映画「海底軍艦」のDVDを六月中旬に見ました。
1963年の邦画で、監督は本多猪四郎、脚本は関沢新一、メカデザインは小松崎茂、音楽は伊福部昭、特技監督は円谷英二。主演は高島忠夫です。
ムー人と、戦後二十年潜伏していた帝国軍人が戦う映画です。なるほど、これは宇宙戦艦ヤマトに繋がる系譜です。そして、なかなか面白かったです。
● 設定
もう何というか、設定で空想科学が熱いという感じです。
行方不明になっていた帝国軍人が開発した超兵器「海底軍艦」が、ムー人の末裔の「海底人」と戦います。それも、世界制服を目論むムー人を打倒するために。
これで熱くならないわけがないです。
というわけで、特撮とともに、その設定を楽しみました。
● 海底軍艦
潜水艦の先端にドリルが付いていて、後端にはロケットエンジンが付いている。
たんなる潜水艦ではなく、ドリルで地中を進み、ロケットエンジンで空を飛ぶ。
現実にはあり得ないけど、これぞ空想科学という感じのデザインでした。
● 特撮とマットペイント
特撮映画なのですが、けっこうマットペイントが多用されていました。
この頃の特撮やマットペイントは、大らかなものが多いと思います。CGみたいに本物の映像に近づけるというのではなく、特撮やマットペイントと分かるけど、別にそのことを気にせず映画を楽しんでいたように感じます。
まあ、技術や予算の差というのはあるのでしょうが。
そういったわけで、特撮やマットペイントに若干の違和感を覚えながらも、映画を楽しみました。
● 粗筋
以下、粗筋です(ネタバレあり、終盤まで書いています)。
主人公はカメラマン。彼は最近続出している誘拐事件の現場に偶然居合わせる。その犯人は、半漁人のような潜水服を身に付けており、海へと逃げた。
主人公は、被写体として、美人の女性をスカウトしようとする。その対象となっていた女性は、海運会社の専務の秘書をしていた。主人公たちは、専務と秘書が誘拐されかけるのを防いで助ける。
どうやら、相次いでいる誘拐事件は、ムー人の仕業らしい。彼らは、海底に潜んでおり、地上征服を目論んでいる。そのために、優秀な技術者たちをさらっていた。
地上の国々はムー人の攻撃によって窮地に立たされる。そのムー人たちが探しているものがあった。それは海底軍艦と呼ばれる潜水艦だった。
海運会社の専務と秘書がその鍵を握っていると、ムー人たちは考えている。
そんな折、一人の男がムー人として逮捕される。だがその男は、ムー人ではなく、海底軍艦の一員だった。彼の上司は、秘書の父親だった。その父親、神宮司大佐は、専務の元部下だった。
大佐は終戦時期に身を隠し、大日本帝国の世界覇権のために、密かに超兵器海底軍艦を建造していた。ムー人たちは、その前身となる潜水艦を入手しており、脅威を抱いていた。
主人公と海運会社の専務、秘書は、国連の要請を受けて、兵士の案内で南海の孤島に向かう。そこには大佐がいて、海底軍艦が建造されていた。
専務と秘書は、大佐に世界を救うために海底軍艦を使ってくれと頼む。しかし、大佐は、大日本帝国の覇権にしか興味がない。主人公たちは困り果てる。
だが話は動き出す。主人公に同行していたジャーナリストが、実はムー人だった。彼は海底軍艦の破壊工作をして、主人公と秘書をさらってムーの秘密基地に戻る。
大佐は、海底軍艦を修理して、娘を助けるために、そして世界を救うために、ムーの海底基地へと侵攻を開始する。