映画「クラッシュ」のDVDを三月中旬に見ました。
1996年のカナダの映画で、監督・脚本はデイヴィッド・クローネンバーグ。
無修正版と書いてありましたが、特にエロさは感じませんでした。
確かに裸や性交シーンは多いのですが、その行為自体にエロさを感じるかどうかは、受け取る側の問題だと思いました。
私は、もっとキャラクターの人格に落差のあるエロシーンの方が好きですので。
さて、いきなり話が逸れましたが映画の話です。
倦怠期の夫婦の夫が、交通事故を切っ掛けに、衝突事故でエクスタシーを感じる一団と行動を共にしだすという話です。
倒錯的な話なのですが、あまり乗れませんでした。
たぶん、感情移入できるかどうかが問題だと思うのですが、そもそも車というものにフェティシズムを感じない人間なので、冷めた目で見てしまったのが原因だと思います。
車を日常的に利用している人や、カーセックスがライフスタイルの中に入っている人にはぐっと来る映画なんじゃないかなと思いながら見ていました。
しかしまあ、あんな狭い場所でどうやって動くのか、実物のカーセックスを見たことがないので謎です。
以下、粗筋です。(大きなネタバレはなし。中盤ぐらいまで書いています)
主人公はテレビ局のプロデューサー。彼と妻は倦怠期に入っており、互いに家庭外の相手と性交渉を持ち、そのことを報告しあい興奮するというライフスタイルを取っていた。
ある日主人公は衝突事故を起こす。そして、一人の女性と出会う。
主人公は彼女と親しくなりデートに行く。彼女が誘ったのは車の公開衝突イベントだった。
過去の有名人の交通事故を再現するというそのイベントには、夜だというのに多数の人が集まっていた。
イベント終了後、主人公は女性に誘われ、そのイベントの主催者の家に行く。
主催者の家には交通事故にエクスタシーを感じる男女がおり、主催者は次の衝突イベントの計画を立てていた。
主人公はその主催者の男に魅力を感じる。そして、自分の中で芽生え始めた交通事故に対する興奮に気付く。
そして、彼は妻とともにその男に関わり始め、男のライフスタイルを徐々に受け入れ始める。
カーセックス、義足の女性とのセックス、スワッピング、そんな感じの倒錯的なセックスの多い映画でした。
しかし、不思議と大きな劣情を感じませんでした。
まあ、趣味嗜好の問題だと思います。
そして、そこにそういう部分を感じないと間口が狭くなるので、映画の世界に入りにくいなと思いました。
こういった偏った趣味の作品を作る場合は、どこから一般の人を作品世界に入り込ませるかが難しいなと感じました。