映画「アイガー・サンクション」のDVDを七月上旬に見ました。
1975年の作品で、監督・主演はクリント・イーストウッド。原作はトレヴェニアン。脚本はハル・ドレスナー他。
スパイ・アクション+山岳物という一風代わった作品です。イーストウッドの色男振りがよかったです。
● スパイ物の主人公は厨二病も真っ青の設定
この映画の主人公は、大学の美術教師で、高名な登山家で、国家お抱えの凄腕の暗殺者という設定です。
設定盛りまくりで、厨二病も真っ青という感じです。
この主人公の設定を見て思い浮かべたのは、マスター・キートンです。マスター・キートンも相当設定を盛っています。
こういった主人公は、上手くはまると、非常に面白いと思います。
● 山の映像の迫力
この映画が普通のスパイ・アクション物とは違うところは、主人公が登山家でもあることです。
そのため、登山のトレーニング・シーンや、アイガー北壁のシーンが登場し、この映像が非常によいです。
人間のちっぽけさと、自然の雄大さを語る対比を捕らえたシーンが多く、絵面だけを見て「凄い」と思わせてくれます。
ひょろんと高い岩場の登山や、絶壁と絶壁の間の登山は、「うわあ、人間小さいな」とびびらせてくれます。
● イーストウッドの格好良さと、ジョージ・ケネディの大らかさ
しかしまあ、イーストウッドは色男ですね。いるだけで画面に格好良さが滲んでいます。
対して映画の途中から出てきて重要キャラになるジョージ・ケネディは、非常に野暮ったく、そして優しげです。
この二人の対比と、心の距離感が、非常によかったです。
● 粗筋
以下、粗筋です(中盤のラストまで書いています。大きなネタバレはなし)。
主人公は大学の美術教師で高名な登山家。彼には裏の顔があった。それは国家から仕事を請ける、凄腕の暗殺者だ。彼はそこで得た金で自らの絵画コレクションを増やしていた。そして、そのコレクションが一応の完成の目処を見たため、暗殺の仕事を引退しようと考えていた。
だが、上層部はそれを許さなかった。主人公は、裏の仕事で金を得ている。税務署の査察が入れば、高価な絵画をどうやって手に入れたのかという話になる。
そのために、正当な所有権を示す証明書がなければならない。その書類と引き換えに、最後の仕事を請けるように言われる。
主人公はその仕事をする。その帰りに、スチュワーデスと出会い、男女の関係になる。だがその女性は組織の人間だった。報酬の小切手と書類を彼女は奪う。そして主人公は次の仕事を請けざるを得なくなる。
組織が主人公にさせたかった本当の仕事は、主人公の個人的な復讐も絡むものだった。主人公の友人を殺した人間を探し出して殺さなければならない。
その犯人はアイガーに挑む登山隊の誰かであるらしい。主人公はその一行に加わり、犯人を探し出してサンクション=制裁を行わなければならない。
主人公は、過去にアイガーに二度挑み、二度失敗している。主人公は、登山隊を指揮する友人の許で体を鍛え直すトレーニングを積む。そして隊員たちに混じり、アイガー北壁に挑むことになる。