今日、渋谷で本を探すついでに映画を見るスケジュールを組み、ゼブラーマンを見てきました。ゼブラーマンって、何ぞやという人は、表題リンクが公式サイトなので見て下さい。哀川翔×三池崇史×宮藤官九郎というトリオで、哀川翔主演100本記念に作られた映画です。
そもそもこの映画の存在は、山田玲司のヤングサンデーで連載しているマンガ「
ONE ON ONE 絶望に効くクスリ」の宮藤官九郎の回で知りました。その後スピリッツに連載中の「
ゼブラーマン」のマンガも読んで、これは面白そうだと思い、映画を見るに至りました。マンガと映画は細部は異なっているので、マンガも今後楽しめそうです。
(以下、ネタバレ嫌いな人は読まないで下さい)
さて、感想ですが楽しかったです。普通、私は映画の感想は面白かった、面白くなかったと書くのですが、今回は「楽しかった」と書きます。宮藤官九郎の脚本は、今まで池袋ウェストゲートパークとピンポンしか見ていないのですが、小気味良さは健在です。次から次に、ワッと笑いが客席から出てきました。私自身も何度も笑いました。決して長続きする笑いではなく、気持ちのよい瞬間的に弾けるような笑いです。そして、温かく微笑ましい笑いです。うん、楽しかったです。
以下、あらすじ。
「ヤベエ、浅野さんに見せたい」
映画を見た人は、この台詞を聞いたらニンマリとするでしょう。主人公の市川新市(哀川翔は)小学校の学年主任の先生。でも、暗くて内気な性格のため、生徒には舐められっぱなし。家に帰ると、娘は援助交際、息子はいじめられっこ、妻は浮気。家庭は崩壊……。
そんな新市の趣味は、子供時代に7話で打ち切りにあった不人気ヒーロー「ゼブラーマン」のコスプレ。ミシンを操り自分で衣装を作り、一人で着て悦にひたる毎日。そんなある日、車椅子の転校生がやって来た。彼、浅野は驚くべき「ゼブラーマン」の知識を持っていた。インターネットで調べたというその少年に、新市は思わずリスペクト。「浅野さんって呼んでいいですか」と頭を下げる新市。2人は「ゼブラーマン」という熱い絆で結ばれる。
そして、家に帰ってはゼブラーマンのコスプレを続ける新市。コスチュームも改良を重ね、浅野から教えてもらった資料も使って出来はどんどんよくなっていく。これなら満足できるコスチュームだ。鏡を前にポーズを取る新市。
「ヤベエ、浅野さんに見せたい」
新市は、ゼブラーマンのコスチュームのまま、夜の町に繰り出し、そして恐るべき怪人と出会い、戦う羽目になる。この町、八千代市には本物の怪物がいる! なぜ? 防衛庁も動き出す中、コスプレした生身の男、市川新市はゼブラーマンとして着実に成長していく。そして、様々な伏線が交差したとき、恐るべき事実が判明する。ゼブラーマンの敵は何物なのだ? ゼブラーマンは、恐るべき敵に勝てるのか!?
話はこんな感じです。いやー、コテコテB級で楽しかったです。B級と言っても作りが悪いわけではなく、ネタとしてのB級。マーズアタック辺りが楽しめる人は、絶対楽しめます。
さて、これまで見た宮藤官九郎の脚本に共通しているなあと思ったのは、「緊張した場面や平板な場面」→「登場人物が悩んだり考えたりして決断」→「それがちょっとズレている(笑い)」→「その決断が物語の重要なベクトルになる」という流れです。
作中いろんな小ネタや変な造形、変な行動、変な話が出てくるのですが、あくまで決断しているのは登場人物で、その結果物語が動いている。つまり、人間が描かれていて、その滑稽さが面白い。そのため、突飛なことをしても、最後には温かいいい話にまとまっているなあと毎回感じます(とは言え、3作品しか見ていないですが)。
いやあ、そんなことを考えなくても、登場人物の行動、そして浮き具合が妙に楽しいです。特に哀川翔と渡部篤郎がよかったです。端から見ると間抜けこの上ないんだけど、本人は無茶苦茶真面目で悩んでいる。
あと、注目すべきは少年です。この話の中で少年は特別な意味を持っています。特撮ヒーローは、少年のためのものです。新市の家族の中で、唯一ゼブラーマンを理解してくれるのは息子だけ。そして、物語の重要な鍵を握る浅野も少年。ゼブラーマンは間違いなく、少年とヒーローの物語だと感じました。
あと、覚醒した後のゼブラーマンが格好良過ぎです。コスプレのへたれ具合とのギャップが凄かったです。
ゼブラーマンは、傑作じゃないけど、佳作です。何より、熱くて温かくなるいいお話でした。いやあ、楽しかったです。
さて、最後にプログラムのお話。プログラムは映画を見るたびに買っています。なので、映画を見る前にプログラムを買おうとしたら「売り切れです」と言われてしまいました。週末には届くとのこと。うーん、予想外に掃けて、急いで増刷しているのかもしれません。人気高いみたいですね。席も平日なのにほぼ満席でしたし。
仕方がないので売り場のお姉ちゃんと交渉。「売り切れ」と言っていても、物が完全にない場合もあれば、ある場合もあるので。交渉の結果、無事入手できました。よかったです。