映画「K-19」のDVDを九月上旬に見ました。
2002年の映画で、監督はキャスリン・ビグロー、原案はルイス・ノーラ、脚本はクリストファー・カイル。主演はハリソン・フォードとリーアム・ニーソンです。
ソ連の原潜内での放射能事故を描いた作品です。実話を元にしています。緊迫感が半端ではない作品でした。面白かったです。
● ヒットしない
この映画は、興行的に成功しなかったそうですが、まあ仕方がないと思います。
舞台がソ連で、アメリカ人の登場人物はほぼ出てこない映画が、アメリカでヒットするとも思えません。
また、2002年の映画で、扱っている時代が冷戦というのも微妙だと思います。
作品自体は面白かったのですが、ヒットする要素があまりない作品だなと思いました。
● 積み重なるフラグ
この映画は、死亡フラグ的な「事故起こるぞフラグ」の立ち方が凄いです。
もう何と言うか、畳み掛けるようにフラグが立ちまくります。なので、「うわあ」とか言いながら、見てしまいました。
事故というものは「起こるべくして起こる」という感じです。ほぼ間違いなく、上層部の理解不足と予算不足と人材不足による人災です。
この映画を見ながら、東電もこんな感じのグダグダで原発事故を起こしたのだろうなと思いました。
扱っているのが、原潜の原子炉の話なので、特にそう思いました。
何と言うか、ありとあらゆる手が、事故を起こすためにやっているとしか思えない感じになっていました。
● 原子炉
原子炉を、ビニール合羽一枚で近付き、手動で修理します。若い人が二人ずつ、原子炉に送り込まれます。
一人十分間という期限付きで行き、行った人間は全員火傷と放射能の影響で、その後数時間で死亡します。
中盤以降は、これの繰り返しです。この映画。
逃げ場がないなかで、ひたすら修理しようと試みます。
すごい、精神的にきついです。
● 主人公の感情
映画中、ちょっとだけ副長の心理が分かり難かったです。
艦長の方は、分かりやすい心理の動きだったのですが、副長の方は、自分の考えを否定され続けるのに、艦長には従い続けます。
ここらへんは、何かすっきりしませんでした。
● キャスリン・ビグロー
男前な監督だなあと思います。作風が。
「ハート・ロッカー」(2008)も男前だったのですが、女性とは思えない作風だなあと思います。
● 粗筋
以下、粗筋です(中盤ぐらいまで書いています。特にネタバレはありません)。
主人公はソ連の原子力潜水艦の艦長。彼は原潜の進水に向けて準備を進める。
その頃、上層部では、原潜による示威行動の計画が立てられる。しかし、それは現実に即していない無謀なものだった。
上層部は一人の男を艦長に任命する。元の艦長は副長となった。
波乱含みのまま原潜は出港する。専門家はほとんどおらず、いても学生上がりだったりと、若い人間ばかりが乗り込んでいた。
艦長は、結婚で出世をした男だと言われていた。船員の中には、艦長がこの航海で手柄を立てたがっていると言う者たちもいた。
艦長は厳しい訓練を課して、予定通りに船を進めていく。
しかし、船の調子がおかしくなってきた。その兆候は出港以前からあった。そして炉心の暴走が始まった。
船はアメリカに近付いていた。このままでは原潜が大破して、冷戦が本当の戦争になってしまう。
原潜の乗組員たちは、手動での原子炉修理に乗り出した……。