映画「グリマーマン」をGYAOで、七月下旬に見ました。
1996年の映画で、監督はジョン・グレイ、脚本はケヴィン・ブロドビン、そして主演・製作はスティーヴン・セガールです。
● 秀逸な紹介文
この映画は、特に見る予定はなかったのですが、DVDの返却タイミングでGYAOを見た際、紹介文がよかったので見ました。
以下、紹介文の転載です。
ロスを震撼させる連続猟奇殺人事件にロス市警のふたりが挑む姿を描く、サスペンス・アクション。
本作は被害者が十字架に磔りつけられたイエスのようにされるという、スティーブン・セガールにしては珍しいサイコ事件が物語の軸。
サイコな雰囲気が漂う作品ですが、セガールお得意のアクションで、力尽くで事件を解決していく様が痛快です。
「サイコな雰囲気が漂う作品ですが、セガールお得意のアクションで、力尽くで事件を解決していく様が痛快です」
この部分に、ぐっときました。GYAOの感想も「痛快!!」というものが多く、点数も高かったので見てみようという気になりました。
感想は「セガール最高!」という感じです。
サイコな事件の謎を解くために、敵のボスのところに乗り込み、力尽くで口を割らせます。まさにセガール節。
何かが間違っているような気がするのですが、そんなことはお構い無しです。セガールが、ブルドーザーのように突進して、事件をばったばったと解決する様がよいのです。
久しぶりに、セガールを堪能しました。たまには、こういったのも見ないといけないですね。
何気に、運動の時に見るのは、こういった映画の方がよかったりします。運動が捗りますので。
セガールに飢えている。痛快な映画に飢えている。そういった向きの方にはお薦めできると思います。
でも、セガールが苦手。サイコな雰囲気の映画は、サイコな謎解きをして欲しい。そういった人には向かないよなと思いました。
● バディ物
この映画は、何気にバディ物です。セガールは刑事で、新しい土地にやって来て、そこの刑事とコンビを組みます。
組む相手は黒人なのですが、総受けです。セガールの滅茶苦茶さに、常識人として突っ込みを入れる(&とばっちりを受ける)のが仕事です。
どこらへんが「滅茶苦茶」かというと、こんな感じです。
・主人公は、なぜかセガール。
・主人公は、なぜかブッディスト。
・主人公は、なぜかスピリチュアル。
・主人公は、なぜか漢方薬マニア。
・主人公は、すぐに暴力で物事を解決する。
・主人公が歩いたあとは、なぜか死屍累々。
・主人公は、なぜか過去に軍の特殊……。
最後の「過去に軍の……」のくだりは、沈黙シリーズと変わりません。
「ありがとうございます。立派なセガールでした」という感じです。
こんな主人公を、相棒は文句ぶーたれながらも協力します。心の広い相棒だなと思いました。まあ、最後には切れていましたが。
● 相棒役の役者
この相棒役のキーネン・アイヴォリー・ウェイアンズですが、非常に多彩な人のようですね。
俳優、コメディアン、監督、脚本家とのこと。
□Wikipedia - キーネン・アイヴォリー・ウェイアンズ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%8D%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%BA 「最終絶叫計画」(2000年)の監督もしています。コメディアンとしても成功していて、1990年に、自分の作った番組で、エミー賞バラエティ・音楽・コメディ番組部門の作品賞を取っているそうです。
凄いなと思いました。
● 暴力での事件解決
さて、サイコな事件が、なぜ暴力で解決するのかというお話です。
これは、サイコな事件から、微妙に位相をずらすことで、セガール界に引きずりこむことに成功しているからです。
冒頭の話なので、ネタバレなど気にせず書きます。
サイコな事件の、事件現場を見たセガールは一言呟きます。
「これは、これまでの連続殺人事件とは違う。プロの仕業だ」
つまり、サイコな事件と平行して、それに見せかけた別の殺人事件が発生していて、その「プロの犯行」を追うことになるわけです。
この「別の殺人事件」が、セガール界の事件です。つまり、強烈な暴力と、大きな陰謀が渦巻く、バトル・ワールドなわけです。
この事件に足を突っ込むことで、セガールお得意のアクションが展開します。当然、刑事物なので、その過程でサイコな事件も解決します。
出だしはどうであれ、自分の世界に引きずり込んで話を進めるのは、さすがセガールだと思いました。
● 粗筋
以下、粗筋です(ネタバレあり。終盤まで書いています)。
主人公はセガール。彼はニューヨークからロサンジェルスに赴任してきた警察官だ。彼はニューヨークで、事件を強引な手法で解決し、死者を出していた。
彼は良識派の黒人とコンビを組まされる。
二人は、最近ロスで起こっている猟奇殺人事件を追う。そして事件現場に足を運ぶ。主人公はその現場に来て、「これはこれまでの猟奇殺人に見せかけた別の殺人事件だ」と気付く。
また、町にやって来て早々、主人公は学校に立てこもった男と対峙する。恋に破れた男性は、教師をしている女性の教室にやって来て、拳銃を抜いていた。
このままでは射殺されてしまう。主人公は、その男性を力尽で押さえ込み逮捕する。
その男は、町の有力者の息子だった。有力者は主人公を取り込もうとするが、彼は拒否する。そして、二人は対立する。そして有力者は主人公に圧力を掛け始める。
調査を進めていくうちに、主人公の元妻も猟奇殺人の被害者となる。そして、主人公に嫌疑がかかる。その裏には、町の有力者と、主人公の元上司がいた。
主人公は、町の有力者と元上司と敵対し、彼らの秘密を暴こうとする。そして、その過程で、猟奇殺人事件を解決しながら、全面戦争へとなだれ込んでいく。
● 90分級
映画のなかでも、痛快アクション映画は90分ぐらいがよいなと思っています。リュック・ベッソンの、最近の痛快アクション映画とかは、この時間ですし。
これぐらいだと、途中でだれずに、アクションだけで最後まで突っ走れますから。
というわけで、この「グリマーマン」は、なかなか面白かったです。