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2009年11月24日 21:52:54
26世紀青年
 映画「26世紀青年」のDVDを、九月中旬に見ました。

 2006年の映画で、監督・原案・脚本はマイク・ジャッジです。

 この映画の原題は「IDIOCRACY」です。たぶん邦題は、「二十世紀少年」に引っ掛けたのでしょうが、こういった邦題の付け方はやめて欲しいと思いました。



● お馬鹿が世界を席巻する

 この映画は、低学歴で、セックスばっかりやっている人は子孫が増えて、高学歴で、子供を作ることに慎重な人は子孫が減って、結果的に人類はお馬鹿ばかりになっていくというコメディ映画です。

 そこに、コールド・スリープ・ネタを持ってきて、そういった「お馬鹿未来」に、現代の普通の男女が紛れ込み、「天才」として諸問題を解決していくというドタバタを描いています。

 けっこう面白かったですが、特に深みはなく、物凄い面白いという類の映画ではなかったです。作りも、かなり緩かったですし。

 まあ実際、こういった人口比率は、どこでも起こっている問題だと思います。

 でも、人類の社会としては、全員が高度な教育が必要なわけではなく、全員が高学歴になると、高学歴なのに単純労働しかできず、アイデンティティの問題に悩まされるといった弊害も起こってきます。

 だからといって、教育を不均衡にしろという気はないです。教育は機会の平等のために行うものですから。人間は、教育を受けられないまま、自己努力で這い上がることは極めて困難ですので。

 たぶん、理想としては、人類の数を思いっきり減らして、単純労働はロボットで解決するといったところに持っていくのがよいのだろうと思います。

 でも実際の社会では、この映画のように、教育が受けられず、社会での成功が難しいが故の、ネズミ算式な人口増加と、そうやって増えた人を食い物にする人の数の増加で、バランスが取れているのだと思います。

 現実の社会でも、一部の経済貴族が、世間の大多数の貧乏人(いわゆる一般人を含む)を支配する体制が、今でも続いていますので。

 いろいろと書いてしまいましたが、コメディ映画なので、こんなことを考えずに見るのがよいと思います。



● 馬鹿未来の描写

 この映画の肝はここにあると思います。

 病院の診察が、医師がアイコンを押すだけになっていたり、水が全部清涼飲料水になっていたり、エロとバカとデブと筋肉しかない社会になっていたり、こういった変な世界にゲラゲラするのが、この映画の見所だと思います。

 テンポはそれほどよいわけではないですが、こういった「if」のアイデアは面白かったです。

 でもまあ、「お馬鹿社会」になって、かなりの時間が経つようだけど、どうやって機械や社会システムをメンテナンスしているのかは、気になりました。

 あと、微妙に、この「お馬鹿社会」って「現代のことだよね」とも思いました。



● オチ

 この映画は、コールド・スリープを使ったタイム・スリップ物です。

 オチはエンドロールのあとにあるので、しっかりと見ておく必要があります。

 映画中、何度も連呼していた伏線が、きちんと回収されていました。「そういえば、あそこのあれは気になっていたな」と思いました。



● 粗筋

 以下、粗筋です(少しだけネタバレあり。中盤ぐらいまで書いています)。

 主人公は米軍の兵士。彼は、米軍のなかで最も平均的な人間として、ある実験に借り出される。

 彼は一年間のコールド・スリープの実験台として、娼婦の女性とともに冷凍装置のなかに入る。しかし、極秘実験の手違いにより、五百年間の眠りにつくことになる。

 目覚めた彼らは、五百年後の世界に戸惑う。世界中の人々はお馬鹿になっており、世の中はゴミ問題や農業問題で深刻な状況になっていた。

 最初は、未来の社会に適合できずに、犯罪者として扱われる主人公だが、彼の頭脳が世界で一番よいことが判明して、これらの問題の解決に借り出される。

 主人公は、期限を切られて、生命を脅かされながら、その問題に取り組む。そして、タイム・マシンをどうにか探して、過去の世界に戻ろうとする……。



● 主人公とヒロインの関係

 主人公は、ヒロインが娼婦であることを知りません。

 そして、ヒロインが言った「芸術家である」という嘘を、ずっと信じて、彼女のことを尊重します。

 この描写がなかなかよかったです。主人公の素直で正直で、でも間の抜けた性格が、この描写で上手く表現されていました。



● 90分級の映画

 この映画の長さは85分です。

 90分級のお気楽映画ということで、気軽に見るべきものだよなと思いました。

 ただ、個人的にはもう少し濃い内容を想像していたので、それほどでもなかったなというのが、正直なところでした。

 まあ、少し空いた時間に、ちょっと見て笑うのが、正しい見方なんだと思います。
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