映画「宇宙戦艦ヤマト 劇場版」のDVDを、五月上旬に見ました。
1977年の作品で、監督・編集は舛田利雄です。1974年に放映されたアニメの編集版です。
見たような気がしているのですが、記憶になかったのでレンタルしました。切っ掛けは「トップをねらえ!」(1988)を見直したことです。
ヤマトオマージュのシーンに溢れており、ヤマトが見たくなったので思わず借りてしまいました。
圧縮編集版なので、ところどころ繋がっていないのですが、大意としては流れが追えます。そして、やっぱり熱い話で楽しめました。
以下、古い作品なので、ネタバレを気にせずに感想を書いていきます。
● 設定の熱さ
宇宙戦艦ヤマトの成立を見ると、この設定は徐々に追加されていき固まったようですが、非常に燃える設定になっています。
地球を救うために、遠い距離を旅して、救済の道具をもらいに行くという設定は西遊記と同じで鉄板です。
また、若者たちの、戦争による成長の群像劇も燃えます。
さらに、SF的なネタが、旅の場所々々で出て来るのは、銀河鉄道999と同じで飽きさせません。
そして、たどり着いた先に、敵の本拠地があるという設定は、最後の盛り上げとカタルシスを感じさせるのに有効な手段です。
何より、「宇宙戦艦ヤマト」という乗り物が魅力的です。
戦艦大和を復活させるという設定で、物語の外にある大和の持つイメージやストーリーを作中に取り込むことに成功しています。ヤマトの復活シーンなどは、それこそ涙物です。
また敵は、明らかにナチス・ドイツ=第三帝国を模しているのも興奮を誘います。
デスラーは「総統」で、名前からヒトラーを彷彿とさせます。途中で出て来るドメルはロンメルを想起させます。このガミラス帝国の魅力も十分です。
様々な角度から味わえる重厚な設定と、旅と軍事と若者の成長の群像劇という物語で、こりゃあ当時の人たちがはまったのも頷けるなと思いました。
● 繋がっていないシーンと映画版では分からなかった点
テレビ版二十六話を、無理やり二時間強の長さに編集したために、所々話が繋がっていないシーンがありました。
たとえば、直前のシーンで無傷だったキャラが、一秒後には包帯を巻いていたりといった感じです。
話もところどころ「うん?」と思うスキップがあったりしました。まあ、基本的に問題になるレベルではなかったのですが。
ただ、背景設定で明かされていない部分があり、その設定がテレビ版ではあったのか、テレビ版でもなかったのか謎の部分がありました。
それは、イスカンダル星の政治的な立場についての説明です。
劇場版では一切語られていないのですが、推測する範囲内では、政治犯の収容所で、王族の島流しが行われているので、ガミラス帝国では手が出せないのかなと思いました。
ガミラス帝国側で、ヤマトがイスカンダルを目指していることを察知したなら、イスカンダルの方を落としてもよいだろうにと思ったからです。
しかし後で設定を確認すると、そういった関係ではなく、高度な科学力を誇りながら、惑星としての寿命が迫りつつ、残りの住人がわずかで、非常に不安定な星だと分かりました。
そういった設定ならば、下手に襲撃してイスカンダル星が滅ぶと、ガミラス星も連鎖的に滅亡するので、そういった作戦を取らなかったのかなと思いました。
そこらへんの説明は、テレビ版ではあったのでしょうか? そこが、ちょっと謎でした。
● 砲の音
ヤマトの砲の音と言えば、ブギュルルル〜〜〜という独特な音です。
これは何か元ネタがあるのでしょうか? 子供の頃から記憶に残っているのですが、今回久しぶりにヤマト内で聞いて、非常に気になりました。
● 粗筋
以下、粗筋です(序盤だけ書けば、おおよその話が分かるので、最初の設定だけ書いています)。
地球は、ガミラス帝国の遊星爆弾の攻撃で死に瀕していた。放射能汚染で地上は住めなくなり、反撃を試みるも、圧倒的な軍事力の差により敗北してしまう。
そういった中、火星に一機の宇宙船が不時着する。そこには、イスカンダル星の女王からの手紙が託されていた。
そこには、イスカンダル星に、放射能を除去するコスモクリーナーがあることが記されていた。また、その装置を取りに来るための、ワープ航法を実現する波動エンジンの設計図も同梱されていた。
地球人類に残された生存の限界はあと一年。
人類存亡の危機を救うために、海底に沈んだ大和を改造した宇宙戦艦大和に波動エンジンを積み、沖田艦長と若い乗組員は宇宙に旅立つ。
彼らは、一路銀河の海を越えて、十四万八千光年の彼方にある、大マゼラン星雲のイスカンダル星に向けて旅を続ける。