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2010年04月25日 01:14:57
ゾディアック
 映画「ゾディアック」のDVDを、三月上旬に見ました。

 2007年の映画で、監督はデヴィッド・フィンチャー、脚本はジェームズ・ヴァンダービルトです。

 主演は、ジェイク・ギレンホール、客演は、マーク・ラファロ、ロバート・ダウニー・Jrです。

 ジェイク・ギレンホールって、どこかで見た気がしていたのですが、「ブロークバック・マウンテン」(2005)で、ヒース・レジャーの相方をやっていた人ですね。失念していました。

 デヴィッド・フィンチャーは、以下の監督をしている人です。

・「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」(2008)
・「パニック・ルーム」(2002)
・「ファイト・クラブ」(1999)
・「ゲーム」(1997)
・「セブン」(1995)
・「エイリアン3」(1992)



● ゾディアック事件

 1968年から1974年のサンフランシスコで起きた連続殺人事件。

 殺人犯が、ゾディアック記号を書いた暗号文を新聞社に送って来たことで有名。新聞社への手紙だけでなく、テレビへの音声出演をしたり、劇場型連続殺人事件の走りともいうべきもの。

 結局犯人は捕まっておらず、犯罪史に残る事件となっています。

 殺人事件を調べていると、必ず名前が出てくる事件なので、知っている人も多いと思います。

 最近読んだ「現代殺人百科」にも、一項目割いて、解説が載っていました。



● 主人公がフィクションかと思っていた

 さて、映画の「ゾディアック」です。この映画の主人公は、新聞社に勤める風刺マンガ家です。

 記者ではないけれど、編集会議に参加して(ただし発言権はなし)、社会の空気を捉えた一枚マンガを描くことが仕事です。

 彼は、このゾディアック事件の時に新聞社にいて、事件に興味を持ち、情報をスクラップしたり、暗号文を解いたりします。

 そして、映画の後半では、独自の調査を行い、ゾディアック事件に関する本を出します。

 この主人公ですが、最初は架空の人物だと思っていました。

 だって、新聞社に勤める風刺マンガ家が事件を追っていくなど、あまりにも出来すぎていて、ちょっとありえないだろうと思っていたからです。

 でも、この人は実在の人物なのですね。映画の最後に、各人物のその後が出てきて驚きました。また、映像特典でも、実在の人物だということが分かってびっくりしました。



● シナリオの重点のシフト

 この映画は、映画が進むにつれて、視点がシフトします。

 映画の序盤は、新聞社と殺人事件と警察と、視点が飛びながら、事件を俯瞰的に描く「神の視点」で話が進んでいきます。

 しかし、映画の折り返し地点以降は、主人公の「一人称視点」へと、映画の視点がシフトしていきます。

 真相に近づくことの危険さとドキドキ感を演出するという意味で、この視点のシフトは成功していました。

 こういった視点の移動が成立するのは、この事件が世間で風化していき、主人公だけしか追わなくなっていくという背景があるからです。

 この、背景世界の変化と、主人公の偏執さが、上手く視点のシフトとマッチしていました。



● デイブ・トースキー刑事の服装

 映画には、捜査を担当する刑事が二人出てきます。この二人は、捜査チームの代表者二人ではなく、捜査チームのメンバーそのものです。

 これだけ世間を騒がせた事件にも関わらず、担当刑事は二人しかいなかったそうです。

 また、各事件の現場は管轄を越境していて、警察の縄張り意識のせいで、情報が共有されていなかったそうです。

 おかげで捜査は難航して、最終的にお蔵入りします。そして、主人公が、各地の警察を回り、情報を集めると、いろいろな事実が浮かび上がってきます。

 この捜査チームの一人が、デイブ・トースキー刑事です。真面目で猪突猛進タイプの刑事ですが、彼の服装がかなり特徴的でした。

 なぜか、いつも、蝶ネクタイをしていて、時代がかっていて、刑事とは思えないお洒落な格好です。

「変わった服装だな」と思っていたのですが、映像特典を見て驚きました。このデイブ・トースキー刑事は、実際の人物も奇抜な服装をしている人だそうです。さらに驚いたのは、映画では物凄く抑えた服装にしていて、実際はもっと凄い服装だったとのことでした。

