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2006年02月13日 04:26:55
 映画「荒野の七人」を1月上旬に見ました。

 本作は、黒澤明の「七人の侍」を、アメリカで西部劇にリメイクした映画です。非常によくできていました。

 「七人の侍」から要素抽出をして、非常にシンプルに再構成した印象です。時間も大幅に短くなっています。実際、オリジナル版の三分の二程度しかありません。

 オリジナルの「七人の侍」を見たのが既に数年前なので、細かな比較まではできませんが、以下の部分を大きく変更したのではないかと思いました。

・「村を守る」という戦術的駆け引きの部分を大幅に削った。

・七人揃うまでの過程をシンプルにした。(ほとんどが主人公の友人や知人)

・七人のうち、最も若い男の役割を非常に大きくした。

・農民とガンマンたちのあいだの心の溝をより大きくし、その問題の発現を前倒しにした。

・群集としての要素が強かった野盗に、個性的な首領を立ててキャラクター化した。

 このような改変を加えることで、ガンマン(オリジナル版では侍)と農民とのあいだの精神性の溝を、より強調したように思えました。



 粗筋は書くまでもないように思えますが、いちおう大きな筋を書いておきます。

 アメリカ開拓時代。農民たちの住む村は野盗に襲われていた。彼らは自分たちの身を守るために、ガンマンを雇いに町に行く。

 農民の代表は、一人の腕の立つ男に出会う。そして事情を打ち明ける。ガンマンは求めに応じることを告げ、仲間を探すと言う。

 彼は自分を含め、七人のガンマンを集める。

 彼らは農民たちを守るために野盗と戦う。だが、ガンマンたちと農民たちとのあいだには、“守るべきもの”の価値観の差があった。

 そのことで事態は思わぬ展開を見せる。



 まず、映画が始まって最初にびっくりしたのは、オープニングの音楽です。

 ともかくこれが凄い。今から何かが始まりそう。

 最初の数音鳴ったところで、一気に映画に引きずり込まれます。魔術のような音楽です。

 このオープニングのあと農民と野盗のやり取りがあり、すぐに農民の代表が戦うための準備に町に出掛けます。

 そこで「どうやって農民たちと主人公が接点を持つのかな」と思うと、「メキシコ人を差別しない主人公」を分からせる効果的なバトルシーンを出し、農民たちが彼を自然と頼るように仕向けます。

(注:農民たちはメキシコ人です)

 ここまで一気に進みます。えらい展開が早いなと思いました。

 そんな感じでとんとん拍子に話が進み、七人の仲間が集い、村まで来ます。かなりさくさくと進みます。

 万事スピーディーに進んでいきます。

 「七人の侍」が重厚感と粘度の高い人間性を描いているのに対し、「荒野の七人」は軽快感と乾いた印象を描いているように思えました。

 ほぼ似た筋とテーマなのですが、そういう意味で映画としての差別化ができており、その土地の風土性にあった改変もなされていて興味深かったです。

 いわば、定番の昔話に、土地土地のバリエーションがあるような感じで楽しめました。



 さて、映画にはスタッフのインタビューが付いていたのですが、これが非常に面白かったです。

 主役の俳優が、他のメイン・キャストに対してライバル心剥き出しだったというエピソードや、スティーブ・マックイーンは75しか台詞がなかったのを、細かな演技で自分の存在感を増していったという話が記憶に残りました。

 また、まったく想像していなかった苦労も語られていました。

 それは、「撮影現場であるメキシコ政府とのやり取り」です。

 撮影の間中、メキシコ政府からの検閲官がずっと付いていたそうです。そして、日によって人が違い、言うことも異なり、苦労をしたそうです。

 たとえば冒頭のシーンで、農民は最初「銃を買いに行こう」と話し合って決めます。そして町で主人公に会ったあと、主人公から「銃は高い。銃を買うより、ガンマンを雇え」と言われます。

 これは、脚本では最初からガンマンを雇いに行くようになっていたそうです。

 しかしメキシコ政府から「メキシコの誇りを傷つける」ということで、「最初は農民が自ら戦うつもりだった」という脚本に書き直されたそうです。

 また、農民たちがやたら白い服を着ているシーンがあります。

 これは最初、農民らしく汚した服を着せる予定だったそうですが、「メキシコ人をみすぼらしく見せてはならない」と言われて、洗いたての服を着せることに急遽変わったということでした。

 それぞれのシーンに、そんな理由があったとは気付きませんでした。

 言われてみれば、ちょっと不自然だなという気もしていましたがスルーしていました。そこまで読めなかったのは見方が甘かったと反省しました。



 各スタッフのインタビューを聞いていて思ったのは、みんな本当に「七人の侍」が好きで好きでたまらなかったんだなということです。

 「荒野の七人」でナイフ投げの役の俳優は、「七人の侍の達人剣士の役になるんだぜ、僕は躍り上がって喜んだよ!」と当時の感動を語っていました。

 しかし、スタッフの意気込みとは裏腹に、最初は興行成績が奮わず、短い期間で打ち切りになったそうです。

 その後、ヨーロッパで大ヒットし、アメリカに凱旋帰国したということでした。

 なんだか、日本で認められずに、海外でヒットして戻って来た商品のようだなと思いました。



 この映画を見て思ったことは、「七人の侍は新しい定番を生み出したのだな」ということです。

 物を作る人間として、これほど嬉しいことはないでしょう。

 素直に凄いな、羨ましいなと思いました。
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