映画「戦争のはらわた」のDVDを2012年7月に見ました。
1975年の映画で、監督はサム・ペキンパー、脚本はジュリアス・J・エプスタイン他。主演は ジェームズ・コバーンです。
● 邦題と原題
邦題が悪いよなあと。原題は「CROSS OF IRON」。鉄十字章です。そのものズバリ、ナチスドイツで、鉄十字章にからむ、ドロドロの戦争人間劇を描いた作品です。
でも邦題は「戦争のはらわた」です。
こういった、どんな映画か思い出せないような邦題を付けたら駄目だよなと思います。ひどい邦題だ。
● ドイツ軍映画
この映画の監督はアメリカ人ですが、製作国は西ドイツ/イギリスです。だから、ドイツ軍の話が作れたのかなと思います。
● 内容
映画の舞台はロシア戦線です。そこの腕利きの小隊長と、そこに赴任してきた名誉欲だけ強い貴族の大尉が対立する話です。
しかしまあ、ぼんくら貴族ほど、たちの悪いものはないなあと思いました。
● あらすじ
以下、あらすじです。ネタバレあり、ラストまで書いています。
時は1943年、場所はロシア戦線。ドイツ軍で最前線の小隊長をしている主人公は、部下と上司の信認が厚かった。
そこに、貴族で、名誉欲だけ強い男が赴任してくる。彼は武器の扱いも知らないような男だったが、鉄十字章を得たいと願っていた。
貴族は主人公を昇進させ、その恩で自分のために働かせようとする。しかし主人公は地位や名誉には興味のない男で、名ばかりで実のない貴族の言うことを聞こうとはしなかった。
そして主人公は名誉の負傷をする。主人公は戦線に戻って来る。
貴族は、自分が鉄十字章を得るために、でっち上げの報告書にサインをするよう、主人公に強要する。しかし主人公は断る。怒った貴族は、主人公を死地に赴かせる。
多くの部下を失いながら、主人公は帰還する。その主人公に、貴族はマシンガンの弾丸の雨を浴びせるよう命じる。主人公は、残った部下を失う。
戦線に敵が侵攻してきて混乱のるつぼになる。主人公は貴族を追い詰める。彼は貴族を殺さず、恐れおののく貴族を率いて、戦場の真っただ中に突入していく。
● ラストの驚き
映画は、不思議な雰囲気を持っていました。そして、ラストの展開は、かなり困惑しました。
復讐のために貴族を殺すと思っていたのですが、彼は貴族を引き連れ、戦場に向かいます。
そこに狂気のようなものを感じて、衝撃が走りました。
映画の途中でも、病院のシーンは、主人公の狂気を予感させるような描写で、どこか夢の中を歩くように描かれていました。
怒りや憎しみを超越した狂気。そういったものをラストシーンから感じて、とても驚きました。