映画「戦争の犬たち」のDVDを、八月下旬に見ました。
1980年の映画で、監督はジョン・アーヴィン、脚本はゲイリー・ディヴォア他、原作はフレデリック・フォーサイスです。
主演はクリストファー・ウォーケンになります。
● フレデリック・フォーサイスの「戦争の犬たち」
さて、この映画を語る上で、まず知っておかなければならないのは、フレデリック・フォーサイス本人です。
この事前知識を仕入れているかどうかで、映画の見方がかなり変わると思います。
それはなぜなのか? 理由は、Wikipediaの以下の引用を見れば分かります。
□Wikipedia - フレデリック・フォーサイス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95... フォーサイスを語る上で欠かせない逸話として赤道ギニアのクーデター支援がある。
『ジャッカルの日』の印税により、ナイジェリアでの独立戦争に敗れ祖国を失ったビアフラ人のために傭兵部隊を雇い、赤道ギニア共和国に対しクーデターによる政権転覆を図った。
しかし、計画は頓挫。この事件を下地にして、執筆されたのが第3作目にあたる『戦争の犬たち』。クーデターは、この物語では成功している。
というわけで、本で儲けた印税でクーデターを目論み、失敗した経験を元に本を書いて、そこでリベンジを果たしたというわけです。
その前提でこの映画を見ると、いろいろと感慨深いものがあります。
ちなみに映画は、前半の準備部分を大幅に省略して、映画独自の設定を加えているそうです。
□Wikipedia - 戦争の犬たち
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%A6... というわけで、「ジャッカルの日」(1973)、「オデッサファイル」(1974)に続けて、この映画を見ました。
● ストレートな映画
この映画の主役は傭兵です。主人公は、映画の前半、アフリカの独裁国に調査のために侵入し、そこで拷問を受けます。
帰ってきたあと、その政府転覆の仕事を依頼されて、仲間とともに、大統領の住む基地を襲撃します。
結果は、既に説明した通りです。
なんというか、非常にストレートな映画でした。紆余曲折はほとんどないです。この映画は、前に説明したフォーサイスの背景があると、「映画が始まった時点でリベンジ」なので燃えるのですが、そういった前知識がないと、たぶんそのまんま過ぎるだろうと思いました。
同じフォーサイスの映画でも、「ジャッカルの日」の準備パートが面白かったので、前半の準備部分を削ったという本作は、その魅力がなくなっているんだろうなと思いました。
ネタとしては見ておきたい映画ですが、予備情報なしの単体では、ちょっと面白さに欠けるだろうと思いました。
● 独裁者
映画には、独裁者が出てきます。その独裁者は、混乱期に大統領候補になった三人のうち一人です。
その内訳は、軍人、軍人、医者です。
誰が独裁者になっているかは一目瞭然です。軍人です。医者は、刑務所に入れられ、医療に従事させられています。
主人公が政府転覆の依頼を受けるにあたって、その依頼者は次の大統領を用意してきます。亡命しているもう一人の軍人です。その軍人が、現大統領と五十歩百歩という感じなのが凄かったです。
彼が得意げに口にした「奴は神になろうとしている。俺は金持ちになりたいだけなんだ」という台詞が壮絶でした。
国政をまるで考えていない。完全に自分のことしか考えていない。
くらくらときました。
● 粗筋
以下、粗筋です。(ネタバレあり。最後まで書いています)
主人公は傭兵。彼はある日、仕事の依頼を受ける。それはアフリカの独裁国家の内情を探るというものだった。依頼者は、その国の安定度を知り、投資に値するかどうか調べたいと思っていた。
主人公は現地入りして、調査を開始する。しかし、スパイだと思われ、捕まり拷問されてしまう。そこで主人公は、監獄で医療に従事させられている、元医者の大統領候補だった男に出会う。
主人公は、どうにか解放されて国外に出たが、体はぼろぼろになっていた。
その彼の許に、依頼者が再びやってくる。調査した国が不安定で、投資に値しなかったから、大統領を取り替えるという。そのために、現大統領を襲撃して倒して欲しいと言われる。
拷問の体験が尾を引いている主人公は、いったんその依頼を断るが、行う決意をする。
主人公は依頼者から、新しい大統領候補を紹介される。元軍人のその男は、現大統領と五十歩百歩の下劣な人間だった。
襲撃が始まる。主人公は現大統領を打倒する。鎮圧が完了したあと、依頼者と新しい大統領候補がやって来る。
主人公は、その二人に「遅すぎた」と言う。大統領の席には、元医者の大統領候補だった男が座っていた。主人公は、新しい大統領候補を射殺する。そして、元医者を大統領にする。
● その他
映画のなかには、現地で映画を撮影している映画監督が出てきます。
中盤でも少し絡んできますが、ちょっと面白かったです。
あと、主人公のクリストファー・ウォーケンがよかったです。映画を見ている間中、「見たことあるけど、誰だ?」と思っていたら、クリストファー・ウォーケンでした。
早く気付けよ自分、と思いました。