映画「ストリート・オブ・ファイヤー」のDVDを十月上旬に見ました。
1984年の映画で、監督・脚本はウォルター・ヒル。主演はマイケル・パレ。ヒロインはダイアン・レインで、敵役はウィレム・デフォーです。
感想は、まさに80年代ど真ん中。そして、シティーハンターを思い出しました。あと、主人公と敵の服装が変でした。
● シティーハンター
この映画を見て、最初に感じたのは、ジャンプで連載されていたシティーハンターによく似ているというものです。
マッチョで凄腕の優男が、町の荒くれ者と戦ってトラブル解決。相棒として、色気はそんなにない女性がくっついてという設定もよく似ています。
まあ、シティハンターの方が、この映画の影響を受けているのですが。
というわけで、シティハンターを、もっとワイルドにしてバイオレンスにしたような雰囲気をこの映画は持っています。
そういった比較の意味でも、この映画は面白かったです。
● 80年代全開の雰囲気とストーリー
さて、この映画ですが、非常に時代の空気感を映し取っています。というか、見た瞬間に「ああ80年代だ」と思わせる雰囲気があります。
音楽、服装、人々の意識、そういったものが、ことごとく80年テイストです。
この頃は、世の中がバブル的に上昇し続けていた頃なので、無意味にみんな活気があります。そしてどこかバイオレンスです。たぶん、人々のパワーが有り余っていた時代なのでしょう。
というわけで、この映画では、そういったパワーがスクリーンに全開に滲み出ています。
あと、世の中に、一発逆転のチャンスが多く転がっていた時代なのだと思います。
これが90年代以降なら、ちょっと方向性が違うだろうな。そう思わせてくれる映画でした。
● 主人公と敵の服装
端的に言って変です。
主人公は、袖がない服で、ジーパンを肩から吊り下げたような服装をしています。
敵のボスは、魚屋のゴムのズボンみたいなのを穿いています。
何か服装が変です。この映画。
ジョルジオ・アルマーニが関わっているそうですが、こういったデザイナーが関わると前衛的になるのかなあと思いました。
● ウィレム・デフォー
この映画で一番印象に残るのは、主人公でもヒロインでもなく、敵のボス役のウィレム・デフォーです。
ともかく、魁偉という言葉が合うような、気持ちの悪い凄みを持っています。
決して腕っ節が強そうには見えないのですが、どこか切れるとやばそうな雰囲気を持っています。
実際ウィレム・デフォーは、この映画で注目されて、「プラトーン」(1986)などの出演に繋がったようです。
というわけで、デフォー・ファンは必見の映画なのかなと思いました。
● エイミー・マディガン
主人公の相棒になる「強い女性」を演じています。化粧っけがなく、ちょっと小柄だけど、頑丈そうな女性です。
こういった「強い女」は、けっこう人気がありそうです。たとえば「ターミネーター」(1984)もこういった女性が出てくる映画です。
とはいえ、この映画の強い女性は、「ターミネーター」よりは「アバター」(2009)の方が近いです。
何はともあれ、こういった女性が好きな人は、けっこういそうだなと思いました。
● 粗筋
以下、粗筋です(ネタバレあり。終盤まで書いています)。
主人公は街に戻ってきた男。彼はかつて町で鳴らした猛者で、彼女がいた。その彼女は、今は売れっ子歌手になっていた。彼女は町に凱旋コンサートでやって来た。
その彼女が誘拐される。誘拐したのは、町のギャング団だった。ギャング団のボスは、自分の女になるようにと強要する。しかし彼女は断る。
その話を聞いた主人公は、助けに行くかどうか迷う。そして、彼女のマネージャーから報酬をもらうという形で、仕事と割り切り、彼女を助けに行くことを決める。
救出パーティーは、主人公、退役軍人の女性、マネージャーになる。彼らは歌手の女性を救出する。しかし、そこから追跡劇が始まる。売れない黒人歌手たちのバスで逃亡したりして、彼らは無事に脱出する。
しかし、それで終わりにはならなかった。主人公は、ギャング団のボスから決闘を挑まれる。そのまま去れと警察に言われるが、主人公は決闘の場に赴く。そして、ボスと拳で語り合う……。
● 男を上げた
歌手のマネージャーで、その恋人でもある男性ですが、これが本当に小物感漂う男です。
映画中、終始その面が強調されるのですが、映画を通して成長して、ラストでは男を見せます。
こういった「変わる人物」がいるのは、映画として重要だと思います。
この映画の主人公は、逆に「変わらない人物」として描かれるので、この対比は重要だと思いました。