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2012年03月14日 15:09:16
ザ・ロック
 映画「ザ・ロック」を十二月上旬に見ました。

 1996年の映画で、監督はマイケル・ベイ、脚本はデヴィッド・ワイズバーグ他。主演はニコラス・ケイジとショーン・コネリー。

 まさにエンターテインメントの王道という感じで、非常に楽しめました。まあ、あらもあるのですが、そういうのを吹き飛ばす楽しさがありました。



● キャラでワクワクする映画

 この映画は、ショーン・コネリー演じるジョン・パトリック・メイソンにワクワクする映画です。

 この映画の舞台はアメリカです。海兵隊で、義憤による反乱が起きます。

 彼らは毒ガスの入ったミサイルを奪い、アルカトラズ刑務所、通称ザ・ロックに立てこもります。

 この映画の主人公の一人(映画自体は変形バディ物)のメイソンは、ザ・ロックの元囚人です。

 彼は難攻不落と言われたアルカトラズ刑務所を脱獄した唯一の人間で、その後ふたたび捕まり、密かに刑務所に入れられていました。

 彼は、実はイギリスの元凄腕諜報員で、アメリカの暗部を記録したマイクロフィルムをどこかくに隠しています。そしてそのために、殺されずに生かされてきました。

 ザ・ロックに立てこもった海兵隊を無力化するために、このメイソンと、毒ガスの専門家が組んで、ザ・ロックに挑む。この映画は、そういったお話です。

 いやもう、これは「007」の本歌取りです。イギリスの元凄腕諜報員のショーン・コネリーなんて、それ以外の何ものでもありません。

 このメイソンと、全てにおいて反対のキャラ設定のスタンリー・グッドスピード博士(ニコラス・ケイジ)が、バディを組んで闘う。もうこれだけでワクワクします。

 設定勝ちの映画だと思いました。



● 敵の動機が弱い

 ただ、この映画にも難点があります。それは、敵側の動機が弱いということです。

 敵は海兵隊員で、政府に闇のうちに葬られてきた特殊任務の隊員たちへの義憤で立ち上がったという設定です。

 敵のボスはベトナムの英雄で、海兵隊での信奉も篤いフランシス・X・ハメル准将です。

 ただこれは、共感性が薄いなあというのが素直な感想です。

 海兵隊で、特殊任務に就いた人間からしか共感を得られないという敵の動機は、動機が個人的過ぎて世界観の広がりに欠けます。

 これが、国民の安全を脅かす政府の巨大な悪事を正すといった理由なら、敵にも共感が生まれ、主人公側との葛藤が生じます。

 ここらへんは、アメリカ本国での受け入れられ方はどうだったのだろうかと思いました。

 少なくとも、外部の人間である日本の観客としては、共感できませんでした。



● 主人公側の動機は強い

 敵側の動機は弱かったですが、主人公側の動機はきちんと用意されていました。

 ショーン・コネリー演じるメイソンは、敵の毒ガスミサイルの標的の町に、自分の娘がいるという設定でした。

 そのことをきちんと観客に伝えるために、呼び出されたあと、その場を脱走して娘に会いに行くというシーンが用意されていました。

 もう一人の主人公であるニコラス・ケイジ演じるスタンリー・グッドスピードも動機が用意されていました。

 グッドスピードの恋人に子供ができ、その恋人がグッドスピードを追って、現場の町に来てしまうという仕掛けです。

 こちらは、結婚するしないで少しもめる演出があったために、演出上ちょっと弱いなと思いました。でもまあ動機設定としてはベタで有効な方法です。

 敵側の動機設定も、同じようにベタにしてくれればよかったのになあと思いました。



● 毒ガス

 映画中、使われていた毒ガスと、その解毒についてちょっと分からなかったので調べてみました。

 この毒ガスですが、Wikipediaによると、日本語字幕で「神経ガス弾」と翻訳されているけど、実際はVXガスだそうです。

□Wikipedia - ザ・ロック (映画)

 このVXガスを無力化するために、アトロピンを注射したとのこと。

□Wikipedia - VXガス

□Wikipedia - アトロピン

 ここらへんの説明が字幕では出てこず、毒ガスと解毒薬しか出てこなかったので、実際はどうなっているのだろうと疑問に思ってしまいました。

 また、映画中は、だいぶ効果が誇張されているということでした。

 調べてみないと分からないなあと思いました。



● 粗筋

 以下、粗筋です(中盤のセットアップ完了ぐらいまで書いています)。

 アルカトラズ刑務所、通称ザ・ロックに、現役海兵隊員たちが、毒ガスの入ったミサイルを盗んで立てこもった。彼らは、歴戦の英雄の准将を首領に抱いた義憤の士たちだった。

 彼らは、政府の作戦で死亡した海兵隊員たちの名誉のために、事実を明らかにしてきちんとした補償をするようにと要求する。

 政府は、二人の人間を呼び寄せ、SEALs部隊とともに潜入させることを決める。

 一人は、FBIの毒物専門家。もう一人は、かつてザ・ロックから脱獄したことのある、イギリスの元諜報員だ。

 作戦の指揮を執る男と、元諜報員は、過去の因縁があった。

 主人公たち二人は、SEALsとともにザ・ロックに侵入する。だが、そこで罠にかかり、SEALsが全滅し、二人だけが残される。

 元諜報員は、この作戦の背後にある毒ガスミサイルの件を知り、自分の娘の命が危ういことを知る。毒物専門家は、自分の子供を宿した女性が、自分を追って、現場に来てしまっていることを知る。

 二人は、街を救うためだけでなく、自分の大切な人を救うために、協力して事態の解決に臨む。。
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