映画「俺たちフィギュアスケーター」のDVDを七月上旬に見ました。
2007年の作品で、監督はウィル・スペックとジョシュ・ゴードン。脚本はジェフ・コックス他です。
ネットやラジオで評判は聞いていましたが、紛うことなきお馬鹿ムービーでした。
時間も九十分程度なので、サクッと気分転換に見られます。徹頭徹尾アホです。
ただ、何度も見直すタイプの映画ではないなと思いました。あと、見る時は人数が多い方が楽しめます。突っ込みどころ満載の作りですので。
さて、この映画は設定勝ちのタイプの映画です。
男子スケート界のトップ二人が喧嘩をして、そのせいで永久出場停止になり、ペアでならば出場可能なことに気付き、男同士のペアを組むという内容です。
あとはもうベタベタの王道です。
最初いがみ合っていたライバルが、共通の目標を持つことで協力し合い、友情を育んでいきます。
そして敵が登場し、その邪魔を受けながら、命懸けの必殺技を身に付けていきます。
もう、その一つ一つがお馬鹿でよろしい。
特に必殺技は凄いです。失敗すると、パートナーの首が落ちるという命懸けの技です。北の将軍様の下で試して、本当に首が落ちたという曰くつきの技。
「女性の体力では無理だが、男同士のペアならできる!」って、それ以前に首がギロチンのように切れる可能性のある技はやばいだろうと思います。
全編この調子。
また、主人公二人の設定もいいです。
一人はスケートの才能を見出されて富豪の養子になり、英才教育を施されたスケート界のアイドル。
もう一人は、ロックスター風のセックス中毒者の氷上のセックスシンボル。
単なるスポコン物では終わらず、初心な若者のために、経験値の多い先達が恋の手助けをする物語にもなっています。
そこはまあ、お馬鹿ムービーなのでひっちゃかめっちゃかなのですが。
そんな感じで、なかなかよく出来ている映画でした。
でも一番評価するところは映画の短さです。
欲張らずに九十分で収めたのは正解です。普通に百二十分にすると、友情を育んだり、特訓をしたり、そういったところで話が冗長になります。
そういった部分をさっくり切って、笑える部分だけで構成したのは評価が高いです。
もしかしたら百二十分版もあって、その後にばっさり切ったのかもしれませんが。
というわけで、この日、何本も映画を見ていて割と疲れ始めている時にリフレッシュさせてくれたよい映画でした。
以下、粗筋です。
スケート界のアイドルと、氷上のセックスシンボル。男子スケート界は、この二人でメダルが争われていた。
だが彼らは殴り合いの喧嘩をして、永久出場停止になってしまう。
それから数年。彼らは細々とスケート業界の片隅で日銭を稼いでいた。
そんなある日、元アイドルの許に、かつての狂信的追っ掛けがやって来る。その男は、元アイドルが男子スケートでは永久出場停止かもしれないが、ペアスケートでは出場できることを告げる。
元アイドルは、かつての監督を探し出し、ペアの相手を探す。そしてかつてのライバルとコンビを組むことになる。
前代未聞の男子ペア。そして能力的には世界最高峰の二人。マスコミたちは彼らに注目する。
しかし、そのことを快く思っていない者たちがいた。ペアスケート界に君臨している兄妹だった。
彼らはライバルを蹴落とすことで現在の地位を保っていた。彼らは三人兄妹で、末っ子の妹だけがスケートをやっていなかった。
妹は両親の死の原因が自分にあると思い、上の二人の言うがままになっていた。
ペア王者の二人は、その妹を男子ペアの妨害に向かわせる。
だが、元アイドルと妹は恋に落ちる。
ペア王者たちはそのことを知り、妹に氷上のセックスシンボルを誘惑させ、二人の仲を裂く作戦に切り替えた……。
この映画、実は一番頭がおかしいのはコーチです。
死の危険のあるスケートの技を使う機会を虎視眈々と狙っています。
かなりマッドな人です。
まあ、何はともあれ面白かったです。
大作ではなく小品ですが、息抜きにはちょうどいいです。
気分転換に楽しい映画を見たい人にはお薦めの映画だと思いました。