映画「ファンタズム」のDVDを十月上旬に見ました。
1979年の作品で、監督、脚本、製作、撮影はドン・コスカレリです。
カルト的人気のあるホラー・ファンタジー映画だということで見ました。
感想としては、面白い側のB級(よりちょっと上の)映画という感じでした。
DVDは、音をリマスタリングしているのか、やたら効果音や音楽が印象的でした。
割と大音量で見たのですが、音が迫ってくる感じでよかったです。
あと、この映画をB級寄りの映画と書いた理由の一つとして、「音を抜くと平凡に見えるだろう」という画面がけっこうあったからです。
敵がゆっくりと歩いているだけのシーンがけっこうあるのですが、音楽が付いていることで、やたら不気味さが醸し出されています。
これは、音楽がないと、ただ歩いているだけです。
音楽って大切だなと思いました。
また、アイデアや演出で乗り切っている演出が多く、そこらへんに低予算っぽさを感じました。
例えば「虫に襲われる」というシーンでは、服で押さえ込んだ虫が飛ぶのを、必死で押さえようとします。
でも、このシーンでは、服の中に虫を入れているので、虫は見えません。
ただ必死に「服と格闘」しているだけなのですが、話の流れと演出と効果音で、「虫と格闘」しているように見せています。
こういう部分は上手いなと思いました。
こういった「アイデアと演出で見事に作品を作ったぜ!」という感じの映画はけっこう好きです。
こういうのを見ると、自分でも何かを作ってみたいなと思いますので。
あと、DVDには映像特典として続編以降の予告編が入っていたのですが、予算のばらつきが絵にそのまま反映されていました。
短いシーンの羅列だと、露骨に金の力が出るなと思いました。
それと、この映画には、有名な銀球のシーンがあります。
しかし、実際には余り登場はなく、映画を作った後に人気が出ただけで、作る時はそれほど重要視していなかったんだろうなと思いました。
以下、粗筋です。(中盤の終わりぐらいまで書いています)
主人公は少年。彼には既に成人した兄がいる。二人は一年ほど前に両親をなくしている。
ある日、兄の友人が死ぬ。その葬式で少年は、葬儀場の背の高い男が、200kgもある棺を抱えて運ぶところを目撃する。
主人公はそのことに疑問を抱く。
町では最近死者が多かった。少年はそのことに関係するのではないかと思い、葬儀場を調べ出す。
葬儀場には、謎の矮人がいた。少年はその矮人と格闘して命からがら逃げ出す。
少年と兄、そして兄の友人は調査を進め、どうやら葬儀場の背の高い男が、死者を矮人にして操っているのではないかと突き止める。
そして主人公たちは、両親や友人の命を奪って改造している敵と戦うために、そして敵の秘密を暴くために、葬儀場に乗り込む……。
話もスムーズで、この手の映画にはしては進行がいいなと思いました。
あと、個人的に上手い伏線の演出だなと思ったのは、音叉の使い方です。
こういった演出の仕方は映画でしかできない手法ですが、ビジュアル系のメディアならではだなと思いました。
大作やA級作品という感じではないですが、低〜中級予算のホラー映画を楽しむという意味で、面白い映画でした。