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2008年04月30日 23:38:50
サンセット大通り
 映画「サンセット大通り」のDVDを三月下旬に見ました。

 1950年の白黒映画で、監督はビリー・ワイルダー。脚本はチャールズ・ブラケット他です。

 監督は「アパートの鍵貸します」(1960年)の人ですね。

 主演はウィリアム・ホールデンです。元女優役はグロリア・スワンソン。老執事役はエリッヒ・フォン・シュトロハイムです。



 映画はなかなか面白かったです。

 昔売れていて今は金欠の脚本家が、過去の無声映画時代のスターだった金持ちの女性のツバメになりつつも、新人脚本家の女性に引かれていくという話です。

 ちょっとあまり要約できていないですがそんな感じです。

 この映画の魅力は、この元大女優とその老執事です。元女優の病んだ精神と、後半に明かされる執事の狂気が凄いです。特に執事については「すげえ」と感じました。

 ホラーではないですが、狂気を感じさせる終盤の展開はよかったです。

 特にラストシーンは、主人公置いてけぼりで、元女優と老執事の独壇場でした。

 名シーンだなと思いました。



 私が見たDVDには映像特典が多く入っていました。

 そこで知ったのですが、この映画に出てくる“過去の名優”たちは、本当に当時忘れかけられていた“本物の過去の名優”たちだそうです。

 主人公や元女優、執事からしてそういった配役です。

 また、元女優が無声映画時代の友人とポーカーをするシーンでは、当時忘れられていたバスター・キートンが席にいたりといった凝りようです。

 往時の映画を知っている人には、その部分も含めて楽しめただろうなと思いました。



 また、DVDには当時を振り返るインタビューも収録されていました。

 それによると、元女優役のグロリア・スワンソンの気合いの入りようが並々ならぬものだったそうです。

 この映画の出来を決定付けていると言っていいのは、この元女優の存在です。

 彼女は、そのことを理解していて、物凄い努力をしたとのことでした。

 確かに鬼気迫るものがありました。



 インタビューでは、公開当時「イヴの総て」(1950年)とアカデミー賞を争ったとありました。

 どっちが取るかというと「イヴの総て」で、全体を通しての出来もこちらの方がよいです。

 でもまあ、年度が違うならばかなりのところまで行っただろうなとも思いました。

 どちらも演劇や映画関係の内幕を描いたものですが、「イヴの総て」の方が物語の出来はよいです。

 それに、「サンセット大通り」は当時の映画関係者や固有名詞をかなり露骨に出して揶揄している部分が多いそうです。

 なので、反感を買った部分もあるということでした。



 以下、粗筋です。(小さなネタバレはあり。大きなネタバレはなし。終盤の直前まで書いています)

 主人公は脚本家。過去にヒット作を出したことがあるものの、今は借金で首が回らない状態である。

 彼は借金のかたに車を取られそうになっていた。彼は借金取りから逃げるために、車で町をさまよい、一軒の朽ち果てた豪邸に迷い込む。

 そこで主人公は驚いた。彼はその場所に誰も住んでいないと思っていたが、そこには二人の人間が住んでいたからだ。一人は元大女優、もう一人はその老執事だ。

 元女優は、主人公が脚本家と聞いて、自分が書いた大作の脚本を見せる。それはサロメを自分が演じるためのものだった。

 主人公はその脚本を見て心の中で苦笑する。それは映画六本分にも及ぶ分量だった。そして彼は一計を案じる。

 この脚本を自分ならばきちんと直せると臭わせ、破格の値段でリライトする仕事を請け負うことだ。

 女優は乗ってきた。そして主人公に仕事を依頼する。主人公はその原稿を持ち帰ろうとするが、彼女は許さなかった。彼女はこの屋敷の中で仕事をするようにと主人公に告げる。

 主人公は渋々仕事を始める。だが、何か妙だなと感じた。

 その違和感が確信に変わったのは、クリスマスの日のことだった。

 女優は孤独を嘆いていた。そして、主人公を若いツバメとして買うつもりで雇ったのだった。

 反発し、屋敷を離れる主人公。彼は仲間たちとのパーティーに参加する。そこで、脚本家を目指す若い女性に引かれる。

 彼は荷物を引き上げるために豪邸に電話を掛ける。そして元女優の自殺未遂を知る。

 主人公は慌てて戻る。そして、自分が蜘蛛の巣に囚われた獲物だと知る。

 女優は完成したサロメの脚本をかつての友人の映画監督に送る。彼女は婉曲的な断りに気付かず、必死に復活のためのトレーニングとエステを始める。

 主人公は、そんな元女優を哀れと思いながら共同生活を送る。そして、夜な夜な抜け出し、駆け出しの脚本家との逢瀬を重ねる。

 だが、そんな無理な生活が長く続くはずがなかった。

 彼はある夜、車庫で執事に会う。そして、彼からある事実を告げられる。それは、元女優と老執事の狂気を感じさせる人間関係だった。

 そして、主人公は二人の女性の間で悲劇に見舞われることになる……。



 中盤までは脇役だった老執事が、終盤一気に大きな存在になります。

 告白のシーンとラストのシーンは非常によかったです。

 この執事役の人の過去の職業は、映画の中だけでなく実際もそうだったそうです。

 しかしまあ、同時代にキャストもきちんと把握していて見たら、凄いびっくりしそうな作品だなと思いました。
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