映画「恋におちて」のDVDを九月下旬に見ました。
1984年の映画で、監督はウール・グロスバード。脚本はマイケル・クリストファー。主演はロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープの恋愛映画です。
なんというか、私には合わない、そして不満の残る映画でした。
● 不倫映画
この映画は、一言で言うと「不倫映画」です。それも「ダブル不倫映画」です。
この不倫を「大人の恋愛」と捕らえるか、「周囲を不幸にする軽率な行動」ととらえるかで、この映画の評価は変わると思います。
私は後者なので、この映画の評価は低いです。
同じ不倫でも、「セックスがしたかった」という身も蓋もない理由の方がよいです。
それを「恋愛」というオブラートに包んで、まるでそれで全てが正当化されるような描かれ方をするのは、あまり賞賛できません。なぜならば、その二人の影で、不幸になる人々が大量に存在するからです。
悪をやるなら、悪として実行しろというのが私の見解です。
悪を行う時に、それが正しいことのように振舞う人には嫌悪を覚えます。それが自覚的でも、無自覚的でも。
というわけで、この映画は無自覚に悪を正義として行い、周囲を不幸にしているのに、本人たちにはその意識がなく、一見ハッピーな映画のように見える作品だったので、私の中ではストレスのたまるものでした。
● 恋愛を丁寧に描いた映画
そういった私の好みは置いておいても、恋愛を丁寧に描いた佳作ではあるなと思いました。
心の移り変わりや、その表現は細やかでよく出来ていました。一足飛びに話を進ませず、恋愛として明確に接近するまでに一時間半以上を掛けています。そして、二人の演技巧者が上手く雰囲気を作り上げています。ここら辺が受けたのだろうなと思います。
でもまあ、私は恋愛にそれほど価値を置かないので、それは「表現として上手いなあ」という感じ方で、感情移入の理由にはなりませんでした。
それ以前に、前述の不満の方が大きかったです。
● 寝取られ物
この映画は、不倫映画であるとともに、寝取られ物です。
主人公の一人である女性(メリル・ストリープ)の側の、旦那がちょっと不幸すぎます。彼は妻の行動を知り、それをやめるようにと促しますが、彼女は突っ走って男性の方に行きます。
まあ、なんというか、そういった部分でもあまり好みではないなあというのが正直な感想でした。
あと、メリル・ストリープって、こういった「人間関係の価値感で私と相容れない人」という役が多い気がします。気のせいかもしれませんが。
● 服装
この映画は、80年代の映画なのですが、服装がモロに80年代でした。
80年代って、服装を見た瞬間に「ああ、80年代だ」と分かるところがあります。これは、80年代が特殊だったのか、私が80年代をよく知っているのか、よく分かりません。
しかし、80年代の服は目立つなあと思いました。
● 粗筋
以下、粗筋です(中盤までの簡単な流れです)。
主人公の男女は、それぞれ家庭を持っている。彼らは、偶然ニューヨークの書店で出会う。しかしその時は単なる偶然でしかなかった。
しかし、二人はその後何度か遭遇する。そして、次第に会話をかわすようになり、互いに引かれ合っていく。
二人はプラトニックな関係を続ける。しかしその関係が家族にばれて、追い詰められていく……。
以下、ネタバレありの感想です。
● ラストシーン
ラストシーンが駄目でした。
この映画、互いの家庭を壊した後に、二人が再開して、ハッピーエンドで結ばれます。
えーっ!と思わず叫びたくなりました。
なんというか、恋は盲目というか、色々とクラクラと来ました。
まあでも、世間的には評価のよい映画のようです。映画にも、合う、合わないはあるなあと思いました。