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2009年01月12日 18:56:18
デビルズ・バックボーン
 映画「デビルズ・バックボーン」のDVDを十一月下旬に見ました。

 2001年のスペイン映画で、監督、脚本はギレルモ・デル・トロです。スペイン映画ですが、ギレルモ・デル・トロ自身はメキシコ出身の人のようです。

 この映画は、「パンズ・ラビリンス」(2006)を見る前の予習として借りて見ました。

 あと、この「デビルズ・バックボーン」は、「オール・アバウト・マイ・マザー」(1998)や、「トーク・トゥ・ハー」(2002)のペドロ・アルモドバルが製作にクレジットされています。

 面白かったです。非常によくできていました。



 この映画の次に、「パンズ・ラビリンス」を見たのですが、どちらもスペイン内戦と子供の世界が入れ子構造のようになっていました。

 そういった構造が好きな監督なのかなと思いました。

 あと、この映画というか、「パンズ・ラビリンス」も含めた二作で特筆するべき点は、映像が非常にきれいな点です。

 小道具などにも非常に凝っており、日常の場所の映像であるはずなのに、幻想の世界に片足を突っ込んだような効果を見せています。

 お話も面白かったですが、映像美という点でも優れている作品でした。



 さて、お話です。

 この映画では「スペイン内戦」と「孤児院の子供たちの社会」を入れ子構造にしています。

 内戦と圧政に苦しめられているという状況の中で、孤児院の中でも似たような状況が発生します。

 子供たちにとっては圧倒的な力を持っている、若くて逞しい青年が出てきて、支配的な存在として子供たちや孤児院と対立します。

 このキャラクター配置で上手いなと思ったのは、この青年は、子供たちにとっては圧倒的な力を持っているけど、大人の世界から言えば、だいぶ質の劣る人間だということです。

 失敗を何度もしたり、頭が回らなかったり、自分が意図したことと違う結果を引き起こしてしまったり、そういった人間です。

 つまり、逆らうのは難しいけど、倒せないことはないという強さの敵になっています。

 この匙加減が上手いなと思いました。

 そして、若者がそういった欠点を持った人間であるために、話がクネクネして密度が濃くなっていました。

 障害に何度もぶつかりながら、あの手この手で目的を達しようとして、それが上手くいかずに手数を増やすといった感じです。

 大人の社会、その中間にいる若者、子供の世界が、それぞれ展開していくので、話は重層的で凝縮されたものになっていました。



 映像的な部分も書いておこうと思います。

 小道具の作りこみや、人物造形の作り込みなど、非常にフェティシズムを感じるものでした。

 この映画のイメージの中心になっている「孤児院の庭に突き立つ不発弾」「人間の胎児を漬けた酒」や、孤児院の女院長である「片足が義足の女性」、孤児院自体も「古めかしい修道院」のような雰囲気を持っています。

 若者に関しても「理想的な男性の筋肉美」を演出していました。

 そういった感じで、どこかゴシックさを感じるホラーテイストの映像が丁寧に作られていました。

 また、その暗い雰囲気が、スペインの突き抜けた明るい景色と対象をなしていて強烈なインパクトを与えていました。



 以下、粗筋です。(終盤の直前まで書いてあります。最終的なネタバレはありません)

 スペイン内戦の時代。主人公の少年は、孤児院に預けられる。

 その孤児院は、活動家たちと繋がる場所で、闘争で死んだ人たちの子供を多数預かっていた。

 孤児院には、片足が義足の老女院長や、不能の老医師、若い女性がいた。

 また、かつてこの孤児院で育ち、帰って来た若者も住んでいた。彼は悪い人間たちと付き合っており、孤児院の“ある物”を狙って戻ってきていた。

 それは、活動資金をまとめた金塊であった。彼は、それを手に入れるために、金庫の鍵を探していた。

 主人公は孤児院で暮らし始める。そこで彼は少年の幽霊を見る。幽霊は、かつて孤児院にいた少年だと推測された。

 主人公は、なぜその幽霊が出てきたのか、理由が分からなかった。

 孤児院には、少年たちのボスがいた。新入りである主人公は、彼と対立する。

 幽霊は主人公の前に何度も現れる。そして、この場所で多くの人が死ぬと予言する。

 しばらくして、内戦が激化してきた。そして、孤児院に留まることが危険になってきた。

 老女院長や老医師は、子供たちとともに孤児院を離れる決意を固める。

 だが、その時から歯車が大きく動き出す。若者は、金塊を手に入れるために、孤児院の人間を皆殺しにしようと画策する。

 そして、孤児院の人間たちと、若者とその一味の「戦争」が勃発した。



 上手いなと思ったのは、「若者V.S.子供」の戦争勃発の流れです。

 幽霊と言う、味方か敵か分からない助言者を置いて、徐々に予感を高めていきます。そして戦いが始まると、あとは一気呵成という感じで「内戦の縮図」が展開されていきます。

 これは、本当によくできているなと思いました。

 個人的には「パンズ・ラビリンス」よりも好みでした。

 よくできた面白い映画でした。
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