映画「デリカテッセン」のDVDを八月中旬に見ました。
辞書で調べましたが、デリカテッセンは、ハムやサラダを売る洋風総菜屋という意味らしいです。しかし、映画の内容は「総菜屋」というより「肉屋」という感じでした。
邦題を付けるなら「ブッチャー - 食人族 屍肉の宴」。
映画は、映像や音声的には面白かったですが、筋はそれほど面白くなかったです。
かなりエキセントリックな表現になっているので、好きな人は好きそうだなと思いました。
また、この終始一貫した暗い雰囲気が「エイリアン4」につながっていくのだろうなと感じました。
しかしまあ、この監督が「アメリ」を撮ることになるとは、この時点では想像できませんね。ちなみに、「アメリ」は滅茶苦茶面白かったです。
以下、粗筋です。
経済が破綻した近未来のフランス。郊外のアパートの一階の肉屋では、貨幣の代わりに豆で取り引きが行なわれていた。
このデリカテッセンに一人の男がやって来た。小柄で細身の元ピエロだ。
新聞の求人欄を見てきた彼に、肉屋の主人は「痩せ過ぎだ」と言う。彼は「もう少し太らないとな」と声を掛けながら男を雇うことにした。
世間では、反政府的な“地底人”が横行し、人々は明日の食料を得ることもできない。
そんな世情のなかで、職と住居と日々の糧を得られた男は安堵する。そして彼は、肉屋の主人の娘と恋に落ちる。
男はアパートの住人たちが妙によそよそしいことに気付きながらも仕事を続ける。
このアパートでは、新聞の求人欄で人を呼び寄せた相手を殺し、住人たちで取り分けて食べるという食人行為を続けていた。
肉屋の娘は父親に、「彼を食べないで」と懇願する。だが、彼はその考えを曲げない。
とうとう娘は、ある決意をする。“地底人”のところに行き、店に蓄えられた“豆”と引き換えに、元ピエロの男を救い出してくれと依頼することだ。
そして、“解体”の日に、元ピエロの男、肉屋の娘、肉屋の主人、アパートの住人、地底人の壮絶なバトルが始まった。
この映画を見て、一番興味を持ったのは、映像の表現よりも音の表現です。
随所に不思議な音が出てきて、この音に引っ張られて様々な演出が展開されます。
いろいろな物が、特徴的な音を持っており、それが音楽になったり、騒音になったりします。
暗い画面と真面目な雰囲気が続いたあとは、その音楽に合わせてコメディパートが差し挟まれます。
これが、軽い笑いと息抜きになっていて面白かったです。
あと、肉屋の娘さんが眼鏡っ娘でなかなか可愛かったです。
特に挙動が。
眼鏡を外して覚束ない手付きでお茶を給仕する様は、恋のせいで混乱している様と重なり合っており、なかなか楽しかったです。
でもまあ、後半コンタクトレンズに変えるのはどうかと思いましたが。
映像的表現に目がいきそうな映画ですが、個人的には音の表現の方が興味深い作品でした。
しかしまあ、タイトルは「デリカテッセン」よりも「ブッチャー」の方がよいよなと思いました。