映画「シャーキーズ・マシーン」のDVDを五月下旬に見ました。
1982年の作品で、監督・主演はバート・レイノルズ。原作はウィリアム・ディールで、脚本はジェラルド・ディペゴです。
小品の刑事物ですが、それなりに面白かったです。
● 有能刑事の転落
映画は、有能な麻薬課の刑事が、無能な同僚のミスを引っかぶって、風紀課に落ちるところから始まります。
しかしまあ、本当に「落ちる」という表現に近い感じでした。部屋の荒れっぷりなど、まさに場末です。
しかし有能な刑事はそのことで大人しくならず、大きなヤマを見つけてきて、同僚や過去の知人を動員して事件に当たります。
そのヤマは、「知事候補者の売春疑惑」という、選挙の勝敗がひっくり返る内容で、上からの圧力や横からの妨害など、様々な攻撃を受けるようになります。
● シャーキーズ・マシーンの意味
どんな意味だろうと思っていましたが、映画開始早々明かされるので書いておきます。
シャーキーのチームといった感じで、捜査に協力してくれる警察内の人脈といった感じでした。
● ストーカーから恋へ
主人公たちは、知事の売春相手を見張ります。一晩1000ドルの高級コールガールで、その暮らしはセレブそのものです。
主人公は、彼女の部屋に盗聴器を仕掛け、向かいのビルから彼女を観察し続けます。
そうしているうちに、淡い恋心を抱いていきます。
その女性ドミノ演じるレイチェル・ウォードは、すらりとしており非常に美しかったです。
以下、ネタバレありの感想です。
途中で、ちょっと特殊などんでん返しが入りますので。
● ミニどんでん返し
映画では、このドミノという高級コールガールの裏に、犯罪組織(元締め)がいます。
この元締めは知事の選挙を後援しており、弱点となっているドミノに暗殺者を派遣して殺させます。
彼女は死に、元締めは弱点を克服して、主人公は怒りを抱きながら捜査を続けます。
そして、主人公が彼女の部屋に捜査のために立ち寄ると、ひょっこりと彼女が帰ってきます。
主人公の頭にも、観客の頭にもハテナが飛びます。
実は殺されたのは、たまにやって来る同居人で、顔を完全に破壊されていたので、誰もその事実に気付いていませんでした。敵も味方も……。
というわけで、映画は中盤ちょっと過ぎに、意外な展開になります。
あまりこういった話の折り返しはないので、ちょっと驚きました。
● ラスボス
ラスボスは、彼女を殺しに来た暗殺者です。彼は麻薬中毒者で、撃たれても撃たれても死にません。
かなり不気味で、いい味を出していました。
● 粗筋
以下、粗筋です(ネタバレあり。終盤まで書いています)。
主人公は麻薬課の有能な刑事。彼は無能な同僚のミスのせいで、風紀課に落とされることになる。
そこで彼は、知事候補の売春疑惑を嗅ぎ付ける。彼はその相手の高級コールガールを見張り、尻尾を掴もうとする。
彼女と知事候補者は恋に落ちており、スキャンダルが明らかになるのは秒読みになっていた。
そのことを問題視した高級コールガールの元締めは、彼女の許に暗殺者を送る。元締めは、知事の選挙活動にも関わっていたからだ。
主人公は復讐を誓い、捜査を進める。しかし、ひょんなことから彼女が生きていることが分かり、彼女を匿う。
泣き所をなくすために、元締めは主人公をさらい、監禁して彼女の居場所を探り出そうとする。主人公はその場から脱出する。
そして、元締めを捕まえるために、彼の住むビルに乗り込む。だがそこには、元締めを殺した暗殺者が待っていた……。
● 高級コールガールの元締め
元締めが、主人公に語る台詞があります。彼女を、十二歳の時に引き取って、仕込んで育ててきたと……。
いったい、どんな仕込みをしたんだろうと気になりました。