映画「愛が微笑む時」のDVDを、2012年6月に見ました。
1993年の映画で、監督はロン・アンダーウッド、脚本はブレント・マドック他、主演はロバート・ダウニー・Jrです。
佳作ハートフルコメディです。なかなかよかったです。
● あらすじ
以下、あらすじです。序盤まで書いています。
あるバスに乗り合わせた4人の男女。そのバスが、ある夫妻の車と衝突事故を起こしてしまう。
バスの運転手は死に、4人も死体になる。だが、彼ら4人の魂は死んでいなかった。彼らは、夫妻の赤ん坊に取り付き、この世に残ることになる。
子供が幼い頃、4人はよき子守として、そして友人として接してきた。しかし、子供は妄想癖があるとみなされ、治療の結果、彼ら4人の姿は見えなくなる。
そして子供は成長して大人になる。大人になった主人公は、やり手の銀行マンに成長する。拝金主義で、他人の心を一顧だにせず、恋人との約束を平気ですっぽかすような男になる。
その主人公を見守る4人の許に、事故の時のバスがやって来る。バスの運転手は言う。この世に未練を残した人間が、あの世に行く期限が近付いていると。
4人は未練を解消しようとする。しかし、そのためには、自分達が取り付いている男の協力が必要だ。
彼らは20年振りに男の前に姿を現す。そして、自分達の成仏のために協力するように、主人公に圧力をかけ始める。
● 民話・神話タイプの話
この映画は、4人の登場人物の望みを叶える過程で、主人公が回心して、真人間になる話です。
言い換えれば、4つのクエストを達成することで、本当の幸せを手に入れる(不仲になりかけている恋人の心を得る)という話です。
こういった話は、民話や神話に多いです。この映画では、クエストを4つ用意していることで、いわば4つの小エピソードを繋げたような作りになっています。
こういった作りは、作劇上、作りやすいのではないかと思いました。
この映画を見て思い出したのは、ビル・マーレイ主演の映画「3人のゴースト」(1988)です。こちらは、現在・過去・未来のゴーストに出会うという話です。
こういった作品は、ある程度期間を置いて、定期的に作られるのだろうなと思いました。
● 生者と死者の世界を繋ぐ乗り物
生者と死者の世界を繋ぐ乗り物は、物語ではよく出てきます。神話などで有名なのは「船」です。これは、地域や時代によって、様々な乗り物が選ばれます。この映画では「バス」が選ばれていました。
「バスの事故で死んだから」という大前提があるのでしょうが、単に天使が出てきて用件を告げてもよかったはずです。
そうせずに、「乗り物を出した」ということは、この映画の神話的雰囲気を作る、一つの小道具として考えたからだろうなと思いました。
● ロバート・ダウニー・Jr
この人は、いけすかない、すかした男の役が、本当によく似合います。
しかしまあ、「アイアンマン」の主人公、そのままの雰囲気で、ちょっと面白かったです。トニー・スタークを、もう少し嫌な奴にしたような感じですが。
味のある役者さんだなあと毎回思います。