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2013年10月25日 15:49:37
冷たい熱帯魚
 映画「冷たい熱帯魚」のDVDを2012年4月に見ました。

 2010年の映画で、監督は園子温、脚本は園子温、高橋ヨシキ、主演は吹越満、助演はでんでん。

 圧倒的な大傑作。

 怒涛の勢いで話が進み、全身から恐怖と緊張の汗がにじみ出る「悪の傑作」。

 未見の人は見た方がよいです。



● モチーフ

 この映画のモチーフは、1993年に起きた「埼玉愛犬家連続殺人事件」です。

 この事件では「ペットショップ」だった舞台を「熱帯魚店」に変えて映画は構成されています。

 この改変は、映画によい効果をもたらしていると思います。

「犬」だと、観客側に変な思い入れが入る人がいて、話の方向性がちょっと違うように見えるかもしれません。

 しかし「魚」だと無機質で冷たい存在に見えて、この映画の雰囲気に合っていると思います。後は、撮影も楽だろうなあと。

 というわけで、この映画は「熱帯魚店」を舞台にした話です。

「犬」にしろ「熱帯魚」にしろ、こういったペット産業は、投機的なお金が飛び交う世界です。

 この映画ではそういった金が、圧倒的なドライブ感の連続殺人と共に、右から左へと動いて行きます。



● 巻き込まれ型

 主人公は小さな熱帯魚店を経営している男性です。彼には年頃の娘がいます。彼は、最近若い女性と再婚したせいもあり、娘と不仲です。

 その娘がスーパーで万引きして捕まります。それを取りなしてくれた顔役的男性が、主人公を悪の道に巻き込みます。

 その男は、巨大な熱帯魚店の社長で、主人公の何倍も商売の手腕を持っているように見えます。店員はみんな若い女の子で、店は繁盛しています。

 その社長は、主人公の娘を更生させるために、自分の店でアルバイトをさせるという話をします。

 娘が警察に捕まる前にとりなしてくれて、更生のために尽力してくれる。店の店員も同年代が多く、みんな明るく礼儀正しい。

 断る理由がありません。そして主人公は応諾します。というか、断る暇もなく、そのことを決められてしまいます。

 これが全ての不幸の始まりです。

 娘を人質に取られて、あとは悪の坂を転がり落ちるように、陰惨な連続殺人事件に巻き込まれていきます。



● 瞬く間に埋められる外堀

 社長は圧倒的な会話と行動力で主人公を引きずり回します。そして、自分の取り引きに同席させます。その取り引きは、高級熱帯魚の輸入に絡む儲け話です。

 その席で金を持ってきた相手がいきなり倒れます。社長が毒を盛って殺したのです。そして、有無を言わさず、その死体運びを手伝わされます。

 主人公は「共犯」になり、逆らったら「娘の命がない」ことを告げられ、社長がこれまで何人も同じように人を殺してきたことを知ります。

 そして、過去にそうやって「共犯」にした人間を殺してきたことも……。

 社長の女秘書は、その事実を知っていて、社長とつるんでいます。店の女の子は全員住み込みで、社長をカリスマとして慕っています。預けていた娘も、いつの間にか社長の信奉者になっています。主人公の若い妻は、社長に手を付けられ、その魅力にはまってしまいます。

 主人公の外堀は瞬く間に埋められて、連続殺人事件の共犯として多忙な日々が始まります。

 この過程は、怒涛の勢いで進んでいきます。



● 圧倒的な悪

 この社長の圧倒的な「悪」っぷりが凄まじいです。

 何の迷いもなく、獣のように人を殺しまくって、主人公と秘書を率いて死体を山奥に運び、解体焼却処理し、証拠を隠滅していきます。

「透明になった!」

 社長は嬉しそうに「ボディを透明にするんだ!」と言い、灰を山に撒き、主人公を助手として、悪の道を重ねていきます。

 その様子は、父親が息子に、教師が生徒に教え諭し、自分自身の殻を破らせ、ハードルを越えさせるような、感動的な姿のようにも見えます。

 そして、警察の捜査の手が伸び、兄貴分が「失踪」したヤクザ者達が、店に押し寄せ始めます。

 それらに、圧倒的な生命力で対抗する社長。

 その「悪の強さ」に、目が釘付けになりました。



● 衝撃的なラスト

 映画はラスト付近で、主人公が覚醒します。そして、思わぬ結末に雪崩れ込んでいきます。

 最後まで目が離せない強烈な映画でした。凄かった。

 年に何本かしか、このクラスの映画に出会わないですが、確実にその年の三本の指に入る映画でした。



● あらすじ

 以下、あらすじです。

 主人公は、個人経営の小さな熱帯魚店の店主。彼には年頃の娘と、若い後妻がいる。

 ある時、娘がスーパーで万引きをする。主人公は店に行く。そこで、そのスーパーの店長の友人がとりなしてくれ、警察行きにならずに済む。

 その男は、巨大熱帯魚店の社長だった。自分とは格が違う男。その社長は、娘を更生させるために、自分の店で住み込みで働くことを勧める。

 店には、同じ年頃の問題を抱えていた娘たちがいて、社長は彼女らの更生のために尽力しているということだった。

 主人公は、自分が娘を持て余していたことこもあり承知する。だが、それが全ての不幸の始まりだった。

 社長は主人公を気に入り、執拗に呼び出すようになる。取り引きにも同席させる。だが、社長の「取り引き」とは、相手を殺して金を奪う行為だった。

 主人公は、あれよあれよという間に、連続殺人の共犯にされてしまう。そして娘を人質に取られたまま、死体運び、死体処理と、どんどん片棒を担がされるようになる。

 社長は、共犯の相手が使えなくなるたびに、過去に何度も殺している。警察の捜査の手も伸びてくる。社長が殺したヤクザ者の仲間も押しかけてくる。

 主人公はどんどん包囲され、逃げ道がなくなっていく。そして、主人公は、社長によって精神を追い詰められ、未知の自分を解放させていく……。
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