映画「大誘拐」のDVDを七月上旬に見ました。
1991年の作品で、監督・脚本は岡本喜八、原作は天藤真の小説です。
映画化としては、大変満足な出来でした。キャストとしても、当時の一線級総揃えという感じでよかったです。
映画にするなら、ここを切ってここを残すよなという部分がきれいに守られており、登場人物の雰囲気も小説を忠実になぞっていました。
よい映画化でした。
ちょうど原作を数ヶ月前に見たこともあり、二重の意味で楽しめました。
さて、キャストがよかったことを書きましたので、主な登場人物について書いておきます。
まずは、主役の柳川とし子刀自。北林谷栄という人ですが、よく知りませんでした。キネマ旬報の検索結果では、出演作品が198件という膨大な数の映画に出ている人です。
□キネマ旬報DB/ Walkerplus.com - 北林谷栄 キタバヤシタニエ
http://www.walkerplus.jp/movie/... 1948年から2002年まで検索結果があるので、凄い長く出まくっている人のようです。Wikipediaによると1911年生まれのようです。
□Wikipedia - 北林谷栄
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C... 「若い頃から老け役を演じる事が多く、日本を代表する「おばあちゃん」役者でもある」とのこと。
知りませんでした。
そして県警本部長の井狩大五郎は緒形拳。渋くて格好よかったです。
戸並健次は風間トオルでした。若い感じで似合っています。
あと、嶋田久作や岸部一徳も出ています。
以下、粗筋です。(ミステリーなので、設定だけ書いておきます)
刑務所から一人の若者が出所した。彼は刑務所内で二人の手下を作っていた。
彼は再び刑務所に入る気はなかった。だが、一度刑務所に入った彼が世間で生きていくためには資金が必要なことも知っていた。
彼は誘拐計画を立てる。子供の誘拐ではない。老人、それも女性の誘拐である。
紀州一の土地長者である女性を誘拐し、金を得ようというのである。
だが、計画は大きく変わってしまう。誘拐された彼女は、要求金額が五千万円であることに激怒した。
「私の値段は百億円。ビタ一文まけられへんで!」
そして、彼女は誘拐犯を手なずけ、自分の身代金を得るための絵図を描き始めた……。
映画でよかったのは、主役の刀自の独特の雰囲気がきちんと表現されていたことです。
あの、ユーモアがあって、そして器が大きい、原作の彼女の雰囲気を忠実に再現しています。
映画としても面白かったです。
原作の力が大きな作品ではありますが、映画単体としても楽しめる作品になっていました。