえ価値観だ!」と思いました。
老人になっても「仕事は恋愛」と言い切るこの老人は、少女など一瞬にして女性に育つという時間感覚を持っています。
この冒頭での価値観の提示は面白いなと思いました。