映画「ザ・カンニング [IQ=0]」のDVDを、十一月上旬に見ました。
1980年のフランス映画で、監督・脚本はクロード・ジディです。主演はダニエル・オートゥイユです。
ダニエル・オートゥイユは、最近では「あるいは裏切りという名の犬」(2004)で出ていましたが、こんな軽妙なコメディにも出ていたのですね。
● ギャグマンガの世界
この映画は、そのままギャグマンガの世界です。どれぐらいギャグマンガかというと、「奇面組」とか、そのレベルのギャグマンガの世界です。
映画は、大学受験を目指す、家を使った私設予備校が舞台です。
まず、そもそもこの予備校の存在意味自体が謎です。去年の合格者数ゼロ……。「役に立っていないじゃん!」と突っ込んでしまいます。
そこに通っている生徒たちが、本当に頭が悪いです。勉強ができるできないという意味での頭の悪さではなく、「無駄な方向にしか頭を使わない」という意味での頭の悪さです。
悪戯とか、そういったことにはいくらでも頭を使いますが、受験勉強は全くしません。
映画は終盤の直前まで、この生徒たちと、何とか勉強をさせて合格率を上げようとする教師とのドタバタバトルになります。
映画には、受験の秘密兵器として巨大勉強装置が出てきたり、もうやりたい放題です。そして、題の通り、最後はカンニング大作戦になります。
あまり期待せずにこの映画を見たのですが、思ったよりも楽しめました。93分ぐらいの映画なので、尺もこの手のコメディにはちょうどよいですし。
しかしまあ、フランスでも、こういったコメディが作られているんだなと思いました。フランスのコメディって知りませんでしたので。
● 誰とでも寝る女性の扱い
映画中、予備校生の中に、おっとりしていて、誰でもすぐに好きになって、いつの間にか寝ている女の子が出てきます。ふわふわ、にこにこしていて、誰にでも愛される女の子です。
この女の子の妊娠が、映画の途中で発覚します。
その時の周囲の男たちの反応が、ちょっと意外でした。
全員で喜び、「みんなで父親になる」というものでした。
これが、フランスの文化なのか、映画としてのコメディ部分なのか、ちょっと分かりませんでした。
あまりにも当たり前のように全員が受け答えしていましたので。
これって、実際どうなんでしょう? そこらへんの文化の違いを知っている人がいれば、教えてもらいたい部分だなと思いました。
● 粗筋
以下、粗筋です(映画の終盤近くまで書いています。ネタバレが気になるような映画ではないので、特に気にしなくてもよいと思います)。
主人公たちは、大学受験を目指す予備校に通う生徒たち。
彼らは勉強には興味がなく、それぞれ好き勝手なことをしている。
しかし、そのせいで、この予備校の合格率は0%だった。教師たちは頭を悩ませ、今年こそ合格者を出そうと意気込む。そして、生徒と教師のバトルが始まった。
そのバトルは、どんどんエスカレートしていき、生徒たちは悪戯のために爆弾まで作り出す。
だが、その爆弾が、テロリストの爆弾とすりかえられてしまって、予備校が盛大に吹っ飛んでしまった。
生徒たちは裁判にかけられ、大学受験に合格しなければ刑務所に送られるということになる。
彼らは本気を出し、全ての力を傾けて、カンニングの準備を始めた……。
● その他
映画には、生徒たちと対立する警察署の署長さんが出てくるのですが、ちょっとかわいそうでした。
彼らのせいで、署長から平警官に落とされ、閑職に回されてしまっていたので。
彼自身は何も悪いことをしていないのになと思いました。