映画「インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実」のDVDを2012年の6月に見ました。
2010年のドキュメンタリー映画で、監督はチャールズ・ファーガソン、脚本はチャールズ・ファーガソン他。
第83回アカデミー賞で、長編ドキュメンタリー映画賞を受賞しています。面白く、ためになる映画でした。
● 題材
リーマンショックに関わる、金融業界やその周辺にいる人へのインタビューで構成された映画です。
けっこうお堅い内容で、ユーモアなどによるガス抜きも特にないのですが、ぐいぐいと引っ張って最後まで見させてくれます。
これは、観客の「感情」を上手い具合に刺激する「編集の妙」だと思いました。
● 怒り
アクション映画の見せ場は「アクション・シーン」です。恋愛映画の見せ場は「ラブロマンス」です。では、この映画の見せ場はどこかと言うと、「インタビュイーへの怒り」です。
取材者に対して、涼しい顔で「自分に責任はない」「自分は悪いと思わない」と厚顔無恥に言う、戦犯達への怒りが、この映画の「見せ場」です。
この「ぶん殴りたくなる輩」が、どんどん出てくることで、この映画は間が持っています。
そして映画が終わると「こいつら全員まとめて、刑務所に放り込みたい」という気持ちになります。
そういった感情コントロールで、この映画は成り立っているなと思いました。
また、警鐘を鳴らしていたけど無視された人や、忠告をつぶされた人たちの話もあり、それらが対になっているために、上手く感情の息抜きをしながら怒りを沸騰させるようにできていました。
同じ監督が、他の題材を対象にしても、同じような効果を上げられるかは分かりませんが、この映画は面白かったです。
こういった間の持たせ方もあるのだなと思いました。
● あらすじ
ドキュメンタリー映画なので、あらすじはなしです。