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2008年10月22日 03:36:04
恋に落ちたシェイクスピア
 映画「恋におちたシェイクスピア」のDVDを九月中旬に見ました。

 1998年の作品で、監督はジョン・マッデン、脚本はマーク・ノーマンとトム・ストッパードです。

 シェイクスピアの有名な劇「ロミオとジュリエット」の誕生を描くという本歌取りの映画でした。

 なかなか楽しかったです。



 基本的な筋としては、シェイクスピアが恋に落ち、その恋が進行しながら、自分を重ね合わせて「ロミオとジュリエット」を作り上げていくというものです。

 少しひねりが利いているのは、その恋の相手が、男装して男優として劇の主役(=ロミオ)を演じることです。

 この映画を見る限り、当時のイギリスは日本の歌舞伎のように、女性が舞台に上がることが風紀上禁止されていたようです。

 そのこともあり、彼女が女性とばれるかどうかというサスペンス要素も加わっていました。というか、ばれるだろういくらなんでもという感じでしたが。



 さて、この映画は、史実を元にしたというよりは、史実のパーツを踏み台にした本歌取りの物語です。

「ロミオとジュリエット」の演劇の名場面を順に追いながら、そのシーンが誕生したシェイクスピア自身のラブストーリーを描いていくといった構成です。

 この描き方で面白かったのは、日本と同じでこういった職業に携わる人たちは河原者的扱いなんだなということです。

 権力者の前に出ることはあっても、あくまで最下層の人間である。

 そして、ヤクザ渡世の人間として、喧嘩上等で競い合う。

 その泥臭さと演劇の舞台装置の華やかさの虚実、貴族たちの懐事情と新興の富豪たちの台頭の現実など、対比のメリハリが利いていて面白かったです。

 設定はかなり強引で、あり得ないレベルだと思うのですが、「身分から離れて存在する人間」として演劇関係者が描かれているので「ぎりぎりありかな」と思わせるバランス感覚になっていました。

 いやしかし、シェイクスピア、あれだけ毎日やりまくったら子供ができるだろうと思いました。まあそこらへんは運なのでしょうが。



 映画では、主役級のキャラも立っていましたが、脇役キャラもよかったです。

 最初は演劇に興味はなかったのに、次第にはまっていく金貸しのおっさん。

 最初は自分の役が小さくて憤慨していたけど、脚本のよさに共感して応援を始める一座のスター。

 最初は対立していたけど、劇団全体に弾圧が及び、手を結ぶことを提案するライバルの座長。

 そういった、脇役の使い方が非常に上手かったです。

 最初の対立要素が、どんどん協力要素になっていきます。まるでジャンプ系少年漫画のような展開です。

 そういった脇役陣の中でも特によかったのは、ヒロインの乳母と、エリザベス女王です。

 ヒロインの乳母は、ことあるごとにヒロインを守るために奮闘します。この奮闘の仕方が笑いを呼び、よくできていました。

 そしてエリザベス女王。

 最初出てきた時は、醜悪なおばさんにしか見えません。しかし、細かなところで指導者としての知性と器の大きさを発揮します。

 周囲の貴族たちが子供に見えて、さすが女王と思わせてくれます。

 初見とのギャップが大きいのですが、こういった「立場に合った能力を発揮できるキャラ」は、見ていて楽しいです。



 映画は、全体的に華やかなイメージで、エンターテインメントとして楽しめました。

 古典の本歌取りとして、よくできていると思いました。

 真面目に見る映画というよりは、細かいところにこだわらず、おおらかに楽しむ映画だなと感じました。



 以下、粗筋です。(ある程度、ネタバレあり。終盤の最初の方まで書いています)

 主人公はシェイクスピア。彼は、何本か脚本を書いてヒットを出したが行き詰っていた。

 シェイクスピアはイタリアを舞台にした海賊物の喜劇を書こうとしていた。だが、中身が全く頭に浮かんでいなかった。

 しかし、その出来上がっていない脚本で舞台を作らなければならなくなる。そのオーディションで、非常に演技力の高い少年に出会い、彼はその少年を主役にしようとする。

 だが少年は逃げ出し、シェイクスピアは必死に追った。着いた先は、富豪の家だった。そこで彼は美しい女性に出会い、恋に落ちる。

 その女性こそが、舞台のオーディションにやって来た少年だった。女性は演劇好きでシェイクスピアに憧れていた。だが彼女は、貧乏だが位だけは高い貴族の許に嫁ぐことになっていた。

 シェイクスピアはどうにかして少年と接触しようとする。そして富豪の家に行き、取次ぎを頼む。

 少年は舞台に来る。

 ある日、シェイクスピアは、その少年が意中の女性であることに気付き、二人は互いの恋を告白する。

 それからのシェイクスピアは、溢れるように言葉が浮かんでくる。脚本はどんどんできていく。

 だが、シェイクスピアと女性が結ばれることはあり得ない。彼女は嫁ぎ先が決まっている。その苦しさが、喜劇だった脚本を悲劇へと変える。

 海賊物だった話は、いつしか「ロミオとジュリエット」へと姿を変える。

 舞台は次第に完成に近付いていく。だが、舞台に立っている主役が女性だとばれ、公開は取りやめになる……。



 脚本の密度は高いです。

 本筋以外にも様々なイベントが用意されています。

 次から次に話が進行します。

 でもまあ、本筋はだいぶファンタジーです。それを飲み込める人は楽しめると思います。

 私は面白かったです。
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