映画「スプラッシュ」のDVDを十月中旬に見ました。
1984年の映画で、監督はロン・ハワード、脚本はローウェル・ガンツ他、主演はトム・ハンクスです。
人魚姫の現代版という内容で、それなりに楽しめました。
● 人魚姫の現代版
この映画を一言で言うと「人魚姫の現代版」です。この映画は、ウォルト・ディズニー・カンパニーの映画部門の一つであるタッチストーン・ピクチャーズの第一作になります。
童話を叩き台にしていますが、人魚役の女優は裸になり、そういう意味では大人向けの映画になっています。
また、「人魚姫の現代版」と書きましたが、元の童話と大きく違う点があります。それは、主役の視点の違いです。
童話の人魚姫の主役は人魚の女性です。対してこの映画の主役は人間の男性です。そして、彼は王子でも何でもない普通の人です。
視点が違えば、当然最終的な結末も変わってきます。というわけで、既に人魚姫の物語を知っている人でも、新しい物語として楽しめるようになっていました。
● 兄弟の関係
この映画の主人公は、兄弟で食料品の卸売業を営んでいます。それなりの規模があり、大きな倉庫を持ち、従業員も多数雇っています。
この二人の対比が、この映画では面白かったです。
主人公は弟で、堅物で真面目な男です。対して兄は、奔放で女癖が悪く、ほら吹きのような一面を持っています。
しかし、この兄が駄目な男かというとそうでもなく、営業の太いパイプを引っ張ってきたり、実は優秀なのかも?と思わせる一面を持っています。
二人は、真逆の性格で対立もしますが、仲は悪くありません。
そんなちゃらんぽらんな兄が、弟の苦境にアドバイスをするシーンがあります。こういった、「ちょっと駄目かもと思っていた不真面目な人」が、真面目に人生の真理を告げるシーンというのはぐっと来ます。
最初の前提を逆手に取って驚かせるというのはベタな手法ですが、効果を発揮するなと思いました。
● 展開の仕掛けとしての科学者
この映画では、人魚を追いかける科学者が出てきます。彼が話を掻き回すので、展開が面白くなっています。
逆に言うと、彼を除けば、それほど突飛な展開は起きない構成です。
こういったトラブルメーカーを配置することで、元の人魚姫の話に展開を持たせ、映画の時間引っ張れるようになっているのだなと思いました。
● 粗筋
以下、粗筋です(ネタバレを気にせず、ラスト直前まで書いています)。
主人公は兄とともに、食品会社を経営している。兄は奔放な性格で女癖が悪い。対して主人公は堅い性格だが、恋人との仲が長続きせずに、結婚まで至らない。
そんな彼は幼少時代に海に落ちた経験があった。そこで、人魚に助けられていた。
主人公は失恋から、海に行く。そこで再び溺れて、助けられる。その助けてくれた相手はかつての人魚だったが、彼はそのことに気付かない。
帰還した主人公の元に、陸に憧れていた人魚がやって来る。人間の振りをしている彼女に、運命の恋人を見た主人公は溺愛する。
しかし、人魚を追いかけていた科学者の手により、彼女は正体を暴かれ、研究所に捕獲される。
研究所では人魚にひどい仕打ちが行われる。人魚に純粋に憧れていた科学者は、主人公兄弟に手を貸し、奪還を助ける。
主人公は、人魚と再会して、港に行く。そして、海に行くかどうか決断を迫られる。