2006年02月07日 19:06:00
映画「ミュンヘン」を一昨日に劇場で見てきました。
えー、私の感想、今回ばかりは全く当てになりません。
どうも体調が悪かったらしく、途中で寒気と眠気が襲ってきて、断続的に寝落ちしつつ、終わったあとはふらふらの足取りで映画館を出て、喫茶店で仮眠を取り、どうにか部屋に戻る体力を回復したあと、22時間爆睡していましたので。
つまり、意識朦朧の状態で、ドラッグ・ムービーのような感覚で、「ミュンヘン」の様々な殺害シーンだけを記憶に刻んで戻ってきました。
うーん、いろんな殺人方法があったなあ。
ピキュンピキュン射撃音が響きながら、人体がリアルに破壊される様が素晴らしかったです。(当てにならない感想)
私が最も記憶に残ったのは、ハニー・トラップを仕掛けた女性が、筒型単発銃でポンッポンッと撃たれたところ。
穴が空いたあと、しばらく血が出てこず、そのあと、トクトクと血が流れてきます。なんかエロイなあと思いながら見ていました。
銃を撃ったあと、そそくさと弾を取り替えている男たちのシーンは、行為が終わったあとの男性のようで、何だか不思議な光景でした。
あとは、顔を横から撃ち抜かれたオリンピック選手。頬に穴が空いているよ。あれはきっと、歯も砕けているなと思いました。
それと、マシンガンで撃たれた人の背後の壁の板が、パパパッとめくれ上がるところも印象的でした。なぜかあの爆ぜ方に、リアルさを感じてしまいました。
最後にもう一つ。主人公が爆弾で真横に飛ぶシーン。見ているこちらも硬直するような激しい映像シーン。
何というか、「体感できる映像」。
思わず私も歯を食いしばりました。
最初の三十分と最後の三十分はまともに見ていたと思うのですが、あとはそんな感じの殺害シーンが主に記憶に残りました。
というわけで、楽しい映画だったのか、そうでない映画だったのか判断が付きません。
一つだけ言えることは「殺害シーンはスピルバーグ楽しそう」と感じたことです。非常に生々しかったです。
「僕は、こんな感じに人間が壊れるシーンが撮りたかったんだ」というスピルバーグの黒い部分が前面に出てきているような、見事な人体の破壊のしよう。
まるで物のように人を壊していきます。
映画のストーリー自体は、簡単に言ってしまえば「憎しみの連鎖」。終わることのない復讐劇に首までどっぷりと浸かっていく。
皮肉なのは、「主人公の妻が妊娠し出産し子供が誕生する」のと、「主人公が国の密命を受け、国から切り離され、テロリストとして敵を無限に殺さないといけなくなっていく」のと、「その切っ掛けの事件の、オリンピック選手がオリンピック会場で次々と虐殺されていく」のが、映画の時間軸上、代わる代わる描かれていることです。
平和な家庭、憎しみの連鎖、切っ掛けの虐殺。
このうち主人公が生きているのは前者の二つ。
そしてどんどんと「平和な家庭」から遠ざかって虐殺の渦中に落ちていく。最初はゆっくりと、そして次第に後戻りできないほどどっぷりと。
主人公は「平和な家庭」に戻れそうでいて、どんどんと「切っ掛けの虐殺」側の住人になっていきます。
描いているのは、イスラエルV.S.パレスチナですが、どこの国や民族も、多かれ少なかれこうだよなと思いました。
時代さえ違えば同じことをやっている。
寒気と眠気のなか、そんなトラウマ・ムービーが延々と目の前を流れていました。
余談1:残虐シーン
そういえば「ジョーズ」のDVDを見たときに、インタビューで「実は警察署長の子供が鮫に食われて、ぶらぶらと海を引きずられるシーンを撮った。だけど、あまりにも生々しいので、警察署長の子供は鮫に食われないように変えた」と言って、「警察署長の子供が食べられる未公開シーン」が出てきました。
このシーンを入れても話の辻褄は合います。
スピルバーグ的にはこのシーンを入れたかったのかどうなのか。どっちなんだろうなと思いました。
余談2:ハニー・トラップ
最近、中国大使館で大使館員が自殺した事件がありました。
そのあと、ラジオでその筋の人が解説をしていて、ハニー・トラップに悩まされていたという話をしていました。(日本のセキュリティ・ホール)
何だか、その事件のことを思い出してしまいました。