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2010年06月17日 23:40:54
EMOTION the Best 宇宙戦艦ヤマト 劇場版
 映画「宇宙戦艦ヤマト 劇場版」のDVDを、五月上旬に見ました。

 1977年の作品で、監督・編集は舛田利雄です。1974年に放映されたアニメの編集版です。

 見たような気がしているのですが、記憶になかったのでレンタルしました。切っ掛けは「トップをねらえ!」(1988)を見直したことです。

 ヤマトオマージュのシーンに溢れており、ヤマトが見たくなったので思わず借りてしまいました。

 圧縮編集版なので、ところどころ繋がっていないのですが、大意としては流れが追えます。そして、やっぱり熱い話で楽しめました。



 以下、古い作品なので、ネタバレを気にせずに感想を書いていきます。



● 設定の熱さ

 宇宙戦艦ヤマトの成立を見ると、この設定は徐々に追加されていき固まったようですが、非常に燃える設定になっています。

 地球を救うために、遠い距離を旅して、救済の道具をもらいに行くという設定は西遊記と同じで鉄板です。

 また、若者たちの、戦争による成長の群像劇も燃えます。

 さらに、SF的なネタが、旅の場所々々で出て来るのは、銀河鉄道999と同じで飽きさせません。

 そして、たどり着いた先に、敵の本拠地があるという設定は、最後の盛り上げとカタルシスを感じさせるのに有効な手段です。

 何より、「宇宙戦艦ヤマト」という乗り物が魅力的です。

 戦艦大和を復活させるという設定で、物語の外にある大和の持つイメージやストーリーを作中に取り込むことに成功しています。ヤマトの復活シーンなどは、それこそ涙物です。

 また敵は、明らかにナチス・ドイツ=第三帝国を模しているのも興奮を誘います。

 デスラーは「総統」で、名前からヒトラーを彷彿とさせます。途中で出て来るドメルはロンメルを想起させます。このガミラス帝国の魅力も十分です。

 様々な角度から味わえる重厚な設定と、旅と軍事と若者の成長の群像劇という物語で、こりゃあ当時の人たちがはまったのも頷けるなと思いました。



● 繋がっていないシーンと映画版では分からなかった点

 テレビ版二十六話を、無理やり二時間強の長さに編集したために、所々話が繋がっていないシーンがありました。

 たとえば、直前のシーンで無傷だったキャラが、一秒後には包帯を巻いていたりといった感じです。

 話もところどころ「うん?」と思うスキップがあったりしました。まあ、基本的に問題になるレベルではなかったのですが。

 ただ、背景設定で明かされていない部分があり、その設定がテレビ版ではあったのか、テレビ版でもなかったのか謎の部分がありました。

 それは、イスカンダル星の政治的な立場についての説明です。

 劇場版では一切語られていないのですが、推測する範囲内では、政治犯の収容所で、王族の島流しが行われているので、ガミラス帝国では手が出せないのかなと思いました。

 ガミラス帝国側で、ヤマトがイスカンダルを目指していることを察知したなら、イスカンダルの方を落としてもよいだろうにと思ったからです。

 しかし後で設定を確認すると、そういった関係ではなく、高度な科学力を誇りながら、惑星としての寿命が迫りつつ、残りの住人がわずかで、非常に不安定な星だと分かりました。

 そういった設定ならば、下手に襲撃してイスカンダル星が滅ぶと、ガミラス星も連鎖的に滅亡するので、そういった作戦を取らなかったのかなと思いました。

 そこらへんの説明は、テレビ版ではあったのでしょうか? そこが、ちょっと謎でした。



● 砲の音

 ヤマトの砲の音と言えば、ブギュルルル〜〜〜という独特な音です。

 これは何か元ネタがあるのでしょうか? 子供の頃から記憶に残っているのですが、今回久しぶりにヤマト内で聞いて、非常に気になりました。



● 粗筋

 以下、粗筋です(序盤だけ書けば、おおよその話が分かるので、最初の設定だけ書いています)。

 地球は、ガミラス帝国の遊星爆弾の攻撃で死に瀕していた。放射能汚染で地上は住めなくなり、反撃を試みるも、圧倒的な軍事力の差により敗北してしまう。

 そういった中、火星に一機の宇宙船が不時着する。そこには、イスカンダル星の女王からの手紙が託されていた。

 そこには、イスカンダル星に、放射能を除去するコスモクリーナーがあることが記されていた。また、その装置を取りに来るための、ワープ航法を実現する波動エンジンの設計図も同梱されていた。

 地球人類に残された生存の限界はあと一年。

 人類存亡の危機を救うために、海底に沈んだ大和を改造した宇宙戦艦大和に波動エンジンを積み、沖田艦長と若い乗組員は宇宙に旅立つ。

 彼らは、一路銀河の海を越えて、十四万八千光年の彼方にある、大マゼラン星雲のイスカンダル星に向けて旅を続ける。
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