2006年01月11日 12:09:36
映画「10億分の1の男」のDVDを12月上旬に見ました。
スペインの映画で、何気なくレンタルショップで手に取ったものですが大収穫でした。
面白かったです。
一部の人に分かりやすく言えば「鷲津ゲーム」。
ある意味、福本伸行の逆をいっています。福本伸行が「運をロジックで叩き潰す」物語なら、こちらは「強運を強運で叩き潰す」物語。
「世界で最も運が強い男」に、様々な強運の持ち主がチャレンジするというお話です。
この映画は、特にオープニングが秀逸です。「運」という映像化しにくいものを、映像表現に一切頼らず、ナレーションも全く使わず、脚本の巧みさだけで、JOJOの波紋のように「能力化」してしまいます。
そして映画が始まって以降は、その「運」をバトルの武器や、賭けの対象にして戦っていく。
ゲーマーには分かると思うのですが「運ゲー」と言えば思考をあまり使わないゲームのことを指します。しかし、この映画では「運」だけに頼っているのに、ロジックがあり、推理があり、抜き差しならぬやり取りがある。
このところハズレ映画が続いていたのですが、久しぶりにスマッシュヒットの映画でした。
以下粗筋。(序盤のネタばれあり)
荒野にあるカジノ。そのルーレットで、バカヅキしている男がいた。
店を潰しかねないその強運に恐れを抱いた店の者は、カジノで暮らしている“黒服の男”を呼んだ。その男はルーレットの台にやってきて、バカヅキしている男にそっと触れる。
彼はそのまま席を離れ、スロットマシンを1回だけ回して立ち去った。
バカヅキしていた男の運は尽き、スロットマシンは大当たりを出す。男は他人に触れることで、運を奪う能力を持っていた。
黒服の男はその直後、カジノで暮らす老人に会う。「私はここを去ります」そう告げた黒服の男に、老人は「お前を引き取り、育ててやった恩を忘れたか」と言う。黒服の男は一顧だにせず席を離れ、エレベーターに乗る。
だが、そのエレベーターが“運悪く”止まってしまう。老人はゆっくりエレベーターにやってきて、黒服の男に触れる。「お前の能力を育ててやったのは私だ。お前はこれから、ただの人になる」
老人は“世界で最も強運の男”だ。彼は周囲の人間の運を、触れることで全て吸い取ることができる。
黒服の男はズタボロにされ、カジノを放逐される。
七年後。
闇の世界では不思議なゲームが行なわれていた。参加者は自分の大切なものを賭け、強運だけを頼りにその賭けた品物を奪い合う。
ある日、一人の男が病院に収容された。飛行機の墜落事故に遭い、唯一の生存者となった男だ。彼は強盗をして逃げる途中だった。ほぼ無傷で生き延びた彼は、警察の監視下に置かれていた。
その生存者の許に“黒服の男”がやってくる。「ここから逃げたくはないかね? 手引きをしてやろう」「何が目的なんだ」「あるゲームに参加してもらう」
闇の世界で行なわれている不思議なゲームの頂点には、あのカジノの老人がいる。その老人と戦う強運は黒服の男にはもうなかった。
だが、運に対する知識はある。強運の男をマネジメントして、老人と戦うことを黒服の男は考えていた。
運に対する知識を持った男、そして飛行機事故から無傷で生還するほどの強運を持った男。さらに、“犯罪者でもある生存者”を追う女刑事も強運を持った人物だ。また主人公コンビのライバルも登場する。彼は、生涯一度もかすり傷を負わなかった強運の闘牛士だ。
“世の中には、周囲の不幸を吸い上げて自らの強運にできる特殊な人々がいる”
彼らは闇の世界のなかで、自らの巨運をテーブルに乗せ、周囲の不幸な人々を巻き込みながら“運”によるバトルを繰り広げていく。
そして、最後に立ちはだかるのは“世界一の強運”を持った老人だ。彼が自らの強運に目覚めた“過去”とはいったい何なのか。そしてバトルの結末はどうなるのか。
新人監督らしく、一部編集があまりうまくないところがあったりして途中少し分かり難い部分もあるのですが、骨太のストーリーと、斬新な発想が非常に楽しませてくれました。
全くノーマークな映画でしたが、非常に興奮しながら見ることができました。
面白かったです。おすすめ映画です。