映画「ジャガーノート」のDVDを、一月上旬に見ました。
1974年のイギリス映画で、監督はリチャード・レスター、主演はリチャード・ハリスです。
あと、アンソニー・ホプキンスが出ていて、滅茶苦茶若くて驚きました。いやまあ、三十九年前の映画ですし。
映画は、豪華客船の爆弾解体が、手に汗握る感じでよかったです。
● リアリティある映像
この映画の撮影は、ほとんど全編ロケでおこなわれたそうです。
おかげで、船の中のリアリティが非常に高いです。質感や揺れや外の景色などが、緊迫感溢れた感じになっており、こういったのはセットでは難しいのだろうなと思いました。
あと、いろいろと理由を付けて、人が死んでいきます。こういった映画を盛り上げるのには、定期的な燃料としての犠牲者が必要なのだなと感じました。
さすがに、爆弾だけで二時間は引っ張れないので、こういった仕掛けがいるのだと思います。
● 手に汗握る爆弾解体
この映画の醍醐味は、爆弾解体シーンです。
揺れる船内で、爆弾を少しずつ調べて、仕掛けを特定して、タマネギの皮を剥ぐようにして、一つ一つ仕掛けを解除していきます。
これが、非常に面白い。
なんというか、プログラムのデバッグ作業みたいで、けっこう楽しいです。
「この条件で、こうだから、こうだと推測できる。だから、これをやってみよう」といった感じです。
そして、その作業に、様々なインターラプトが入ってきます。たとえば、子供が乱入したり、揺れが来たり、ミスが発生したり。
上手いなあと思いました。
以下、ネタバレあり。
● 主人公の動機付け
この映画の主人公は、爆弾解体のプロです。しかし、プロとして現場に投入されただけでは、映画としての動機が希薄です。
そのため、この映画では、映画の進行に合わせて、徐々に動機を濃くしていきます。これが、なかなか上手かったです。
まず、主人公は、単にプロとして現場に投入されます。
そして、右腕の部下を、複数仕掛けられた爆弾の一つで倒されます。ここで、主人公の怒りフラグが立ち、「仕事」ではなく「リベンジ」に目的が切り換わります。
さらに、物語が先に進み、爆弾の仕掛けが分かってくることで、敵が何者なのかが判明してきます。
それは、主人公の元上官です。
ここで、主人公は、師弟の絆のために、親殺し(上官超え)をするという構図になります。
こういったフラグが徐々に立っていくので、上手く動機が最後の段階で盛り上がるようになっています。
こういった仕掛けはよくできているなと思いました。
● 粗筋
以下、粗筋です(ネタバレあり。最後まで書いています)。
豪華客船に、ジャガーノートと名乗る男から「爆弾を仕掛けた」と連絡があった。目的は身代金。しかし政府は、その金を払わないことを決定する。そして、爆弾解体のプロを送り込んだ。
主人公は爆弾解体のプロ。彼は爆弾の調査をして解体を進める。
その頃、陸では警察が犯人を追っていた。自身の妻子が船に乗っている警視は、必死に調査を進める。そして、断片的な情報から、徐々に爆弾魔の正体に迫る。
同じ頃、主人公は右腕の部下を失いながらも、爆弾の解体を進めていく。
そして、爆弾解体の最後の段階まできた。赤線と青線のどちらを切るか。
主人公も、警視も犯人にたどり着く。そして、犯人に、どちらが正しいか聞く。主人公は、その答えの反対の線を切り、爆弾は停止する。
● 赤線と青線
時限爆弾を解除するために赤線と青線のどちらかを切るというのは、この映画が元ネタみたいですね。
かなり印象的なシーンですので。
というわけで、こういった元ネタをたどるのも大切だなと思いました。