歌舞伎の映像作品「坂東玉三郎舞踊集1 京鹿子娘道成寺」のDVDを、五月中旬に見ました。
当代の五代目坂東玉三郎が演じる、七十分にわたる歌舞伎の演目です。
このシリーズは、前から見たかったのですが、見る機会がなかったので、借りて見ました。文句なく素晴らしいです。そして美しい。
● 「京鹿子娘道成寺」という演目
ほぼ一人で長い時間踊り続けるので、超絶の能力と体力が要求される演目です。
この「京鹿子娘道成寺」が、どいった演目なのかは、Wikipediaが分かりやすかったので転載します。
□Wikipedia - 京鹿子娘道成寺
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA...『娘道成寺』は、舞に華麗さ、品格の高さが要求されるのみならず、1時間近くをほとんど一人で踊りきるため、芸の力と高度な技術に加え、相当の体力が必要となる。
歌舞伎舞踊の頂点をなす作品で、過去に多くの名優がこれをつとめてきた。
話の内容的には、能の道成寺(鐘に入るので有名)の後日談です。時代が下り、鐘を奉納する時に、一人の白拍子がやって来て……というお話です。
なので、踊りの中には、能風のものもあったりして、変化に富んでいました。
話自体はいたってシンプルで、踊りのための添え物的な内容でした。
● 五代目坂東玉三郎
お美しい。そして身体能力が非常に高い。
まるでホバークラフトのように滑るようにして舞台を移動して美しいポーズを取るのですが、あれは物すごい鍛錬とパワーがいります。
たぶん、武道をやっても一流なんだろうなと思いました。
そして、表情(顔のかすかな陰影や目線)、仕草、ともに色気が匂い立ちます。
また、音声解説で説明されていましたが、歌舞伎役者は、化粧は自分でやっているのですね。様々な美術作品を見たりして研究して、自分の顔をどういじればその役にあった美しさになるのか、考え抜いているそうです。
DVDには、その他の作品のダイジェスト(シリーズの宣伝)も入っていたのですが、役に合わせて化粧は全く違っていました。化けるなと思いました。
この人は、バレエの実力もあるそうです。最近バレエのマンガ(テレプシコーラ)を見たので、凄いなと思いました。
あと、身長が173cmもあるとは知りませんでした。被り物をすると190cmぐらいになるそうです。頭身が高いなと思っていましたが、本当に高いとは思いませんでした。
□Wikipedia - 坂東玉三郎 (5代目)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9D...
● 音声解説
DVDには音声解説が付いていたので、オンにして見ました。この手の古典芸能は、漫然と見ても、何も得るものがありませんので。
音声解説では、それぞれの踊りが、どういった踊りや古典を元にしているかとか、各シーンがどういった経緯で追加されたとか、衣装の意味とか、見所や背景知識を語ってくれました。
映像だけでは分からない、細部の見方が分かってよかったです。
その音声解説の中、一つだけ気になったところがありました。女の子がおてんばなことを「おきゃん」と呼ぶことです。今は一般では使わない言葉だなと思いました。
気になったので、「おきゃん」という言葉について調べましたが、女の子を「おきゃん」と呼び、男の子を「きゃん」と呼ぶそうです。この「きゃん」は「侠」から来ているとのこと。全く結びついていませんでした。
● 粗筋
以下、粗筋です(話はほとんどないので、最後まで書いています)。
道成寺の鐘が新たに作られた。その落成の日、寺の生臭坊主たちは、手に手に酒や肴を持って鐘の許に集まってきた。
女人禁制の寺の山門に、一人の女性がやって来た。白拍子であると名乗るその女性を、坊主たちは招き入れる。
彼女はひとしきり踊ったあと、蛇の化身に変身して、鐘に取り憑いてしまう。