2005年の読書(1)(2004年12月〜2005年01月)はこちら2005年の読書(2)(2005年02月)はこちら
● 2005年03月(3冊/計31冊)
◆2005.03.03 六番目の小夜子
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(★★☆☆☆)
(恩田 陸)
恩田陸の文章表現に、ときどき鼻持ちならなさを感じるのは私だけなのでしょうか。私の周囲は恩田陸ファンだらけなので多分私だけなのでしょう。
時々、文章から書き手が透けて見えるのが嫌というか、そういうことを思ってしまうのは、きっと私がひねくれているからでしょう。
◆2005.03.26 映画の理論
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(★★★☆☆)
(ベラ バラージュ)
古典です。無声映画の頃から、トーキー初期の頃までの映画に関して理論的研究を行なった論文集。映画を見る上で、非常に参考になります。
映画好きなら、読んでおくとよいでしょう。
◆2005.03.31 亡国のイージス(上)
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(
★★★★★)
(福井 晴敏)
● 2005年04月(2冊/計33冊)
◆2005.04.17 亡国のイージス(下)
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(
★★★★★)
(福井 晴敏)
面白かった。徹底的にエンターテインメントでした。
M先輩にすすめられて読んだのですが、これはやはり面白いですよ。エンディングまで、一気に読み進めました。
◆2005.04.28 消えゆく言語たち 失われることば、失われる世界
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(★★☆☆☆)
(ダニエル ネトル、スザンヌ ロメイン)
いろりと参考になりましたが、面白かった部分がことごとく「銃・病原菌・鉄」からの引用部分だったのは、ちょっとどうかなと思いました。
● 2005年05月(4冊/計37冊)
◆2005.05.01 巨匠たちの映画術
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(★★★☆☆)
(西村 雄一郎)
黒沢明、溝口健二、小津安二郎、木下恵介、山田洋次、野村芳太郎、大林宣彦、スティーヴン・スピルバーグ、フランシス・フォード・コッポラ、クエンティン・タランティーノなどの、裏話的な製作秘話や考察を収録した本。
黒沢明の項が一番濃かったです。読み物としても楽しめる好著でした。
◆2005.05.02 タタキツクルコト 1/1スコープドッグ製作日誌
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(★★★☆☆)
(倉田 光吾郎)
1/1スコープドッグを見に行って、その場で買った本です。
いやー、凄いですよ。熱いですよ。1/1スコープドッグは凄まじくよかったです。
◆2005.05.09 銃・病原菌・鉄 上 1万3000年にわたる人類史の謎
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(
★★★★★)
(ジャレド ダイアモンド)
◆2005.05.21 銃・病原菌・鉄 下 1万3000年にわたる人類史の謎
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(
★★★★★)
(ジャレド ダイアモンド)
一言で言うと「圧巻」。知的興奮を120%刺激してくれる本です。
人類が、世界の各地でどのように発展していったか、そしてその差がどのように出てきたかを、地理的条件、生態的条件から解き明かしていく本です。
ともかく、読んでいる間中興奮しっぱなしでした。
● 2005年06月(6冊/計43冊)
◆2005.06.04 チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷
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(★★★☆☆)
(塩野 七生)
割りと淡々と読んだのですが、レオナルド・ダ・ヴィンチ登場の場面は秀逸でした。鳥肌が立ちました。
面白かった本の割りには★が少ないのは、他の塩野七生の本と比べると、扱っている題材の規模が若干小さいことに起因します。実質的には★4つ分の面白さがあります。
◆2005.06.09 マキアヴェッリと『君主論』
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(★★☆☆☆)
(佐々木 毅)
ガリア戦記の時の反省(時代背景が分からないと古典は意味が分からない)から、本書を購入。この本は、前半は時代背景とマキアヴェッリの生涯について解説し、後半が君主論の本文という構成です。
実際には前半の解説だけでは少し足りず、「チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷」と合わせて読むことで非常に理解が進みました。
「チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷」→「マキアヴェッリと『君主論』」と読み進めるならば★は3つ。単体で読むと★2つという感じでした。
◆2005.06.11 スペースシャトルの落日 失われた24年間の真実
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(
★★★★☆)
(松浦 晋也)
これは非常によく出来た本でした。この本には二つの面があります。一つは、スペースシャトルを中心としたアメリカの宇宙政策の失敗を真摯に見つめ直すという面。そして、もう一つは、そのことをより多くの人に伝えるという面。
前者は「なぜなのか」というのを、非常に丁寧に積み上げていくことで実現しており、後者は「徹底的に読みやすい文章」で実現しています。
読後感として、「ウェハースのようにサクサクと軽く読み進められる文章だった」という感想を書いたところ、著者の松浦晋也さん自身から、「それを意図的にやった」という趣旨のコメントを頂きました。
またこの本は、「宇宙開発の歴史に一本の背骨を通す」という効能もあります。この本を読んでおけば、「他の本を読むときに年代感覚が分かる」という効果があります。
宇宙開発関係の本を読む前に、とりあえず読んでおくとよいと思います。
◆2005.06.14 左巻キ式ラストリゾート
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(★★★☆☆)
(海猫沢 めろん)
LEGIOんさん経由で知り合った海猫沢めろんさんの書いた小説。
多分、本だけを読んだ人は「なんというぶっ飛んだ本だ!」と思うかもしれませんが、本人を知っている人は「素のままの本人だ!」と叫んでしまう本です。
この人は、本人が一番面白いので。
私がこれまで出会った人間のなかで、「ここまで紆余曲折の人生を送り、なおかつ濃い人」は見たことがありません。
「あんたいったい何歳だ!」というぐらい経験値が豊富です。私の知り合いのなかでは、1、2を争うほど濃い人です。
何も知らない思春期の高校生なんかに読ませたら、「変に悟りを開いて、人生を捻じ曲げられて、海猫沢めろんさんの信者になりそうな本」です。
◆2005.06.20 国産ロケットはなぜ墜ちるのか H-IIA開発と失敗の真相
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(
★★★★☆)
(松浦 晋也)
日本の宇宙開発の現状にくらくらしてしまう本。「スペースシャトルの落日」と比べると、みっちりと詰め込んだ印象でした。
国の中枢に、宇宙開発に対する理解が欠如しているのは致命的だなと思いました。
◆2005.06.29 占星術殺人事件
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(
★★★★★)
(島田 荘司)
らじさんにすすめられて読んだ本。
一言でいうと「やられた」。
主人公がトリックの正体に気付いた瞬間に、読者もそのトリックに気づき、その瞬間に事件の全て(本当に全貌)が、紐の結び目が解けるがごとく、きれいに全部分かってしまう傑作ミステリー。
これほど綺麗に謎が解け、かつ目の前にある謎から巧妙に目を逸らされていたことには、本気で脱帽しました。
紐の結び目の上に、「占星術殺人事件」という物凄く魅力的な犯罪が載せられているせいで、結び目の存在にまったく気付きませんでした。凄い。
本書はそれだけでなく、物語を語る文章自体も魅力的でした。いろいろな場所を訪れる主人公たちの“旅行”が楽しい小説でした。
(続く)