映画「黄金」のDVDを五月下旬に見ました。
1948年の白黒映画で、監督・脚色はジョン・ヒューストンです。
徹頭徹尾エンターテインメントの作品でした。
以下、粗筋です。(ネタバレが重要になるような作品ではないので、特に気にする必要はないと思います。設定的な内容になる前半部分を書いています)
主人公二人は、メキシコに渡って金のなくなったアメリカ人。
彼らは、出会った町で乞食まがいのことをしている。
二人は工事現場で働き、仲介人に賃金を騙し取られる。どうにかその金を取り戻したものの、状況を打破できるほどの金もなく行き詰る。
彼らは一人の老人の昔話を聞く。老人は昔金鉱を発見し、金持ちになったが、さらに金を追い求めて没落したという。
老人は言う。「黄金は人を変える」と。
二人はこの老人に賭けてみる気になった。自分たちのなけなしの金と、老人の最後の金。それを合わせて、金鉱探しの旅に出た。
老人は熟練の山師だった。彼は着実に山を進み、金鉱の場所までたどり着く。三人は砂金を掘り出し、徐々に資産を増やしていく。
だが、その頃から、主人公の一人、気の短い男の挙動が怪しくなってきた。
──黄金は人を変える。
だが、その男が暴発する前に次々と事件が起きる。山での採鉱は違法だった。そして、強盗団が彼らの近くまでやって来ていた。
彼らは、内部分裂の危機を孕みながら、強盗団や警察の目から逃れて山からの脱出を図る。
主人公グループのキャラが立っていて、そこに次々に起こるトラブルが被さって話が進んでいきます。面白かったです。
主人公グループの三人は、こういった感じです。
・若者1:腹が据わっている。物事を冷静に考えられる。義理堅く正義漢。
・若者2:落ち着きがない。視野が狭い。大金を前に目の色が変わる。
・老人:既に達観している。これまでの失敗を元に、分をわきまえている。極めて有能。そして陽気。
当然、爆弾になっているのは“若者2”です。この男が徐々に疲弊して、金に目が眩んでいきます。しかし、貴重な戦力ですし(一人減ると戦力が2/3になる)、残りの二人は善人ではないので、だんだん緊張が高まっていきます。
そこに、侵入者や、強盗団や、その他事件が次々と起こり、息を吐かせません。
さらに、緊張しっ放しになりがちな雰囲気を老人が上手く陽気に変えます。いつも嬉しそうにしていて、やたら元気です。
娯楽大作でした。たぶん、当時もそういう楽しまれ方をしたと思います。私も楽しめました。
さて、この映画のシナリオ構成でなるほどなと思った点を書きます。
それは、微妙なバランスで維持されている少人数の関係から、一時的に一人が離れなければならない状況を作ることです。
これで、一気にバランスが崩れて、大きな事件が起きます。しかし、一時的に離れた一人は、いつ帰ってくるか分かりません。
こういった「グループから重要人物を一時的に間引く」というのは話を進展させる上で有効な方法だなと思いました。
まあ、そんな面倒なことを考えずに、ハラハラドキドキして楽しむような映画でしたが。