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2010年02月03日 15:34:06
グロリア
 映画「グロリア」のDVDを、十二月上旬に見ました。

 1980年の映画で、監督・脚本はジョン・カサヴェテス。主演はジーナ・ローランズです。

 主演のジーナ・ローランズは、監督のジョン・カサヴェテスの奥さんだそうです。

 面白かったです。よくできた映画でした。



● 他の作品への影響

 この映画を見始めて、真っ先に感じたのは、主人公である中年女性のグロリアの肝っ玉の据わった格好よさです。

 この映画は、美しさの盛りをとうに過ぎた女性が主人公なのですが、滅法格好良いです。

 また、その「格好良い」という感想とともに、「タランティーノは、この映画好きそう。タランティーノ版も見てみたい」と思いました。また、「ジャッキー・ブラウンは、この映画の影響を受けているのではないか?」とも思いました。

 あとで調べてみると、直接の影響下にある映画は、リュック・ベッソンの「レオン」(1994年)のようですね。こちらは納得。

 ともかく主人公が、ふてぶてしくて格好よくてたまらず、一つの理想像になりそうなキャラだなと思いました。



● 主人公グロリアの格好良さ

 前項で書きましたが、ともかく主人公グロリアが格好よいです。

 ひょんなことから、同じアパートに住んでいた少年を預かることになったグロリア。少年の家族は、マフィアに殺され、少年は彼が持つ帳簿とともに狙われることになる……。

 そういった状態になったグロリアは、この子供を連れて、ともかく逃げる、逃げる、逃げる。さらに、やって来たマフィアを迎撃する、迎撃する、迎撃する。

 こう書くと、グロリアはマッチョでタフな女ターミネーターみたいですが、そんなことはなく、単なるおばさんです。そして、度胸と機転と泥臭い方法で、危機を次々と切り抜けていきます。

 また、意図せず預かることになった少年との距離感もよいです。「私はガキは嫌いだよ」という感じで突き放していますが、けっこう面倒見がよいです。そして、心配性です。

 そんなグロリア姐さんが、この映画の最大の魅力でした。



● 子供のフィルの男の子らしさ

 グロリアに預けられる少年フィルは、小さな男の子です。

 この子供の言動が実によいです。「ラテン系男子、齢六歳にして女たらしな台詞を吐く」という感じです。

 自分を守ってくれるグロリアを、仮の母のように慕いつつ、恋人のように振舞おうとする。

 その様子が、なかなかにキュートで、「仕方がないなあ」と思わせる愛敬がありました。

 ツンツンしたグロリア姐さんと、天然女ったらしなフィル坊やの関係が、くすぐったくも面白い映画でした。



● 映画の舞台

 映画の途中で気付いて驚いたのですが、映画の舞台はニューヨークです。最初、映像の質感とか、描かれている内容とかから、中米〜南米辺りが舞台かと思っていました。

 ニューヨークと言っても、どういった人たちが住んでいるかで、見た目はガラリと変わるのですね。びっくりしました。

 映画は途中から「ニューヨークからの脱出話」になるので、「ああ、ニューヨークだったんだ」と分るのですが、最初は、中南米辺りの話かなと思っていました。



● 音楽

 音楽が、やたら激しく、場面を盛り上げていました。

 映画の舞台を、中南米だと誤認した理由の一つは、この音楽でした。



● 粗筋

 以下、粗筋です。(ネタバレあり。終盤の直前まで書いています)

 主人公は中年女性。彼女はアパートに住んでいた。同じアパートに住んでいる男性は、マフィアの会計係で、裏帳簿をFBIに漏らしていた。危険を感じた男性とその家族は、たまたま部屋にやってきた主人公に、末息子を預ける。

 少年を連れて部屋に戻った主人公は銃声を聞く。彼女は少年を連れて逃亡を始める。

 だが、マフィアは少年を見逃すつもりはなかった。また、少年が持っている帳簿を取り返す気でいた。

 主人公は、潜伏先を次々と移しながら逃亡を続ける。そんな主人公は、マフィアの何人かと顔見知りだった。彼女はかつて、マフィアのボスの情婦だった。

 かつての仲間を裏切りながら逃亡を続ける主人公。しかし、包囲の輪は縮まっていく。彼女は少年を逃がすために、単身マフィアのボスのところに乗り込んでいく。



● まとめ

 映画自体も面白かったですが、後の影響なども考えて、押さえておいた方がよい作品だと思いました。

 また、ファンの多そうな映画だなと思いました。
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