映画「オリバー」のDVDを八月上旬に見ました。
1968年の映画で、監督はキャロル・リード、脚本はヴァーノン・ハリス、原作はチャールズ・ディケンズです。
この「オリバー(オリバー・ツイスト)」は何度も映画化されています。
私が過去に見たのは、1947年版の、監督デヴィッド・リーン、フェイギン役アレック・ギネスのものです。
この1947年版の方が出来がよかったです。
ちなみに1968年版の方はミュージカル映画になっていました。
さて、二本の違いについて書いておきたいと思います。粗筋等は、基本的に1947年版と同じなので割愛します。
(粗筋を簡単に書くと、孤児院に捨てられたオリバー少年が、子供スリ団の親玉に拾われた後、真の家族に出会えるかな?という話です)
まず一番違う点は、1968年版がミュージカルになっている点です。それに伴い、明るく楽しい映画になっています。
1947年版は、暗くておどろおどろしい内容でしたので、かなり方向性が違います。
また、ラストについては、1968年版の方が三十分ぐらいごっそり話を切っています。
これは、1968年版の方がよくまとまっている印象です。1947年版を見た時には、ラストがくどいと思いましたので。
あとはまあ基本的に細部になるのですが、二つの映画は、明るく希望的なベクトルと暗く悲壮感漂うベクトルという意味で真逆に近い違いがあります。
もう一つ大きな違いがあります。
それは、フェイギンの存在感です。
子供スリ団を組織する怪老人フェイギンは、この物語ではかなりキャラが立っている人物です。
出てくるだけで、観客の目を掻っ攫っていくようなキャラです。
でも、1968年版では、なんだか性根は優しい“いい人”キャラになっていて何だかしょんぼりした気分にさせられました。
ミュージカルとしてのできは、まあそんなものかなと思いました。
必然性のない歌と踊りが入っているので、日本人にはそれほどぐっと来ないなと思いました。
あと、この時期何本かミュージカルを見ていて気付いたのですが、ミュージカルでは、通常の映画や演劇では行えない「心情の吐露」ができるのですね。
心の内を歌い上げることで、小説でしかできない内面描写をミュージカルは出来ることにようやく気付きました。
そういった部分を注意してみると、また少し見方が変わるかなと思いました。