2008年の読書のまとめ3月分です。
星による評価の基準については前述の通りです。
● 2008年03月(7冊/計12冊)
■ 09 藤原定家愁艶(田中 阿里子)(★★☆☆☆)
定家が主人公の小説。筆者は歴史関係の著作が多い人です。時系列に沿って書かれています。
それなりに楽しめましたが、だいぶ私の定家像とは違っていました。この本では、定家を繊細な貴族風に書いていましたので。
私の印象では、定家は鬱屈の塊のような人です。私は定家を、能力と自意識が高過ぎるせいで、世間と自分に不満を煮えたぎらせ、いつも顔を歪めながら、ぶつぶつと悪態を呟き続けるような人だと思っています。
■ 17 大誘拐—天藤真推理小説全集〈9〉(天藤 真)(
★★★★☆)
紀州一の大富豪のおばあさんを誘拐してみたら、おばあちゃんの能力が高過ぎて、誘拐を乗っ取られるというお話。
これは傑作。何よりもヒロインがキュート過ぎます。最高。
おばあちゃんの圧倒的な計算高さが堪能できます。そして、おばあちゃんの人間的魅力も堪能できます。「器のでかさ」とはこのことだと思います。
本編からは逸れますが、最後の体重計の下りは、顔がにやけてしまいました。
■ 22 遊べる○○(なんとか)メーカー100選(ジェネレーター研究会)(★★☆☆☆)
仕事のための資料本。うちのサイトも載っています。いろいろなサイトがあるんですね。
■ 23 街道をゆく (13)(司馬 遼太郎)(★★☆☆☆)
壱岐対馬編。芭蕉の弟子の曾良の話が出てきます。壱岐・対馬→神道→曾良のコンボで話が出てくるとは思わなかったので、ちょっと驚きました。
あと、小さな島の統治に関する資料として役立つなと思いました。
■ 24 鳥類学者のファンタジア(奥泉 光)(
★★★★★)
いやー、最高に楽しかった。
ジャズと猫とSFとナチス・ドイツの話。「文章が気持ちよくスイングしている」と言えばよいのでしょうか。ジャズピアニストの女主人公の、ゆるゆるぐだぐだ感溢れる、ふにゃふにゃした思考の文章が最高でした。
一文が数行にわたっているのですが、その文章がうねうねくねくねと気持ちよく脳をくすぐってくれます。
話的にはそんなに長いものではないのですが(ページ数は長大ですが)、文章の気持ちのよさと、何気にでかくなるSF話と、猫のおかげでともかく楽しい話でした。
しかしまあ、主人公の圧倒的な緊張感のなさは凄いです。脱帽です。
■ 27 生物と無生物のあいだ(福岡 伸一)(★★☆☆☆)
生物科出身の私には、「ああ懐かしい」という感じでした。
面白いなと思ったのは、日本の科学系の本に多いスタイルではなく、欧米の科学系の本に多い執筆スタイルを採用していたことです。自分の実体験をクロスオーバーしながら、その中に科学の話を当てはめていました。
ただし、そういった欧米の科学系の本と決定的に違うのは、その短さです。この本は、この内容を、このスタイルで、新書サイズにまとめたことに価値があると思います。
■ 30 ブタの動物学(田中 智夫)(★★☆☆☆)
ブタの生態についてのお勉強。現在の養豚が、非常に管理された交配の下で行われているというのがよく分かりました。
家畜というのは、良くも悪くも普通の動物とは大きく違う状態になっているんだなと思い知らされました。