映画「ウエスト・サイド物語」のDVDを、七月上旬に見ました。
1961年の映画で、監督はロバート・ワイズ。脚本はアーネスト・リーマン。この二人は「サウンド・オブ・ミュージック」(1965)でも組んでいますね。あと、アーネスト・リーマンは「王様と私」(]1956)も手掛けています。
音楽はレナード・バーンスタインになります。
さて、この映画は、多くの人が知っているように、「ロミオとジュリエット」を現代化したミュージカル映画です。
ミュージカルというと、日本人にとっては当たり外れが大きいのですが、さすがにここまで有名な音楽だらけの映画だと、見ていて全く飽きませんでした。
掛かる曲、掛かる曲、知っている曲ばかりで、さすがに凄い作品だなと思いました。各曲が、曲単体でラジオなどでガンガン流れていますから。
また、曲だけでなく踊りもよかったです。
踊りが単なる“踊るための踊り”になっておらず、“ストーリーを進行させるための踊り”になっており、踊り自体が台詞の代わりになっていました。
各グループに音楽のテーマがあり、踊りと曲の掛け合いが、台詞の掛け合いや対立や争いの表現にきちんとなっている。
特に後半に出てくる、それぞれのグループやキャラが自分のテーマ曲を歌い、それがカットバックでどんどん混ざり合っていく様は非常によかったです。
ミュージカルの気持ちよさは、ここにあると私は思っています。
これは、私が評価するタイプのミュージカルです。単に踊りが入っているだけのミュージカルは、はっきり言ってうざいです。この映画は、私が求めるミュージカル像を体現しておりよかったです。
さて、ストーリーです。
原作の「ロミオとジュリエット」は読んだことはありません。デュカプリオの「ロミオとジュリエット」を見ただけです。
なので比較はできないのですが、上手く現代化しているなと感じました。
対立が若者のストリートの抗争になっており、白人の若者グループと、プエルトリコから来た移民のグループの対立になっています。
そのおかげで、踊りや歌にバックボーンが与えられており、ミュージカル演出が物語を“語る”ようになっていました。
また、恋人となる二人の前に用意される受難も、分かりやすくシンプルになっており、より普遍性のある内容になっていました。
まあ、ミュージカル映画なので、ストーリーはシンプルに刈り込む方向性になるのですが、総じてよかったと思いました。
以下、粗筋です。(ネタバレあり。中盤まで書いています。でもまあ、有名な話なのでいいと思います)
ニューヨークのウエスト・サイド。そこに住む若者たちの不良グループ“ジェット団”と“シャーク団”は対立していた。
ジェット団は、以前から地元にいる白人たちのグループ。シャーク団は、プエルトリコからの移民のグループ。
二つのグループは、一つのストリートを争い、小競り合いを繰り返していた。
ある日、彼らはダンスホールで一堂に会する。
その場所には、それぞれの団のの関係者が二人来ていた。ジェット団の団長の兄貴分で、既に団を引退した青年。そしてシャーク団の団長の妹だ。
二人は恋に落ちる。だが、周囲の状況は彼ら二人が恋仲になることを許さなかった。
人目を忍んで会う二人。そんな中、二つの団は最後の決戦を行おうとしていた。
最悪の事態を避けるために、青年は二つの団の戦いを、代表同士の素手での戦いにするように取りまとめる。
彼はそのことを彼女に話す。だが彼女は、戦い自体を止めて欲しいと青年に頼む。
青年は決闘の場所に赴き、説得を試みる。しかしそのことが戦いを最悪の事態に導く。
シャーク団の団長はジェット団の団長を殺し、そのことで我を失った青年はシャーク団の団長を殺す。
そのことにより、青年と彼女の幸せな未来は完全に破壊された……。
しかし本当に有名曲のオンパレードでした。
あと、古典ネタとして、きちんと見ていないといけない作品なんだなと痛感しました。
特にそれを痛感したのは「Beat it!」という台詞です。
「あっちへ行け!」といった意味の台詞です。映画中、何度も何度も出てきます。
この「Beat it!」ですが、マイケル・ジャクソンの曲で「Beat it」というのがあります。
そのPVがもろに「ウェスト・サイド物語」なのですが、この「Beat it」って、ここから来ているんですよねたぶん。少なくとも、「Beat it!」と「Beat」を掛けているのだと思います。
もしそうなら、邦題の「今夜はビート・イット」って、ちょっと意味の違うタイトルになるなと思いました。