2005年10月22日 21:51:02
9月の下旬に、映画「スパイダーマン」のDVDを見たので感想を書きます。
うーん、まあ普通にハリウッド娯楽映画としてきっちりできていて、主人公の葛藤なども描けているのですが、やっぱり地味だなあ……。
もともとスパイダーマン自体がそんなに派手ではなく地味なヒーローなのですが、この映画の地味さは何なのだろう……。
いろいろと考えたのですが、映画の雰囲気がやたらと古いことが原因のような気がしてきました。わりと最近の映画なのに、ぱっと見た印象が「バック・トゥ・ザ・ヒューチャー」や「ターミネーター」の頃の映画なのです。
なぜなのでしょう。画面の色味でしょうか、カメラワークでしょうか?
ともかく凄く古い感じがします。スパイダーマンというのが古いヒーローなので、監督が意図的にそういう演出をしたのか、何となく作るとそうなったのかは分かりません。でも、映画を見終わったあとに「何か古いな」と強く感じました。
あと、地味だと思ったのは「アクションシーンが派手ではない」という部分が大きいでしょう。基本的に「肉体を使ったバトル」に「クモの糸」ぐらいしかアクションのバリエーションがありません。ハリウッドお得意のSFXも、これではあまり生かせません。
まあ、元々そういうヒーローですから仕方がないのですが。
それに、この映画の最大の売りである、クモの糸を使ったターザンアクションのシーンがあまりよくないのも難点の1つです。急にそこだけCGっぽくなり萎えます。
どこら辺がCGっぽいかと言うと、3点あります。「コマ間の絵の断絶」と「スパイダーマンの動き」と「物体の質感」です。以下、1つずつ解説します。
● コマ間の絵の断絶
画面内のオブジェクトの動きが、やたらとガクガクして見えます。フレーム数が少ないのか?とも思ったのですが、どうも「スパイダーマンの動き」とは別に、カメラも高速で移動させているのが原因のようです。
分かりやすく言うと「カメラと被写体がそれぞれ別個に高速で動いているせいで、コマが飛び過ぎているように見える」ということです。
本物のカメラでこのようなシーンを撮影した場合は、各コマのフィルムの映像が適度にボケることで、滑らかに動いているように見えます。しかし、CGでレンダリングした画像は鮮明過ぎるために、コマごとの絵にボケがなく、高速シーンでコマ間が断絶して見えてしまいます。それが原因ではないかと思いました。
たぶん、各コマの映像に、動線に合わせた方向でブラーを掛ければ滑らかに見えるはずです。でも、「パキッとしたシャープな映像を見せたい」という作り手側の意向でこのようになったのではないかと思います。
もしかしたら、映画館ではDVDとフレーム数が違うために、滑らかに見えていたのかもしれません。この推測の真偽は、映画館とDVDの両方で見た人に聞いてみないと分からないです。
● スパイダーマンの動き
えー、空中でヨガでもしているかのように、遠心力を無視してクネクネ動きます。
これはマンガのスパイダーマンのポーズを再現しているのだと思いますが、なんか変です。そしてそのために、おもちゃが宙を舞っているように見えます。
● 物体の質感
実写シーンとCGシーンで、光に対する物体の質感が変わるので絵が浮いて見えます。CGをレンダリングする際の、環境光に対する反射率が高過ぎる気がします。
ターザンアクションのシーンについては、CGっぽいというだけではなく、私が自宅の小さなテレビで見たことも悪い方向に働いていました。テレビ画面で見ても全然面白くないです。映画館の大画面で見るべきものです。
そんな感じで、個人的にはいろいろと不満もあったのですが「原作つきだからどうしようもない」という部分も多いので、スタッフは頑張っているのだろうなと思いました。つまらなくはなかったですが、凄い面白いわけでもなかったです。
まあ、個人的にはデフォーが見れたので満足。
脚本については冗長な気がしましたが、あんなものだろうと思いました。
あと、DVDで面白かったのは、TVCM集が収録されていたことです。10種類以上あり、全部見たのですが、同じ映画でも切り口によってどういうシーンをチョイスするのかが比較できて勉強になりました。
それと、このDVDはなぜか特典映像が盛りだくさんで、テーマ曲のミュージッククリップとか、マーベル社の人のインタビューとか(字幕なし)、いろいろ入っていました。
今回この映画を見たのは「スパイダーマン2」を見る前に「1」を見ておかないといけないと思ったからです。「2」の方が宣伝映像を見た限りでは面白そうです。「2」はスパイダーマンの地味さを補うために、敵をド派手にしていたようなので。
「スパイダーマン2」が新作から旧作になったら見たいと思っています。(見て感想を書いているので、近日アップします。ちなみに2は高評価です)