土曜日の夜、四ツ谷にある“お坊さんがバーテンの”バー、「坊主バー」に行ってきました。
ちなみに英語表記は「VOWZbar」です。
浄土真宗のお坊さんたちがやっているバーです。なぜか縁があって、飲みに行くことになりました。
四ツ谷の駅を降り、大通りから奥まった場所にある路地を進んでいき、壁に「VOWZbar」と書いてある建物の2階に上がっていくと、そのバーの扉があります。
そして扉を開けると、いきなりお線香の匂いが! 部屋の奥には仏壇が! ボトルキープの場所には「檀家」と書かれています。
バーテンダーは袈裟でお出迎え。ここは正真正銘のお坊さんたちのやっているバーでした。
入った直後は他に客はおらず、盲目でグラサンの僧侶田口さんと、市橋さんという方の2人だけがいました。(
坊主バー メンバー)
メニューを見ると、最初のページにはオリジナルカクテルがずらりと。とりあえず、「色欲三昧」というカクテルを注文する。男性が好きそうな美味しいカクテルが出てきて大満足。
「浄土真宗は、親鸞が開いて、修行を一切しないのが特徴なのです」と説明してくれました。
市橋さんは現在浄土真宗の勉強中ということでしたので、せっかくなので浄土真宗のことでも聞こうと思い、「いろいろ質問してもいいですか?」と尋ねると、「何でも聞いてください」と返答が。
布教士の田口さんは、「おー、どれだけ勉強しているのか聞いてやろう」とプレッシャーをかける。
というわけで私の質問。「親鸞さんの人生を30秒ほどで簡単に語ってください」
市橋さんは子供の修行時代から語り始めます。そして親鸞上人がお寺を出たところで田口さんが突っ込みを。
「親鸞上人は90歳まで生きたんだぞ、今それ30才ぐらいじゃないか。あと60年をどうやって語るんだ?」
市橋さんはパニック状態に。
その頃には、店主の藤岡さんが登場。美形です。昔、学生時代にモデルのバイトをしていたそうです。そして、話はそれたりしながら、親鸞上人の人生のお話は終了。
その後、「藤岡さんはイケメンだ」という話から、坊主バーに雑誌の取材などが時々来るという話になりました。すると藤岡さん……。
「テレビの撮影に行ってきたんです。ジャニーズの嵐の人と一緒に収録してきました」
凄いです。
「どんな番組なんですか?」と尋ねると、「坊主は本当に正座が強いかという番組です。正座を20分間して、その直後に50メートルダッシュをして、坊主と嵐のメンバーとで、どっちが速いかという競争です。あまりにもバカらしい話だったので、依頼が来た瞬間に受けました」と。
全員大笑い。
坊主バーの人たちは、総じてこんなノリです。
盲目の僧侶田口さんは特に大笑い。「坊主のなかでも、修行をしない浄土真宗をわざわざ選んで出演依頼というのが面白い!」と。なるほど、そういう見方もあるのかと。
また、店の方々の話を聞いていると面白い話も聞けました。市橋さんは坊主バーの客だったのが、いつのまにか浄土真宗の夜間学校に通い始めて店員になったと。坊主バー、侮れません。凄い布教効果です。
その後、話が面白かったので、二杯目のカクテルを注文。今度は「愛欲地獄」です。これもまた美味しい。
話は弾み、いろいろと質問をして興味深い話を多数聞きました。
浄土真宗の歴史や、一向一揆の話、浄土真宗とキリスト教の対比、現代における東と西の対立の名残、都心への新規進出計画や、僧侶の就職事情、スピンアウトした分派との裁判の話などなど。
酒の肴として仏教や宗教や歴史の話を聞くのは面白い。それも、相手は話のプロだ。
何より、バーに一見で行って、相手の専門分野が分かっていて、話す気満々な店員が待ち構えているというのはインターフェースとしてありだなと思いました。
また行こうと思いました。