 どんだけ派手だったんだと思いました。

 まあ、真面目に捜査はするけど、自己顕示欲もけっこうある人だったのかなと思いました。でも、その部分をそのまま出すと、映画としてはキャラの描き方が変わってしまうので、わざと抑えた服装にしたのかなと思います。

 なぜならば、この映画では、警察は連携が取れておらず、唯一その中心で捜査を進めるのが、デイブ・トースキー刑事になるからです。その中で、彼を自己顕示欲の強い人として描くと、警察は全然駄目というように見えてしまいます。

 関係者がまだ生きている事件なので、そういった「面子を潰す」部分は巧妙に避けたのかなと思いました。



● ロバート・ダウニー・Jr

 べろんべろんに酔っ払って落ちていく駄目人間を演じていました。いや、演じているのではなく、本人そのままという感じでした。

 映像特典でも、「特に役作りはしなかったよ」と言っていたので、たぶん素なのだと思います。

 ロバート・ダウニー・Jrまんまの雰囲気だなと思いました。



● 監督の体験

 監督は、子供の頃にこの事件の舞台の場所に住んでいて、その後引っ越して別の地方に移っていったそうです。

 その時に、「あれほど騒がれた事件が、今は全く報道されていない。あの事件は、結局どうなったのだろう」と疑問に思ったそうです。

 まあ、解決していなかったわけですが。

 というわけで、「世間を騒がせた事件が風化していく様」というのが、頭の中にあったのではないかと思いました。

 というのも、映画の途中で、デイブ・トースキー刑事が、こういった内容のことを言うからです。

 事件はゾディアック事件ばかりではない。世の中では、もっと多くの殺人事件が起こっていて、もっとたくさんの人が死んでいる。

 死んだ人の数から言うと、実は小さな事件にしか過ぎず、その事件も、全体のなかでどんどん埋もれていくのだということを感じさせてくれました。



● 事件再現へのこだわり

 映像特典を見て驚いたのですが、現場の作り込みが凄いです。

 たとえば、湖のほとりでの殺人ですが、その現場を再現するために、当時の関係者を現場に呼び、当時の植物の位置を確認して、その場所に適合するように、木を抜いて、ヘリコプターで運んで、植え替えています。

 そこまでするのかと驚きました。



● 粗筋

 以下、粗筋です(中盤を過ぎたところまで書いています)。

 主人公は、新聞社の風刺マンガ家。彼は、新聞社の編集会議に出席していた。その新聞社に、一通の手紙が届く。

 それは、この暗号文を一面で載せなければ、殺人を行うという脅迫状だった。そして、過去に起こった殺人事件の犯人が自分だという証拠も示されていた。その暗号文には、犯人の正体が記されていると書いてあった。

 手紙は、その新聞社だけでなく、他の新聞社にも来ていた。警察に問い合わせたところ、過去の殺人事件は本物だと判明した。各紙は、一面ではなかったが、暗号文を載せた。

 暗号文は解かれたが、そこには犯人の名前はなかった。

 その新聞紙上での暗号文の掲載が、後にゾディアック事件と呼ばれる連続殺人事件の始まりとなった。

 二人組みの刑事は、この事件を追い始める。また、新聞社の記者の一人は、この事件に没頭して、名指して殺人予告を受けるようになる。

 主人公は、そういった人々の動きを見ながら、新聞記事などの情報をスクラップして、独自の推理を行っていく。

 だが、事件は次第に風化していく。その背景には、いくつかの理由があった。犯人の最有力候補だった男の筆跡と、脅迫状の筆跡が一致しなかったこと。新聞に届く殺人の告白に、無関係の事件が多く混ざっていたことなどだ。

 そういったことが続き、新聞でも取り上げられなくなり、事件は忘れ去られていった。

 そうするうちに、刑事のコンビは解散して、事件に没頭していた新聞記者はアルコール依存症で会社を辞める。主人公は結婚して幸せな家庭を築く。

 だが、主人公はゾディアック事件を忘れられなかった。彼は、この事件の情報が散逸していて、どこにもまとまっていないことに問題を感じ、退社した記者のもとに行き、本を書くようにと促す。

 しかし記者は世捨て人のようになっており、主人公の願いは聞き入れられなかった。

 ならば、自分が事件を追う。そう決めた主人公は、事件の情報を集め始める。

 そして、出版の用意があることをマスコミで明かす。そんな彼の家に、誰か分からない人物からの、脅迫電話が掛かるようになった……。
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