映画「セロニアス・モンク/ストレート・ノー・チェイサー」(Thelonious Monk Straight No Chaser)のDVDを、一月の下旬に見ました。
1988年の映画で、監督はシャーロット・ズウェリン、製作総指揮はクリント・イーストウッド、出演はセロニアス・モンク本人のドキュメンタリーです。
● ジャズ
ジャズ好きのイーストウッドが製作総指揮をしているということで、前回の「バード」(1988年)と同じ流れで見ました。同年に作られた映画です。
「バード」の主人公のチャーリー・パーカーは、1920年 - 1955年。本作の主人公のセロニアス・モンクは1917年 - 1982年なので、同時代の人です。ただし、セロニアス・モンクの方が六十四歳と長生きしています。チャーリー・パーカーは三十四歳で亡くなっているので。
セロニアス・モンクはピアノ奏者で、多くのジャズのスタンダード・ナンバーを作ったことで有名な人です。
映画は、そのセロニアス・モンクの楽曲で彩られています。専門家や周辺人物などのインタビューや解説といったわずかな台詞を除けば、ほとんどが演奏で構成されています。
演奏やその前後では、気難しそうなセロニアス・モンクの姿が何度も繰り返されていました。
そして映画の後半は、セロニアス・モンクの欧州ツアーの映像が中心になって構成されていました。
● 奥さんと子供
映画には、インタビュー相手の一人として、セロニアス・モンクの息子が出てきました。
子供からすると、セロニアス・モンクは接するのが難しい人だったようです。かなり気難しい人だったようで、子供ながらに、父親を避けようとしていたみたいなことを語っていました(そして、そのことを母親に叱られていたようです)。
逆に母親は、妻としてセロニアス・モンクにぴったりと寄り添っていたようです。セロニアス・モンクは、奥さんなしには何もできず、彼女がいつも一緒に同行していないと駄目だったと映画では語られていました。
映画のインタビューでは、この奥さんは、セロニアス・モンクの才能を伸ばすためには何が必要なのかを理解していて、そのための努力を惜しまなかったようです。そのためにセロニアス・モンクは、音楽のことだけを考えて生きることができたようでした。
それが理想の関係かどうかは分りませんが、天才とその相方としては、バランスの取れた関係だったのではないかと思いました。
● キャバレー・カード
今回の映画でも、前回の「バード」でも、ニューヨークでの「キャバレー・カード」の話が出てきました。
話には聞いていたけれど、詳しくは知らなかったので、ちょっとネットで調べてみました。
□JAZZ用語事典【キ】 - キャバレー・カード(New York City Cabaret Card)
http://youplay-jazz.com/...□Wikipedia - New York City Cabaret Card
http://en.wikipedia.org/... 1967年までは存在したそうです。何年から開始されたかは不明でした。「政治的理由や言動、衣装などを理由にこの許可を取り消され、多くの人が職を失った」とあるので、かなりの圧力になっていたようです。
上記の説明では、まさにチャーリー・パーカーやセロニアス・モンクが、カード取得でトラブルがあった人のようでした。
● ヴィレッジヴァンガード
日本では、書店のヴィレッジヴァンガードが有名ですが、ジャズの方で出てくるヴィレッジヴァンガードについて調べてみました。
□Wikipedia - ヴィレッジ・ヴァンガード
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%... 1935年に開店した当初は前衛芸術家の発表の拠点だったが、1940年代後半からジャズのライブを行うようになり、ジャズ界の名門クラブとして知られるようになった。
元々は前衛芸術家の発表の拠点だったのですか。そっちは知りませんでした。
なんか、こういった場所はよいですね。近くにもそういった店があればよいのにと思いました。
● 粗筋
今回はインタビューが中心のドキュメンタリーなので、粗筋は割愛します。
基本的には、90分級のミュージック・ビデオ+演奏映像+インタビューという感じでした。