2005年11月10日 03:15:39
11月9日に、東京国立博物館の北斎展に行ってきました。
いや〜、よかったです。
「北斎の全貌を、肉筆画・版画・版本の各分野から精選した最高質の作品約500点を通じて明らかにします」
という謳い文句通り、北斎のデビュー当時(19歳)から死の年(90歳)までの作品が、年代順にずらりと並んでいました。
そして画題の幅も非常に広かったです。風景あり、武者絵あり、美人画あり、動物あり、植物あり、地図あり、漫画あり、ともかく何でもありでした。
印刷では分からないような技法(たとえばエンボスとか)を使った作品も多く、肉眼で見ることにおおいに意味のある展示会でした。
しかしまあ、量が多すぎて大変でした(^^; 正直言って、足が疲れました。
音声ガイドなしで(今回は貸し出していなかった)、ただ回るだけでも3時間掛かってしまいました。
平日の朝10時に入ったのに3時間です。これは休日の昼間などに行けば、何時間かかるか分かりません。
今回、音声ガイドを貸し出していなかったのは、正解だなと思いました。
作品の感想ですが、「北斎、こいつは化け物か!」です。
会場では北斎デビューから、死ぬまでの作品がずらりと年代順に並んでいるのですが、恐ろしいのは、90歳で死ぬまで成長し続けていることです。
それも、老成していくという方向性ではありません。
90歳のときの作品も、溢れんばかりのパワーと情熱があって、生き生きとしているのです。
たぶん、生きている時に出会えたなら、きらきらと目が輝いていたに違いないと思いました。正直、「羨ましい」と思いました。
北斎は、「物を作る人間」というのは、生きている間中「現役」だということを見せ付けてくれます。
印象深かったのは、晩年期の絵を見ている中年のおじさんとか、おじいさんとかが、「俺もまだまだこれからだ!」という感じの妙なパワーを受け取っていたことです。
作品のクオリティーも、もちろんハイレベルなのですが、見ているこちらにもパワーを与えてくれる。そういった展示会でした。
さて、「欲しい、欲しい」と思っていた図録もゲットしました。
分厚いです。3cmぐらいあります。重いです。リュックサックに入れると、ずしっときます。
でも、嬉しかったです。
私が北斎の絵を、最初に意識して見たのは、昔の仕事で江戸を舞台にしたTVゲームを作ったときです。
その時期に、資料として浮世絵の本をそこそこの量見たのですが、北斎のクオリティの高さは正直言って、舌を巻きました。
それ以来、北斎という人物を意識するようになりました。
でも、北斎のいい作品がたくさん載った本は値段が高いのです。欲しい、欲しいと思いつつ、手が出ない。
それに、描いている絵の種類が多過ぎるのです。網羅的に資料を揃えることは相当困難です。
だから、今回のような展示会を待っていたのです。たった3000円で、こんなに載っているというのは非常にありがたいのです。
よい買い物をしました。実物の絵も非常によかったし。大満足でした。