映画「バットマン」のDVDを一月上旬に見ました。
1989年の作品で、監督はティム・バートン、原案・脚本はサム・ハム。
当時見ればそれなりに面白かったのでしょうが、「ダークナイト」(2008)を見た後ではさすがに霞みます。
それなりによい映画だとは思いますが、「ダークナイト」の方が圧倒的に出来がいいです。
あと、旧シリーズ共通の部分なのですが、随所に入るコメディータッチのノリが、どうにも軽過ぎる気がします。これも、「ダークナイト」を見た後だからの感想で、見る前だと、もう少し違った見方になるだろうなと感じました。
この映画は、「バットマン」V.S.「ジョーカー」の話です。
ジョーカー誕生にバットマンが関わり、ジョーカーがバットマンを憎み、引きずり出して倒そうとする内容です。
同じジョーカー物でも、「ダークナイト」の方が、密度も濃く、テーマの掘り下げも深く、アクション的にも優れています。
ただ、演出に限って言うと、製作費の規模がだいぶ違うと思いますので、それは仕方がない部分があるだろうとは思います。映画の方向性も大きく違いますので。
しかし、その点を差し引いても、「ダークナイト」が圧勝でした。
さて、ジョーカーの話です。
この映画のジョーカーは、ジャック・ニコルソンです。これは、非常に存在感があり、バットマンを食っていました。
脚本上も、「バットマンの映画」というよりは「ジョーカーの映画」といった感じで、事実上の主役はジョーカーでした。
そのため、この映画を見た後、「ああ、ヒース・レジャーが、ジョーカーを演じるにあたって、命懸けで挑んだのも分かるな」と思いました。
バットマンシリーズで、ジョーカーが出てくる映画の、本当の主人公はジョーカーなので。
この映画では、ジョーカーが、全映画の半分以上を持っていってました。
話に関しては、「ダークナイト」圧勝という感じでしたので、以下では、それ以外のことについて書きます。
この映画でなかなかよかったのは、キム・ベイシンガー演じる女性眼鏡カメラマン、ヴィッキー・ベールです。
やたら太いフレームの眼鏡を掛けていて似合っていました。
まあ、眼鏡うんぬん関係なく、非常に美人な女優さんなのですが。
このヴィッキー・ベールは、バットマンの中の人のブルース・ウェインの恋人役を務めるのですが、会ったその日に恋に落ちてベッドインするのはいかがなものかと思いました。
まあ、映画なので、尺の関係で無駄な過程はすっ飛ばさないといけないのでしょうが、それにしても速いなと思いました。
演出に関して気になった点についても書きます。
この映画だけでなく、旧シリーズの映画に共通していることなのですが、悪役の襲撃シーンが、非常にのんびりとしていて、コメディータッチです。
サーカスのピエロが、よたよたと歩いてきて芸を披露するような感じです。
そういった演出なのは分かるのですが、ちょっと間延びした感じを覚えました。これも「ダークナイト」の影響だと思いますが。
あと、気になったのは、「この映画のバットマンって、人をばんばん殺してない?」という点です。
バットマンが、人殺しはしないというのは、新版以降の設定だったのでしょうか? それとも、殺しているように見えて、実は殺していないという演出だったのでしょうか?
ちょっと気になりました。
以下、粗筋です。(ネタバレあり。終盤の直前まで書いています)
犯罪都市ゴッサム・シティ。その街の中にある悪党組織の幹部の一人に、武闘派の男がいた。彼はボスの女を寝取っており、ボスの後釜を狙っていた。
しかし、ある仕事の時に、ボスに裏切られて警察に追い詰められる。その現場にはバットマンも来ていた。そして、バットマンとの戦いの末、化学薬品槽に落ちる。
死んだと思われていた彼は生きていた。しかし、薬品のせいで、死人のような顔色と、硬直した笑みの表情となってしまった。彼は自らをジョーカーと名乗る。
ジョーカーは、化学の知識を持っていた。彼は化粧品などに、混ぜると毒になる仕掛けを施して市場に放つ。そのせいで、世間は大混乱となる。
バットマンは、ジョーカーの暴走を止めるために、彼について調べ始める。その頃バットマンの本体であるブルースは、美人カメラマンと付き合っていた。
その彼女に、ジョーカーは恋をする。
そして、バットマン、女性カメラマン、ジョーカーの、三角関係のバトルが始まる。その戦いの途中、ジョーカーが漏らした台詞から、バットマンは自分の両親の仇がジョーカーであることを知る……。
映画を見た最終的な感想は、「ダークナイトの前に、探して見ておくべきだった」でした。
リメイクが、圧倒的に前作を凌ぐことは少ないですが、「ダークナイト」はその数少ない例となっていました。まあ、リメイクというよりは、完全新作なのですが。