映画「カプリコン・1」のDVDを十二月中旬に見ました。
1977年のアメリカ・イギリス合作映画、監督・脚本はピーター・ハイアムズ。
ピーター・ハイアムズは「2010年」(1984)の監督、脚本、撮影、製作も行っています。
さて、本作「カプリコン・1」の話を簡単に書くと「NASAは火星に行っていなかった!」というものです。
映画の内容的には、SFではなく政治サスペンスです。陰謀物です。
DVDには、背景などを書いた文章が付いていましたが、ちょうどこの頃、「人類は月に行っていなかった」という疑惑が世間で取り沙汰されており、それを受けた映画だそうです。
□Wikipedia - アポロ計画陰謀論
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82... 製作当初はNASAに協力してもらっていたそうですが、途中で映画の内容を知って、反転して協力を拒否したそうです。
いや、NASA、事前に内容を確認しようよと思いました。
ちなみに、初めて人間を月に着陸させることに成功したアポロ11号は1969年、アポロ計画での最後の飛行となったアポロ17号は1972年です。
この映画は、その五年後(1977年)に製作されています。(補足:ちなみに、スペースシャトルの初打ち上げは1981年です)
□Wikipedia - アポロ計画
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82... また、アメリカ政府への不信が高まったベトナム戦争は1965年から1975年になります。
この映画は、そういった社会背景を元にして作られています。
さて、なぜこの時期にこの映画を見たかというと、たぶん中国のロケットに対する疑惑がネットで取り沙汰されていたのが原因だと思います。
ツタヤ・ディスカスに登録したのが、ちょっと前だったので、記憶が定かではありませんが。
この問題については、松浦晋也さんのブログに情報がまとまっています。
□松浦晋也のL/D - 神舟7号における、船外活動の画像に関するFAQ(よくある質問と答え)Ver.1.1(2008年10月16日木曜日版)
http://smatsu.air-nifty.com/lbyd/7/index.html この絡みで、アポロ計画の疑惑について扱っていた映画も押さえておいた方がいいだろうと思ったのではないかと思います。
我ながら、自分の記憶に頼りがありません。
映画ですが、非常に面白かったです。
主人公の憤りや焦燥感、そして後半の“命を掛けた展開”。それらの裏で動き続ける「何かに気が付いてしまったジャーナリスト」の奮闘。
そして最後の場面での満足感。
よくできた映画でした。
以下、粗筋です。(ある程度のネタばれあり。映画の半ばぐらいまで書いています)
NASAの宇宙計画は、予算の減額と世間の無関心で縮小へと向かいつつあった。その中、起死回生の計画として火星行きの準備が進められていた。
主人公は、その火星行きロケットのパイロット。彼らパイロットは、出発の直前に、この計画の責任者の博士に連れ出される。
彼らは、わけが分からないまま、飛行機に乗せられ、別の場所に移動させられる。
着いた先は、閉鎖された軍事施設だった。その中には巨大な火星のセットがあった。
博士は熱を込めて語り出す。有人火星計画は中止するわけにはいかないのだ……。
ロケットの生命維持装置には不具合が発見されていた。それは納入業者の不正が原因だった。
博士は、国民を騙す撮影をこの場所で行うと告げる。
パイロットたちは博士の計画に反対する。しかし博士は、この計画は既に私の手を離れたと告げる。彼の背後には、国家が、軍がいた。
そして、家族の命の危険をほのめかされたパイロットたちは、セットの中の宇宙船で活動を始める。
国民は、この陰謀に気付かずに、宇宙計画に関心を寄せ始める。
だが、一人だけ不審に思った人間がいた。NASAの職員である彼は、電波が宇宙ではなく、300マイルの距離から来ていることに気付く。
彼はそのことを上司に話すが取り合ってもらえず、友人のジャーナリストに話す。その職員は存在を消される。
そして、ジャーナリストは調査を始める。
“火星に行った”宇宙船は地球へと向かう。しかし、大気圏に差し掛かったところでその通信が途絶する。
“回収予定”だと知らされていたパイロットたちは、口封じのために自分たちが殺されるのではないかと考える。その予感は当たっていた。
博士は、宇宙船が燃え尽きたと発表する。そして、この犠牲をプロパガンダとして利用する。
だがその頃、パイロットたちは飛行機を奪って脱走していた。彼らは砂漠に不時着して、火星からの帰還よりも困難な逃亡劇を始めた。
映画は、丁寧に作られており面白かったです。
特に後半、サバイバルに入ってからの絶望的な逃走劇が、非常によくできていました。